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第五章
48 何も聞かない
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ハウスを出てすぐに雨が降り始めた。アジサイに着く頃には土砂降りに変わっている。
母は涼介と共に店の一番奥の席にいた。
「レイ」
「お母さん」
呼びかけられて二人の元へ早足で向かう。涼介はソファに横たわり、母の膝を枕にして眠っていた。
「あれ、涼介、寝てるの?」
なぜだろう。
涼介の目元が泣き疲れたように赤くなっていた。
「うん」
母もいつもより、疲れているようだった。
心配になったけれど玲は席に着く。
雨に濡れた、透明で綺麗な傘は、床に置いた。
合流して直ぐにオレンジジュースを頼んだ。礼矢はやっと母たちに会えて、嬉しくなり、途端に喋り始めた。
「——でさぁ、結局昼休みはユノしたんだ。ユノ知ってる? カードゲーム」
「うん、知ってるよ」
「上がる時にユノ! って言うだろ? でも皆バカだから、うんこ! とかアホ! とか、悪口で抜けてくルールになっちゃった」
「うん」
メニューを広げながら早速今日の学校について語る。
目の前の母は、涼介の頭を撫でながら耳を傾けてくれる。母越しに窓が見えた。雨脚が強まっているのが分かる。雷鳴さえ、届いてきた。
礼矢はとにかく話し続けた。
「レイ、学校楽しいね」
母はそう言って微笑んでくれるけど、礼矢の胸には言いようのない不安が広がっていく。
何だろう。これは。雨のせいだろうか。
「楽しいっつうか、なんかクラス変わってから騒がしくて大変だよ」
「そっか」
「あっ先生がさ、今度の移動教室でパントマイムやるんだって。なんで? って思うけど楽しみ」
メニューを眺めながらも喋り続ける。
心に浸食する不吉な気配を誤魔化すかのように。
雷鳴が聞こえる。
「もうクラスで映画見に行ってる奴多くてさ、俺が土曜見に行くって言ったらすげぇ犯人教えてくんの」
「……」
「最悪だよ。俺、もう知ってるんだ、犯人」
「レイ、あのね。転校しなきゃいけないかも」
すると突然、母が言った。
「え?」
礼矢は顔をあげて啞然とする。
母はゆっくりと瞬きした。テレビの中の誰よりも綺麗な顔をしているその人が、礼矢を見つめている。
黙り込む礼矢に彼女は言った。
「このレストラン、朝まで空いてるの。今日はここで夜を過ごして、朝になったら出なくちゃならない」
「出るって……どこを?」
「町を」
礼矢は唇を開いたまま何も言えなくなった。
カラン、と扉の音が鳴った。母が怯えた視線を入り口へ向ける。年配の男性が入って来たのを見ると、緊張が解けたように息を吐き、どこか泣きそうな顔で礼矢を見た。
「お婆ちゃんとも会いにくくなる。ハウスにある荷物は暫く経ったら送ってもらえるよ。でもレイ」
そこで一度言葉に詰まる。
下唇を噛み締めてから不器用な笑みを浮かべて、
「レイだけハウスに残ることもできるよ」
と告げた。
礼矢は母を見つめている。
「そうしたらこのまま学校に通えるし、移動教室に行くお金もハウスから出るから——……」
「出るよ」
ただ真っ直ぐに見ている。
言葉を遮られて母は少しだけ目を見開いた。礼矢は澱みなく答えた。
「お母さんと行くよ。学校なんて行かなくてもいい。涼介だってまだ小さいし煩いし、お母さんだけじゃ大変だろ」
町には日暮れが降りてきた。けれど分厚い雨雲のせいで夜がやってきたことに、誰も気付いていない。
誰も知らないうちに町を出る。それは礼矢と母がハウスに来た時と同じだ。
