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1章

故国の料理

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「アイザック様!」

「これでよろしいですか?」

「はい!ありがとうございます」

アイザック様に頼んでいた食材を受け取り、鍋に水とワミャーの葉をすり潰したものを入れる

 「沸騰するまで…か」

他には…なに作ろうかな

私が風邪ひいたり嫌なことがあった時、お母様はゼリーを作ってくれたな

「ゼリー作ってみようかな」



「完成!」

でも、多く作りすぎちゃったな

「料理は出来ましたか?」

「アイザック様!」

「すごく美味しそうな…」

「粥とゼリーです」

「粥?ゼリー?」

「まあ郷土教理みたいなものです」

言えないけど

「そうですか…」

あ、そうだ!

「アイザック様、お腹すいていますか?」

「えっ…と……はい」

少し照れながらアイザックは頷いた

「これ食べますか?余ってしまって」

「確かに奥様には多いですね」

「いっぺんにこれくらい出来ちゃうので」

「ではお言葉に甘えさせていただきます」

「どうぞ」

器に粥と別の皿にゼリーを入れて、トレーに乗っける

「ありがとうございます」

「いえ…では失礼致します」

トントントン

「ラナ様…入っても?」

「あ……マリー…いいわよ」

「ありがとうございます」

ラナ様の顔は前と違ってまだ泣き顔だった

「これどうぞ」

「ありがとう…」

「ラナ様、このままお側にいた方がいいですか?いない方がいいですか?」

「…大丈夫」

「わかりました…何かあればお呼びください」

「わかった…ありがとうマリー」

「いえ」

「では失礼致します」
 
静かに扉を閉め、外に出る

やっぱりラナ様…元気なかったな


「今は…6時半…か」

おぼっちゃまは7時と言っても多分来ないだろうな

でももし来てたら大変だし、やることも無い

「はぁ…」

行くか

花園って…あそこだよね



「アイザック!」

「予算の5年前の資料をもってこい」

…居ないのか

「アイザック!」

「はい、旦那様?」

「粥か?それは」

粥なんて久しぶりに見たな

「そうです」

「誰が作ったんだ?」

取り皿に分けてあるアイザックの粥を見る

「マリーです」

「これはゼリーか?」

「お詳しいですね」

「ああ」

この料理…懐かしい

「アイザック…それくれないか?」

「どうぞ。器分けておいて良かったです」

パク

「ん…これは」

懐かしい…美味しい

これは…ユリの母親の味に似ている

高貴な方だったのに料理がお好きだった

「休憩する」

「は、はい?」

「花園に行く」

「ご一緒します」






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