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異世界へ

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「やっぱ戻れないのかなぁ?」

「戻れるなら何人か戻ってるんじゃないの?」

 そもそもそれは無理なんじゃないかな?何人かではなく一人だと思うよ?

それぞれがスキルをもらってそれを使って・・・数ヶ月たってるけど、そういった話は一向に聞かない。もしかすると、本当に帰れた人がいるかもしれないけど、それはそういったスキルを望んだ人だけだろう。それさえも本当か怪しいんだけどね?

「それで、君の能力ってなんなのかな?」

「ここでそれを聞くのか・・・」

「いいじゃん、それこそ深い仲になってるんだしさ」

「面と向かって言われると恥ずかしいじゃないか・・・」

「ハハハ、それで?」

 腹を括るか・・・

「僕がもらったスキルは“呪い”なんだよ」

「呪い・・・」

「と言ってもそんなに強い呪いじゃ無いんだ」

「呪いに強いとか弱いってあるの?」

「そりゃ、呪いの最終形は“死”だけど、強力な死の呪いとすれば、子々孫々じゃ無いかな?でも僕にはそれほどの強い呪いはかけられないんだ」

「・・・じゃぁどんな呪いを・・・?」

「そうだね、精々・・・」

 不安そうな目で見てるな・・・

「そう言った呪いは掛けることによって代償が必要になるけど、僕の場合は無償でできる程度の弱いものなんだ。
 例えば“毎朝箪笥の角で足の小指を打つ”程度の・・・」

「ふぇっ?」

 変な声出てるよ?

「”大金が手に入ったら無意識に決められた箱の中に半分入れる“呪いとか」

「な・・・・」

「“トイレの後ファスナーをあげると毎回皮を挟む”とか。これはファスナーのついてないズボンに履き替えれば回避できる呪いだけどね?理解するまでは地獄だろうけど」

 呪いは回避可能なのと、そうで無いのがあるけど、僕がかけれる程度の呪いなんて、法則さえ読めれば回避可能なものの方が多い。

「家の中に箪笥とか椅子とか置かない上に、常に靴履けば回避できるしね?」

「ねぇ?その呪いって・・・」

「呪いって気付かれない程度の日常の出来事だよ?でも、呪いと気づかなければ・・・」

「怖いね・・・」

 

 そう、実は気づかないことが怖いんだ。気づかなあければ、回避のしようもない。例えばだけど・・・

「例えば、“毎日気づかない程度に○○する“系だと、徐々に~だから、気づきにくい
 “毎回○○に当たる”とか、”緊張すると大量に手に汗をかく“とかだと、日常生活ではそんなことはないけど、こんな戦争や戦いのある場面では致命的だよね?」

 食料を調達するときにこの世界では狩りをする。当然銃などはなく、剣や斧といった手持ち武器だ。
 最初は気づかないだろうが、何度も何度も手汗で武器を落とせば、信頼関係にも溝が生まれる。
 そうなったら、狩りのメンバーからも外され・・・その先はわからないがハッピーにはなれないだろう

「気にしない程度の呪いから最終的に死に繋がる呪いってところかな?悪い方は」

「悪い方?」

「呪いも内容次第では良い事もできるんじゃないかな?」

「そうなの?」

「そうと思うよ?例えば・・・”街角で誰かとぶつかる“呪いとか?」

「何その頭の悪いテンプレ・・・」

「”メガネを落とす”呪い」

「・・・・・」

「テンプレって呪いなんじゃないかな?」

「そうかな?」

「だってさ、呪いって考えると、勇者認定とか呪いとしか思えないよ?」

「え~?」

「ほら、一番最初の竜を倒すやつってさ、王様からお金渡されて一人で倒してこいって言われるんだよ?しかも死んだら“情けない”って・・・どんないじめだよ!痛がらせ位上とくれば、もはや呪いとしか言いようがない。
 村や街を救うのがさも当然、当たり前のように話が進んでいくし、街中の家々倉庫から何から問答無用で家探しして奪っていくじゃない?あれは野盗だよね?」

「言われてみればそうかも・・・?」

「他の作品でも、ラスボス倒すための戦いだけど、途中のどうでもいいようなクエストもこなさなきゃならない。街の人間で対応しろよ?国の人間で対応可能なものもあるだろ?」

「そこまで言い出したらキリがないよ?」

「そうだね、ちょっと熱くなりすぎた」




「まぁ、僕にできるのはこの程度の呪いなんだよ。
 “最初に声をかけた異性を愛し続ける”呪いとか」




「え?私のこの気持ちは呪いだったの?」



「さぁ?検証してみる?」

 検証の方法があるならね?
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