「学校なんか、別に楽しくない。お婆ちゃんにもいつかまた会えるだろ? だからお母さんと涼介と町を出るよ」
母は目を少しだけ細めた。堪えるような顔をして、でも、礼矢から目を逸らさないでくれた。
礼矢は母そっくりの不器用な笑い方をした。
「俺だけ置いていくなんて変だろ」
「……そうだね」
彼女は言った。礼矢を安心させるように笑い返しながら。
それから微かな声で付け足した。
「ごめんね」
雷が鳴っている。嵐がこの町にもやってきたのだ。
まるでずっと昔から礼矢たちを追いかけていたように。
あっという間にこの町は覆われてしまう。
礼矢は何も聞かない。どうしてハウスにやって来たのか。七年前に何があったのか。それを聞くと母が悲しむような気がしたから。
だから口を閉ざしている。
礼矢はただ、何も聞かずに暮らしていくだけだ。
「何でも食べていいよ」と母が明るい声で言った。だから礼矢はいつも通りの口調で「じゃあ」と答える。
「ミートソーススパゲティ」
「うん」
「カルボナーラはお母さんが作ったやつが一番おいしい」
「ありがとう」
母はまた涼介の頭を撫で始めた。店内には礼矢達の他に三組ほどの客がいる。
お母さんは何も食べないのかな? 疑問に思うが口にしない礼矢に母は言う。
「ミートソーススパゲティ好きならボロネーゼも好きそう」
「ぽろねーぜ」
「知らない? なら今度……」
その時、母が何か見た。
ソファに置いた携帯だ。言葉も忘れたみたいに携帯を見下ろしている。
それを手に取ると何回か操作した。ハッとした母が勢いよく振り返り、店内の窓の外へ視線を遣る。
礼矢も驚いて彼女の視線の先を見た。しかし何もない。ただ豪雨に襲われる道路があるだけだ。
母はもう一度携帯を凝視した。みるみる表情に恐怖が滲んでいくのが分かる。
彼女は震える手で首の裏を触った。
礼矢は途端に不安に陥った。
「……お母さん?」
「レイ、ここにいて」
するといきなり、母が自分の膝で眠る涼介をソファに横たえた。
席から立ち上がったのだ。
「え?」
「何が起きても外に出ちゃだめ」
赤い傘が壁に立てかけられている。
でも母はそれを手に取らなかった。
「リョウとここにいるんだよ」
どこへ行くの。
礼矢は問いかけたかった。
でも礼矢は、何も聞かない。
聞かないんじゃない。聞けなかったのだ。
いつだって、大切なことは何も。
「……はぁ」
母が震えるため息を吐いてしゃがみ込み、涼介の頭をもう一度撫でた。
そうして独り言みたいに「もう、これしかないか」と囁く。
礼矢には全く意味が分からなかった。どうしよう。不安で発狂しそうになる。今すぐ泣き喚いて、どこかへ向かおうとする母を引き留めたい。
すると母が立ち上がり、「レイ」と玲を見下ろした。
「大好き」
「……お母さん?」
呟くと同時、母が躊躇いなく歩き始めた。
携帯を握りしめて、傘も持たずに去っていく。……大好き。初めて言われたような気がする。
礼矢だって言ったことがない。意識なんてしていなかった。好きなのは当たり前だったから。
まるで魔法みたいに母はあっという間に過ぎ去り、店を出て行った。
入れ替わりみたいに親子連れが入ってくる。
礼矢と同じくらいの年の女の子と、中年の女性。いかにも母親らしいその女性は礼矢の母よりもずっと年上に見える。そういえばお母さんは幾つなのだろう。前にテレビを見ていた時、二十代の女優を見ながら「この人同い年なんだよね」と呟いていた。
礼矢は立ち上がった。ここにいて、と言われたから言いつけ通り店から出ずに、窓まで向かう。
母の白い車が見えた。店の前に停めていたらしい。雨に打たれながら歩く母が、車に乗り込んだ。
運転席に座り込んでいる。両手で顔を覆った姿を、礼矢は認めた。
泣いているの?
