【完結】愛する人にはいつだって捨てられる運命だから

SKYTRICK

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第四章

44 愛するものの痛み

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「私たちは今でも分からないの」
 エミーリアの遺体がどこにあるかを。
 テオバルトから得た情報によると彼女の身体は弱り切っていた。衰弱死するのも時間の問題だろうと彼は嘲笑っていたらしい。
 おそらく逃亡から数年後、彼女は亡くなってしまったのだ。
 ……弱りきって?
 ふと、ライハルトは強烈な違和感を覚える。エミーリアが……黒猫のツカイが弱っていた?
 ライハルトは問いかけた。
「しかしミカは……どれだけ身体に傷を受けようとすぐに回復していました」
「ええ、そうよ。ツカイはそういうものだから」
 バルバラは淡々と告げる。
「ツカイは、苦しみを受けるように出来ている。だからツカイなのよ」
「一体、ツカイとは何なのですか」
 バルバラはじっとライハルトを凝視する。その視線はまるで、ライハルトの心を強制的に縛り上げるように力強い。
 これから話すことは他言無用であると彼女の目が語っていた。
 ライハルトは視線を逸さなかった。
「ツカイとは」
 バルバラはゆっくりと唇を開く。
「私たちにとっての幸福であり、守護神でもあるわ」
 彼女は語った。
「文字通りの意味よ。ツカイには幾つかの役割がある。一つは『魔術の箱』」
 魔女達はツカイに自分の魔法を与えることができる。大切な魔法はツカイを通じて、次の魔女へと伝わっていくのだ。
 ツカイ達は本来魔法使いではないが、魔女に分けられた魔法は手に入れられる。
「そしてツカイ達はカラスの子も黒猫の子も、自分で自分の体を操ることができる。完全な獣の姿にも自在で変化できるわ」
 ライハルトは思わず「ミカは」と挟んだ。
「自分ではコントロールできない、と言っていました」
 バルバラは驚いたように目を見開いた。
 しかし然程時間を置かず、眉を下げて「そう」と悲しげにつぶやいた。
「ミカは、そうなのね……」
 ライハルトは釈然としなかった。が、バルバラが伝えたいことは次の役割だろうと察する。
 黙って続きを待つ。バルバラは一息吐き、吐息混じりに告げた。
「最も特徴的なツカイの役割が、エミーリアの衰弱化に繋がるわ」
 バルバラはそこで言葉を切り、唇を一文字に結んだ。
 それから言葉を再開した。それは魔女のツカイたちの独特な能力だった。
「ツカイは愛する人の苦しみや痛みを引き受けることができるの」
 バルバラはしどけなく体を傾けた。ソファの肘置きに腕をつき、半身の力を預ける。
 長い黒髪が揺らいだ。
「だから魔女達はツカイを愛すると言われているわ。ツカイを自分の盾にするためにね。……今の時代でツカイが痛みを代わることなどないわよ。平和な時代ですから。けれどエミーリアは違った」
 エミーリアは平和とは程遠い環境にいた。
 彼女の生活は戦争だ。
「エミーリアは、テオバルトが子供達に与えた痛みさえも自らが代わりに引き受けていたの」
 転落死する前のテオバルトがそれを証言している。子供達を幾ら殴りつけようとも彼らは傷さえ負わなかったと。
 全ての痛みをエミーリアが代わっていたのだ。
「確かにツカイ達は、痛みを受けても回復する不思議な性質がある。けれどエミーリアは赤子を死に至らしめるような暴力さえ引き受けていた。その積み重ねが彼女を死に追いやったの」
 そうしてエミーリアは衰弱死してしまった。
 その遺体はいまだに見つかっていない。だが死んだであろうことは、兄のエルとされている少年が一人で土砂崩れに巻き込まれていることからうかがえる。
 常に行動を共にしていたはずの息子が一人でいたのだ。それはエミーリアが亡くなったからなのだろう。
 バルバラはエルの死も把握していた。ある日突然、エミーリアが身につけていたペンダントが土砂崩れの現場で見つかったとの情報が公爵邸に入ったらしい。その事故には一人の少年が巻き込まれていると目撃情報が入っている。ペンダントを持っていたのならエルだ。彼は一人で森を彷徨い、泥に飲まれてしまった。
 傍に母親はいなかった。ミカも同様だ。ミカがディニィ地区にやってきたのは六歳頃であったとフォルカーからの調査で分かっている。そこに母親の姿はなかったし、ミカ自身も『親はいない』と認識していた。
