仮面を被った彼女は公爵邸でもう一度恋をする

ARIA

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1章

シエル・デクリオン

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「入れ」

「人払いされているのですね」

「ああ聞かれると困る」

「ご用件は?」

「お前…俺のこと知ってるな?」

知ってる…?なんの事?

「俺の顔を見たあとシエル様とそう言ったそうだな」

え?聞かれてたの!?

「何も言わないってことは図星だな」

「…」

どうしよう

「さあ吐け!どこで聞いた?皇帝の手先か?」

皇帝…?皇帝って…シエル様の兄君?

「…し」

これしかない…か

「し?」

「シエル様と申したのは…シエル・デクリオンの事です!」

「シエル・デクリオン?」

「はい、古ファールフェスト連邦の王様です。本名はシエル・ファールフェストですが…」

「俺の顔を見たあと…というのは」

「それは…特に関係はありません」

貴方に嘘なんてつきたくない…だからこれ以上聞かないで

「帰れ」

「え?」

「帰れ!」

「わ、わかりました!」

シエル様は見るからに辛そうな顔をしていた。まるで最も出会いたくないものとあってしまったかのように



「彼女に怒鳴ってしまった…」

それにしてもシエル・デクリオンだなんて



「ねえシエル!…シエル聞いてる?」

「シエルシエルってうるさいな!俺はその名前が嫌いなんだよ!」

「私は好きだけどな…なんで嫌いなの?」

「シエルって言ったら皆『星王』に出てくるあの悪人シエルを想像するんだ!」

「でもシエルって空ってことでしょ…私は空好きだよ」

「…俺は嫌いだ。皆空が連れていくんだ」

「もう…シエル・デクリオン知ってる?」

「誰だ?それ」

「ファールフェスト連邦の王様だった人!」

「へぇー」

「優秀な人なの…飴と鞭の使い分けも上手くて善政って言われてる」

「それで?」

「私はその人みたいになりたいの…シエルも彼を目指してみれば自分の名前誇りに感じると思うよ」



「誇りに…か」

それからはシエルという名は何だかんだ愛着があった…レオよりは

「空…空にとんでいきたい」

皇帝(クサリ)から逃れて

「天国にいっそ」

そこでユリと会う  

マリーがユリだったら無理だがそれでも

「それも…悪くない」

どうせ羽ばたけないのだから夢くらい見させてくれてもいい


「はぁ…」

「あら?マリー元気ないわね」

「あ、すみません」

「ねえ、マリーちょっと来て」

「はい」  

「ここ、おかしいと思わない?」

「予算ですか…え、おかしいですね」

「おかしいわよね」

シエル様の領地の方の館にいる従者に月20金貨?

2金貨で家族4人の1週間、普通の生活ができるというのに?

従者は平均だと12金貨位だ。そして領地ならもう少し安く11金貨13銀貨くらいか?

20銀貨で1金貨、ほぼ11.5金貨だが…

「8金貨も違う」

「おかしいわね…これで大体50人分だから…400金貨が1ヶ月」

400金貨か…私1人なら10年は暮らせる…いや、もっとか?



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