すぐに車が走り出した。
母は涼介と共に店の一番奥の席にいた。
「レイ」
「お母さん」
呼びかけられて二人の元へ早足で向かう。涼介はソファに横たわり、母の膝を枕にして眠っていた。
「あれ、涼介、寝てるの?」
なぜだろう。
涼介の目元が泣き疲れたように赤くなっていた。
「うん」
母もいつもより、疲れているようだった。
心配になったけれど玲は席に着く。
雨に濡れた、透明で綺麗な傘は、床に置いた。
合流して直ぐにオレンジジュースを頼んだ。礼矢はやっと母たちに会えて、嬉しくなり、途端に喋り始めた。
「——でさぁ、結局昼休みはユノしたんだ。ユノ知ってる? カードゲーム」
「うん、知ってるよ」
「上がる時にユノ! って言うだろ? でも皆バカだから、うんこ! とかアホ! とか、悪口で抜けてくルールになっちゃった」
「うん」
メニューを広げながら早速今日の学校について語る。
目の前の母は、涼介の頭を撫でながら耳を傾けてくれる。母越しに窓が見えた。雨脚が強まっているのが分かる。雷鳴さえ、届いてきた。
礼矢はとにかく話し続けた。
「レイ、学校楽しいね」
母はそう言って微笑んでくれるけど、礼矢の胸には言いようのない不安が広がっていく。
何だろう。これは。雨のせいだろうか。
「楽しいっつうか、なんかクラス変わってから騒がしくて大変だよ」
「そっか」
「あっ先生がさ、今度の移動教室でパントマイムやるんだって。なんで? って思うけど楽しみ」
メニューを眺めながらも喋り続ける。
心に浸食する不吉な気配を誤魔化すかのように。
雷鳴が聞こえる。
「もうクラスで映画見に行ってる奴多くてさ、俺が土曜見に行くって言ったらすげぇ犯人教えてくんの」
「……」
「最悪だよ。俺、もう知ってるんだ、犯人」
「レイ、あのね。転校しなきゃいけないかも」
すると突然、母が言った。
「え?」
礼矢は顔をあげて啞然とする。
母はゆっくりと瞬きした。テレビの中の誰よりも綺麗な顔をしているその人が、礼矢を見つめている。
黙り込む礼矢に彼女は言った。
「このレストラン、朝まで空いてるの。今日はここで夜を過ごして、朝になったら出なくちゃならない」
「出るって……どこを?」
「町を」
礼矢は唇を開いたまま何も言えなくなった。
カラン、と扉の音が鳴った。母が怯えた視線を入り口へ向ける。年配の男性が入って来たのを見ると、緊張が解けたように息を吐き、どこか泣きそうな顔で礼矢を見た。
「お婆ちゃんとも会いにくくなる。ハウスにある荷物は暫く経ったら送ってもらえるよ。でもレイ」
そこで一度言葉に詰まる。
下唇を噛み締めてから不器用な笑みを浮かべて、
「レイだけハウスに残ることもできるよ」
と告げた。
礼矢は母を見つめている。
「そうしたらこのまま学校に通えるし、移動教室に行くお金もハウスから出るから——……」
「出るよ」
ただ真っ直ぐに見ている。
言葉を遮られて母は少しだけ目を見開いた。礼矢は澱みなく答えた。
「お母さんと行くよ。学校なんて行かなくてもいい。涼介だってまだ小さいし煩いし、お母さんだけじゃ大変だろ」
町には日暮れが降りてきた。けれど分厚い雨雲のせいで夜がやってきたことに、誰も気付いていない。
誰も知らないうちに町を出る。それは礼矢と母がハウスに来た時と同じだ。
「学校なんか、別に楽しくない。お婆ちゃんにもいつかまた会えるだろ? だからお母さんと涼介と町を出るよ」
母は目を少しだけ細めた。堪えるような顔をして、でも、礼矢から目を逸らさないでくれた。
礼矢は母そっくりの不器用な笑い方をした。
