仮面を被った彼女は公爵邸でもう一度恋をする

ARIA

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1章

お姉ちゃん

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「ラナ様、運命さだめなんて気にしなくていいんです」

私はそしたらあそこで死ぬ運命だったかもしれない

「ラナ様たちはもう頑張ってきました」
 
デートと言いつつ視察に行き、恋人との話し合いの時間も国王からの命令で戦争に勝つための話し合い。そのくせ、国民にとっていらない人達だと批判をされているラナ様と殿下

「でも…でも」 

ラナ様から手を離す

「ラナ様、逃げろとは言えません。今逃げても殿下は来ないでしょうから。でも、拒み続けるんです」  

「…」

「閣下が外に愛人をつくるまで待つのです」

自分でも何言っているのか分からなかった。でもなんとなく公爵閣下をラナ様に渡したくなかった

「そしたら」

「このアーデクトでは一夫一婦制ですので悪いのは閣下です」

「私そんな事やって惨めにならないの?」

私、私何言ってるの?

「…なるかもしれません。今のは本気にしないで下さい。話しすぎてしまったせいか…もう9時です」

「まだ9時じゃない」

「ラナ様が望まれてなくとも結婚式は結婚式です」

ラナ様に布団をかける

「えー」

「ほら、お休みください。良い夢を」

「マリーもね」

「ラナ様、殿下が居なくとも私はいます。何かあったら頼ってください」

「ええ、勿論よ。お姉ちゃん」

ラナ様が優しく囁いた言葉に私は驚いて言葉の主を見る

「お姉ちゃん!?」

「町ではお姉様っていうのをお姉ちゃんって言うんですって。マリーは姉みたいな存在じゃない」

「ただのメイドをそんなふうに言わないでください。ラナ様」

「ただのメイドじゃない…私の命の恩人で大切な家族よ。ねえ明日頼んだわよ」

私の方こそ助けられたというのに   

頼んだ?結婚式の世話?

それとも…まさかマリーガール?

「ラナ様…私こそ感謝してます。明日…本当によろしいのですか?」

「ふふっ、じゃあお互いってことでお休みマリー」

「ええ、お休みなさい」

扉を閉めると、後ろに気配を感じた

「えっと…」

後ろを振り向くとエイムズ家の執事長がいた

「アイザックです。孤児でしたので苗字はございません」

「アイザック様、どうなさったのですか?」

「公女様が何か困ったことがないかと」

「夜中に執事長が?」

男が?

「本当はメイド長にしようと…今出張中で」

「メイド長が出張中?」

メイド長の仕事はメイドの管轄とか…直接仕えたりするものでしょう?

私の知識が違うの?

「はい、実は旦那様の親戚の方がメイド長に惚れたとか」

「メイド長に?」

「はい、旦那様も無下にできない立場のお方でしたので」

「メイド長って何歳なんですか?」

「28歳です」

メイド長なんてメイドの出世コースなのに?

「若くないですか?あなたも彼女も」

「私は…幼き頃から旦那様の元で働いてきましたから、信頼されているんでしょう。彼女の家系は代々メイド長を輩出してきて…優秀な者たちが多く」

凄い、2人とも

「そうなんですね」

「おや、長話をしてしまいました。公女様に何も無いなら私も失礼します」

「ええ、お休みなさいませ」

「そちらこそ」



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