 エミーリアは子供達を連れて二年近く逃亡してから、亡くなったのだろう。
 それからは子供達で彷徨ったが、ミカは兄とも死別してしまう。
 その事実をミカは、最悪な形で突きつけられた。
「幼い子供達はきっと自分の正体を明かさぬよう母親から教えられていたに違いないわ。黒猫の獣人の噂が広まったらテオバルトに見つかってしまうと恐れていたに違いないもの」
 ミカは自分の意思というより誰かに言いつけられて自分の正体を隠していた。幼い頃からそうしろと教えられていたかのように。
 ――『よく、分からないんです……子供の頃から母にも兄にも、自分たちの体質のことは黙っているように言われていて、みんな、隠していたんです』
 かつてミカはそう言っていた。
 母子らは自分たちがツカイであることを秘密にして、人間として暮らしていたのだろう。ライハルトはミカを心に思い浮かべる。自分でもなぜそうすべきか分からないといったように獣人であることを秘密に押し込めていたミカ。
 それは母親がミカを守るためだったのだ。
 ミカを思う心の一方で、ライハルトは同時に考える。
 テオバルトがエミーリアを欲したのは彼が『ツカイ』を求めていたからなのだろうか? 暴力で支配し、金で人間を買うその性質は、自分が何も持たないことへの劣等感から生まれた暴力性だったのだろうか。
 それにしてもどうしても引っ掛かることがある。
 なぜ、そんなことが可能だったのか。
「バルバラ様、一つ質問があります」
 どうして……。
 テオバルトはエミーリアを攫うことができた?
「テオバルトはどのようにしてエミーリア様を攫ったのですか」
 どうしても腑に落ちない。人を攫って遠くまで運ぶのは容易ではない。もしもエミーリアが魔法を授けられていたなら更に困難だ。なのになぜ、テオバルトは彼女を攫うことができたのか。
 バルバラは眉間に皺を寄せた。心底痛ましげな表情を浮かべて、答えを告げる。
「エミーリアを猫にしたのよ」
「そんなことが、可能なのですか?」
 ライハルトは眉を顰める。猫にする、だと?
 ツカイ達は自分で獣になることができる。そう教えてくれたのはバルバラなのに……。
 ……いや。
 そうだ、違う。
 ライハルトはすぐに気付いた。そうだった。ミカは言っていた。
 自分の意思で獣になることはできないと。
「彼らは意図せず獣化することもあるわ」
 ミカは、『タイミングが掴めない』と言っていた。
 意図せず、黒猫に変化していたのだ。
 嫌な予感がする。
 次の言葉を聞く前から心が戦慄く。まさか……ミカは……。
 バルバラは容赦なく告げた。
「耐え切れないほど心や身体が疲弊した時は、獣になってしまうのがツカイの性質なの。相当追い詰められなければそうなることもないけれど」
 ミカが意図せず黒猫になっていた理由が、今、突きつけられる。
 ライハルトは絶句した。脳裏に過ぎるのは黒い影と赤い光だ。
「ミカは『自分の意思で獣になれない』と言ったわね。あの子は獣になる方法を母親から教わっていなかったんだわ」
 ――初めて出会った時、ライハルトは黒猫になったミカに矢を放った。
 極限まで追い詰められていたミカを更に追いやったのだ。
「幼い子供達を探し出してやれないことを、ずっと心苦しく思っていたわ。申し訳なくてたまらなかった。ライハルトさん、ミカは元気なのよね?」
 ミカはライハルトの元から働き始めてから数ヶ月は毎日のように黒猫に変化していた。ミカは『自分の意思で変化できない』と言ってたが、きっと猫になる条件は自身で把握していたのだろう。
 それなのに。
 ――『猫に戻れ。人間のお前が何になる』
 ――『人間なんてな。がっかりだ』
 ――『お前が猫になれば済む話だから』
 俺は、何てことを。
「……ライハルトさん?」
 ミカを猫にしていたのは、俺だったのだ。
 自分の放った暴言と態度に吐き気がして口元を片手で抑える。ライハルトは目を見開いて自分の膝を見下ろした。
 毎晩のように猫に変わるミカを膝に乗せて撫でていた。黒猫のミカも気持ちよさそうに目を細めていた。
 ライハルトが揶揄ってみるとミカは怒ったようにニャアと喚く。ライハルトはその時間が好きだった。
 だがそこには苦痛や疲弊といったミカの犠牲があったのだ。
 ミカは追い詰められてその姿になっていただけ。それをライハルトは何も知らずに楽しんでいた。それはなんと、グロテスクな光景か。
