仮面を被った彼女は公爵邸でもう一度恋をする

ARIA

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1章

告白

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「…オリバーおぼっちゃま!!」

なんで?30分前に着いてるの

「早かったな」

オリバーおぼっちゃまはいつもとどこか雰囲気が違った

具体的に言えばいつもよりちゃんとしてる

ネクタイを締めて、髪もボサボサじゃない

「いえオリバーおぼっちゃまこそお早」

「なぁ少し歩こうか」

どうしたのかな?

顔を見る。緊張してるようだけど、何故?

「俺の顔になにかついてる?」

グイッと顔を寄せるオリバーおぼっちゃまは、後ろの花も相まってとても美しい光景だ

まぁリッテン公爵令息だからな

「…いえ」

「そう、良かった」



「あれはユリ?」

「旦那様、どうかなさいましたか?」

「いや、あそこにメイドがいただけだ」

そう…それだけだ

別に公爵たる自分が気にすることでは無い

彼女が亡国の女だろうとメイドだろうと

「でも旦那様あれきっと告白ですよ」

「…それに俺がなんという関係が」

「好きなんでしょう?マリーのこと」

「馬鹿なこと言うな…それにもし仮に俺に好きなやつがいて…好きなやつが告白されててもどうしようもないだろ?」

「とめないんですか?」

「とめないが…逆になんで」

「嫉妬ですよ」

「嫉妬して告白を止めるのは俺はしたくない…相手がそいつ好きだったらどうするんだ?」

「でも」

「だいたいそいつは勇気出して告白したのになぜ止めなければならない?
それは相手のためじゃない、自分のためだ。相手を自分の感情奴隷にして、尊重してない」

影で見えないアイザックの表情

先走りすぎたか…でも俺はこれは間違ってると思ってない

「そんなの…俺は嫌だ」

彼女ユリがほかのやつが好きなら、そいつがクズじゃなければ俺はとめない

無能なら俺が助けてやるし、金がないならそれも心配しなくていい

なんで俺彼女ユリを想像したんだ?

「ご立派な心意気ですが…聞こえてしまうので」

静かにしていると彼女に告白しているオリバー公爵令息の声が聞こえた



「え?」

「俺と…俺は…俺はお前が…好きなんだ」

少し慌てながらも真っ直ぐな瞳

これが適当でないと物語っている

「…お」

「俺はさ、人に…人の涙が好きなんだ。いや、優越感を感じたい。ちっちゃな人間なんだ」

「…」

「でもお前の涙は見たくないし、いじめたくもない。それにお前だけには」

黙ってからオリバー様は小さな声でいった

「嫌われたくない」

ああ、私告白されてるんだ

信じられなかったけど…

「お前は俺が嫌いか?」

そんな聞き方…しないで

「嫌いじゃないです」

これは本心だ…怖いけど嫌いかと言われると違う

「ありがとう。俺ですら嫌いな俺を嫌わないでいてくれて…返事は…いつでもいいから。10年後でもずっと待ってるから」
 
「…今いいですか?」

「…ああ、いい」

「私は」 
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