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1章
王子殿下
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ふわっ
「どうぞ、アンリおぼっちゃま」
アンリおぼっちゃまに出したアップルティーの良い香りが鼻腔をくすぐる
「ありがとう。そうだ、前に夫人あなたにあげたカップはまだありますか?」
それは私が割った皿とセットのカップ…
「ええ、ありますよ」
「では、今度またお茶会にご招待していただけませんか?」
「構いませんが…お兄様」
「はい?」
「敬語やめていたたげませんか?私は今公爵夫人ですが貴方の妹でもあるのですから」
「それが貴女の頼みなら…ラナ、お茶会で前に僕があげた1式を使ってくれないか?」
「わかりました」
「もし君が使いにくそうなら変えるよ」
なんだかんだ言ってこの方もラナ様を大事にしていらっしゃるのよね
「お兄様、ありがとうございます」
「ああでもラナ、僕は外では君に敬語を使うからね?」
「分かってます。お兄様」
「なんだい?」
「オリバー兄様どうにかできない?」
「善処しよう…だが」
「分かってるわ、厳しいのは」
「あいつはそういう人間なんだ」
オリバーおぼっちゃま、人を従属させることにしか興味が無い人
どんな人間でも…だ
「ねぇお兄様」
「なんだい?ラナ」
「プレゼント届けてくれないかしら?その…」
「王子殿下に?」
「え、ええ!」
私はラナ様が宝石商に作らせたプレゼントをラナ様に手渡す
「なあ」
アンリおぼっちゃまが声をかけるが気づいていないのかラナ様は話を続けた
「鳥も運べないと思って。ねぇ兄様彼に婚約者はいる?」
「いない…というかラナ聞いてくれ」
「何?」
「ルイ王子殿下は…薨去なさった」
ガタン
私は宝石箱を落としてしまったが誰も気にとめない
それくらいあってはならない悲しいこと
「…兄様、そんな縁起の悪いこと言わないで」
「信じられないだろうが…僕も直接見たわけじゃないんだ。でも、王室がそう…」
「ありえない…ルイ様は私に迎えに行くとお手紙を下さったわ」
ラナ様の目の下の一筋の線が光る
「…ラナ、だ」
「出ていって」
「…ラ」
「独りにして…ねえお願い、マリーも兄様も」
「わかりました…失礼致します」
似ている
あの頃の私と似ている
…どうして今になってあの時の繰り返しをしなければならないのだろうか?
「じゃあな」
静かに扉を閉めた
「…あのアンリおぼっちゃま」
「なんだ?」
「王子殿下の死って」
「俺の部屋に来い…ここはダメだ」
「はい」
「どうぞ、アンリおぼっちゃま」
アンリおぼっちゃまに出したアップルティーの良い香りが鼻腔をくすぐる
「ありがとう。そうだ、前に夫人あなたにあげたカップはまだありますか?」
それは私が割った皿とセットのカップ…
「ええ、ありますよ」
「では、今度またお茶会にご招待していただけませんか?」
「構いませんが…お兄様」
「はい?」
「敬語やめていたたげませんか?私は今公爵夫人ですが貴方の妹でもあるのですから」
「それが貴女の頼みなら…ラナ、お茶会で前に僕があげた1式を使ってくれないか?」
「わかりました」
「もし君が使いにくそうなら変えるよ」
なんだかんだ言ってこの方もラナ様を大事にしていらっしゃるのよね
「お兄様、ありがとうございます」
「ああでもラナ、僕は外では君に敬語を使うからね?」
「分かってます。お兄様」
「なんだい?」
「オリバー兄様どうにかできない?」
「善処しよう…だが」
「分かってるわ、厳しいのは」
「あいつはそういう人間なんだ」
オリバーおぼっちゃま、人を従属させることにしか興味が無い人
どんな人間でも…だ
「ねぇお兄様」
「なんだい?ラナ」
「プレゼント届けてくれないかしら?その…」
「王子殿下に?」
「え、ええ!」
私はラナ様が宝石商に作らせたプレゼントをラナ様に手渡す
「なあ」
アンリおぼっちゃまが声をかけるが気づいていないのかラナ様は話を続けた
「鳥も運べないと思って。ねぇ兄様彼に婚約者はいる?」
「いない…というかラナ聞いてくれ」
「何?」
「ルイ王子殿下は…薨去なさった」
ガタン
私は宝石箱を落としてしまったが誰も気にとめない
それくらいあってはならない悲しいこと
「…兄様、そんな縁起の悪いこと言わないで」
「信じられないだろうが…僕も直接見たわけじゃないんだ。でも、王室がそう…」
「ありえない…ルイ様は私に迎えに行くとお手紙を下さったわ」
ラナ様の目の下の一筋の線が光る
「…ラナ、だ」
「出ていって」
「…ラ」
「独りにして…ねえお願い、マリーも兄様も」
「わかりました…失礼致します」
似ている
あの頃の私と似ている
…どうして今になってあの時の繰り返しをしなければならないのだろうか?
「じゃあな」
静かに扉を閉めた
「…あのアンリおぼっちゃま」
「なんだ?」
「王子殿下の死って」
「俺の部屋に来い…ここはダメだ」
「はい」
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