仮面を被った彼女は公爵邸でもう一度恋をする

ARIA

文字の大きさ
上 下
1 / 23

序章

しおりを挟む
「ねえ」

うるさい

「ねえシル」

なんで俺にまとわりつく!

「助けてよ!!!シル」

なんで夢の中までお前が出てくるんだユリ!!





古くからの歴史があるウェストリッテ王国・唯一の公爵家の当主 アーテン公爵には2人の息子と1人の娘がいた

娘の名をラナ・リッテ・アーテンと言う

そしてラナに仕えるメイドのマリー

2人は今白馬の馬車にいる

「ラナ様」

私はため息をついて主であるラナお嬢様をみた

「なに?」

「そんなに睨まないでください、私のせいではないのですから」

そう。アーデクト帝国の暴君将軍に嫁がされるのは私どころかウェストリッテン王のせいですらない

「でも…この状況が黙って受け入れられると思う?」

「思いませんね」

「でしょう?私には恋人もいるのに」

ラナには元々第2王子という婚約者がいる。そして2人は恋仲でもあった訳で

「…第2王子様とは?」

「まだ切れたわけじゃないの…いつか迎えに行くって仰った」

「ロマンチックですね…」

「でしょう?ルイ様かっこいいから」

「しかしどんなにロマンチックだろうとそれは自殺行為では?」

「そう…これも全て戦争のせいよ」

「戦争…」

ウェストアーデクト戦争。死者を20万人出し我が国が衰退する原因となった戦争

アーデクトにとってはこの戦争のお陰で一気にウェストリッテンの支配国50を手に入れたのだから良かったのかもしれない

ウェストリッテンにとっては最悪だ

「優しい人だといいな」

「それは…期待できないのでは?」

「マリーは冷静だなぁ」

「今回の戦争と言えば卑怯にも魔術道具を集めたり、首都の至る所にスパイに爆弾を仕掛けさせたりというものです」

魔術道具は全て集めても10

10の伝説の魔術師が1人1つ作ったという大切なもの

魔術道具の扱いには厳しい規定があるのに

それを全部戦争で奪い取るなんて

「下劣だよね…ほんと」

「将軍様はその戦争の責任者です」

「知ってる…あいつのせいで………ごめんマリー」

ラナはマリーに向かって頭を下げた

公爵令嬢たるもの頭は簡単に下げないのにも関わらず

「ラナ様!おやめ下さい」

「マリーだって行きたくなかったでしょ?」

「いえ」

これは本心だ…今あの方がどうなっているか知りたいから

ガタンガタンと岩に当たったのか馬車が揺れる

マリーは小さな声で呟いた

「…シエル様」

「何か言った?」

「いいえ何も、それよりベールを」






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

もう散々泣いて悔やんだから、過去に戻ったら絶対に間違えない

もーりんもも
恋愛
セラフィネは一目惚れで結婚した夫に裏切られ、満足な食事も与えられず自宅に軟禁されていた。 ……私が馬鹿だった。それは分かっているけど悔しい。夫と出会う前からやり直したい。 そのチャンスを手に入れたセラフィネは復讐を誓う――。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

貴方の事なんて大嫌い!

柊 月
恋愛
ティリアーナには想い人がいる。 しかし彼が彼女に向けた言葉は残酷だった。 これは不器用で素直じゃない2人の物語。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

王女を好きだと思ったら

夏笆(なつは)
恋愛
 「王子より王子らしい」と言われる公爵家嫡男、エヴァリスト・デュルフェを婚約者にもつバルゲリー伯爵家長女のピエレット。  デビュタントの折に突撃するようにダンスを申し込まれ、望まれて婚約をしたピエレットだが、ある日ふと気づく。 「エヴァリスト様って、ルシール王女殿下のお話ししかなさらないのでは?」   エヴァリストとルシールはいとこ同士であり、幼い頃より親交があることはピエレットも知っている。  だがしかし度を越している、と、大事にしているぬいぐるみのぴぃちゃんに語りかけるピエレット。 「でもね、ぴぃちゃん。私、エヴァリスト様に恋をしてしまったの。だから、頑張るわね」  ピエレットは、そう言って、胸の前で小さく拳を握り、決意を込めた。  ルシール王女殿下の好きな場所、好きな物、好みの装い。  と多くの場所へピエレットを連れて行き、食べさせ、贈ってくれるエヴァリスト。 「あのね、ぴぃちゃん!エヴァリスト様がね・・・・・!」  そして、ピエレットは今日も、エヴァリストが贈ってくれた特注のぬいぐるみ、孔雀のぴぃちゃんを相手にエヴァリストへの想いを語る。 小説家になろうにも、掲載しています。  

私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜

月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。 だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。 「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。 私は心を捨てたのに。 あなたはいきなり許しを乞うてきた。 そして優しくしてくるようになった。 ーー私が想いを捨てた後で。 どうして今更なのですかーー。 *この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

処理中です...