 ミカへ対して『猫になれ』とライハルトは言った。
 それはつまり、心を殺せ、と同義だったのだ。
「ライハルトさん? ご気分が悪いの?」
「……ミカを此処へ連れてくる前に、申し上げたいことがございます」
 ライハルトは吐き気を堪えて、唾を飲み込んだ後に告げる。
 自分の声なのに驚くほど低く不気味だった。ライハルトは深く息を吸って、吐く。
 今は己の罪に浸る場合ではない。
 バルバラはやはり信用に足る人間だった。
 ライハルトがすべきことは、ミカが人間に戻る手がかりを探すことだ。
「実は今のミカは――……」
 ミカが本物の黒猫のようになってしまったことを過程から全て打ち明ける。
 ミカがなぜライハルトの元へやってきたか、それまでどのように暮らしていたかまで知り得る限り全てを。
 バルバラは「本当の猫、ね……まずはミカに会わせてちょうだい」と至極冷静に受け止めた。
 ライハルトは頷き、ふらつく足で立ち上がる。エルマーらの元へ向かう時に、はっと思い出してバルバラへ伝えた。
「ミカの瞳は青ではなく赤いのです。これは異常なのでしょうか?」
 バルバラは声なく目を見開いた。何か考え込むような間を置いて、その後、
「……一体、どんな色なのかしら」
 とだけ呟いた。
 一体、あの瞳に何が起こっているのか。
 まるで知っているような反応だった。
「……これは魔法ね」
 籠の中を覗き込んだバルバラが呟く。
 ミカは相変わらず眠っていたが、一度だけ目を開けて、自分を覗き込む大人達を見上げた。
 赤い瞳でバルバラを見つめた後、また何もなかったように眠り始める。その一瞬でもバルバラは瞳の赤の仕掛けを見抜いたようだ。
「瞳の色を変えるまじないよ」
 ミカは丸くなり、尻尾で体を覆うようにして眠っている。
 ライハルトは幾分か声を小さくして、繰り返した。
「まじないですか」
「ええ。まだ本物の色は分からないけれど、きっと青ね」
「元に戻るのでしょうか」
「戻るわ。だってこれは、私が授けた魔法だもの……」
 バルバラの声がかすかに掠れる。
 見ると、彼女は口元を手で覆って目に涙を滲ませていた。ライハルトは先ほどの会話を思い出す。
 ツカイは魔女の魔法を預かることができる。
 バルバラは遠い過去を思い出しているのか、微笑みを目元に浮かべた。
「エミーリアが子供の頃に、青い瞳を桃色に変えてみたいとせがんできたの。だから私がこの魔法を教えたのよ……ミカを逃がすために瞳の色を変えたのね。青い瞳は目立って、見つかってしまうもの」
 クスッと笑うバルバラは、ミカを見つめ続けている。
「でも少し拙い魔法かしら? エミーリアではなく、お兄さんのエルくんが魔法をかけたのかもしれないわ」
 ミカは何も聴こえていないように眠り続けている。バルバラは、ミカを起こさないためにか、囁き声を落とした。
「見つけられなくてごめんなさい」
 バルバラの瞳から涙がこぼれ落ちる。
 嗚咽を堪えながら、彼女は言った。
「苦しい思いをさせて、ごめんね。ミカ。ずっと貴方が帰ってくるのを待っていたのよ」



















 公爵邸の一室を借りて過ごすことになった。エルマーは、数日ライハルトが本部に戻らない旨を幹部たちに伝えるためにリエッツへ戻ると言った。
 書類仕事なら転送で進めることができる。だがエルマーは「僕たちで何とかできますから。だってそうでしょう? 誰が病を患っても機能するように会社を創り上げたのは社長ではないですか。数日休んでも大丈夫です」と毅然と告げる。
 エルマーに礼を言って、ライハルトは公爵邸に残った。何とも頼もしいものだ。おかげでミカの傍にいられる。
「……ミカ」
 数刻前に食事をしたミカは、ベッドの枕に身を沈めて眠っている。
 ライハルトは彼の隣に腰を下ろし、その黒い毛並みを一度だけ撫で付けた。
 バルバラ曰く、こうして元の人間の精神が消える症状は過去のツカイにも起きたらしい。公爵邸の歴史書に記された三件の症例では、一件は元の人間に回復し、一件は野生の猫となり逃げ出し野犬に噛み殺された。もう一件は、老衰死するまで猫のままでいた。
 不思議なことに、そうして完全な猫になってしまったツカイは猫の寿命で命が尽きるのだと。ツカイは、魔女とまでは行かないが寿命が長い。だが最後の症例のツカイは、猫の寿命で老衰した。
 元に戻った症例では、なぜ人間に回復したのか不明で記述は曖昧だった。