「俺だけ置いていくなんて変だろ」
「……そうだね」
彼女は言った。礼矢を安心させるように笑い返しながら。
それから微かな声で付け足した。
「ごめんね」
雷が鳴っている。嵐がこの町にもやってきたのだ。
まるでずっと昔から礼矢たちを追いかけていたように。
あっという間にこの町は覆われてしまう。
礼矢は何も聞かない。どうしてハウスにやって来たのか。七年前に何があったのか。それを聞くと母が悲しむような気がしたから。
だから口を閉ざしている。
礼矢はただ、何も聞かずに暮らしていくだけだ。
「何でも食べていいよ」と母が明るい声で言った。だから礼矢はいつも通りの口調で「じゃあ」と答える。
「ミートソーススパゲティ」
「うん」
「カルボナーラはお母さんが作ったやつが一番おいしい」
「ありがとう」
母はまた涼介の頭を撫で始めた。店内には礼矢達の他に三組ほどの客がいる。
お母さんは何も食べないのかな? 疑問に思うが口にしない礼矢に母は言う。
「ミートソーススパゲティ好きならボロネーゼも好きそう」
「ぽろねーぜ」
「知らない? なら今度……」
その時、母が何か見た。
ソファに置いた携帯だ。言葉も忘れたみたいに携帯を見下ろしている。
それを手に取ると何回か操作した。ハッとした母が勢いよく振り返り、店内の窓の外へ視線を遣る。
礼矢も驚いて彼女の視線の先を見た。しかし何もない。ただ豪雨に襲われる道路があるだけだ。
母はもう一度携帯を凝視した。みるみる表情に恐怖が滲んでいくのが分かる。
彼女は震える手で首の裏を触った。
礼矢は途端に不安に陥った。
「……お母さん?」
「レイ、ここにいて」
するといきなり、母が自分の膝で眠る涼介をソファに横たえた。
席から立ち上がったのだ。
「え?」
「何が起きても外に出ちゃだめ」
赤い傘が壁に立てかけられている。
でも母はそれを手に取らなかった。
「リョウとここにいるんだよ」
どこへ行くの。
礼矢は問いかけたかった。
でも礼矢は、何も聞かない。
聞かないんじゃない。聞けなかったのだ。
いつだって、大切なことは何も。
「……はぁ」
母が震えるため息を吐いてしゃがみ込み、涼介の頭をもう一度撫でた。
そうして独り言みたいに「もう、これしかないか」と囁く。
礼矢には全く意味が分からなかった。どうしよう。不安で発狂しそうになる。今すぐ泣き喚いて、どこかへ向かおうとする母を引き留めたい。
すると母が立ち上がり、「レイ」と玲を見下ろした。
「大好き」
「……お母さん?」
呟くと同時、母が躊躇いなく歩き始めた。
携帯を握りしめて、傘も持たずに去っていく。……大好き。初めて言われたような気がする。
礼矢だって言ったことがない。意識なんてしていなかった。好きなのは当たり前だったから。
まるで魔法みたいに母はあっという間に過ぎ去り、店を出て行った。
入れ替わりみたいに親子連れが入ってくる。
礼矢と同じくらいの年の女の子と、中年の女性。いかにも母親らしいその女性は礼矢の母よりもずっと年上に見える。そういえばお母さんは幾つなのだろう。前にテレビを見ていた時、二十代の女優を見ながら「この人同い年なんだよね」と呟いていた。
礼矢は立ち上がった。ここにいて、と言われたから言いつけ通り店から出ずに、窓まで向かう。
母の白い車が見えた。店の前に停めていたらしい。雨に打たれながら歩く母が、車に乗り込んだ。
運転席に座り込んでいる。両手で顔を覆った姿を、礼矢は認めた。
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