 無理もない。それは五百年前の出来事だ。
 バルバラと公爵邸の家族達は皆、必死にミカが人間に戻る術を探している。だがこれは稀に見る現象だ。基本的にツカイ達がそこまで精神を追い詰められることはないのだから。
 彼らの能力を抜きにしても、カラスや黒猫のツカイは魔女に愛される。愛されて育った子らは、たとえ悲劇が訪れようと魂を失わない。彼らには自分たちを愛してくれる者の待つ帰る場所が存在している。だからその心は、家族の元へ帰るためツカイらの体に留まるのだ。
 けれどミカはどうだろう。
 割れた鏡はライハルトの手元にある。
 これはミカを助けた老婦の遺品で、彼女の死をミカは見届けられなかった。
 生まれる前からミカの父は母や兄を苦しめていた。母は、子供達を守って亡くなり、兄はミカの傍から姿を消した。
 幼い自分と遊んでくれた幼馴染はやがてミカに牙を剥き、ミカを拾った男は最悪の形でミカを裏切り屋敷から追い出した。
 そして黒猫に変化したミカが行き着いた先では、その身に矢を放たれたのだ。
「ミカ」
 ライハルトもミカを追い詰めた人間の一人だ。
 謝っても謝りきれない。ミカに放った自分の言葉が今、毒矢となってライハルトに帰ってくる。
 体の深いところに突き刺さって、その傷から生命力が流れ出しているかのように、身も心も重かった。ライハルトはその矢を抜こうとも思わない。これは自分がミカに放った矢だ。最初から、ライハルトのものだった。
 それでもミカのそばを離れたくなかった。
 声が聞こえなくても、語りかけ続ける。
「ミカ、もう戻ってきてくれないのか」
 ミカは眠っている。
 小さな鼻がたまに動く。何の夢を見ているのだろう? 耳がブルッと時折震える。
 ミカと話をしたいのに言葉が通じない。
 ミカの話を……聞きたいと願うのが遅かった。
「……俺が悪かった」
 もっと初めから優しくしてやれば良かったのだ。
 初めから、ミカの言葉に耳を傾けるべきだった。
「ごめんな。もっと早く話を聞いてやればよかったんだ」
 ――冬の森に黒猫が倒れている。ライハルトは構えた弓を下ろして、馬から飛び降り、傷ついた黒猫を救い上げる。
 暖かい湯で汚れた体を洗い流し、スープを飲ませてやる。中身が人間だと知っても、決して貶すことなくミカを屋敷に迎え入れる。
 夜になったら、人間のミカと何でもいいから話をする。彼が抱えているしがらみについて真剣に考え、ディニィ地区に残した老婦を邸宅へ迎え入れて治療してやるのだ。
 春になればミカは『婆ちゃん』を連れて庭を散歩するだろう。祭りの日は、ミカと『婆ちゃん』とライハルトで出店を回る。
 そうすればたとえ恐ろしい悲劇がミカに降りかかっても、きっと大丈夫だったはずだ。
 話を聞いてやるだけでよかった。
「俺のせいだ」
 そうすればもっと違っていたのに。
「ごめん……」
 それでも、ライハルトは願ってしまう。
 ミカ。
「帰ってきてくれ」
 ミカにとってこの現実が過酷だとしても帰ってきて欲しい。
 今からでもいいから話がしたい。ミカ。
 帰ってきてくれ。
 ここにはミカと血の繋がった家族がいる。バルバラはずっとお前の帰りを待っていた。まだ家族は残っている。ミカはまだ、全てを失っていない。
 拳を強く握りしめる。爪が手のひらに食い込んで血が溢れてしまう。ミカに触れたいけれど、その安心した眠りを妨げるのが嫌だった。だから代わりに手を握りしめていた。
 小さな寝息が心を擽る。かすかに上下するミカの背を見つめる。
 ふと、頬に熱い何かが伝った。
 ライハルトは涙を流していた。
 手のひらから生まれる痛みのせいではない。ただ、ミカの寝息を聞いているだけで泣けてきたのだ。
 その涙が不意に教えてくれた。
 ——ああ、そうか。
 俺はミカを愛している。
「……ミカ」
 この冬を過ごして見たミカの様々な表情が記憶を埋め尽くした。胸が焼けるように熱くなる。雪解けを迎えて太陽の日差しで温まっていく春の庭のように、ライハルトからミカへの恋心は知らぬ間に温まっていた。
 心が、ミカでいっぱいになる。風船が弾けて溢れる花みたいだ。ライハルトの心を覆っていた硬い殻が弾けて、ミカへの想いが溢れ出す。
 聞こえていないと分かっていても、ライハルトは囁いた。
「愛してる」









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