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序章
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「ねえ」
うるさい
「ねえシル」
なんで俺にまとわりつく!
「助けてよ!!!シル」
なんで夢の中までお前が出てくるんだユリ!!
古くからの歴史があるウェストリッテ王国・唯一の公爵家の当主 アーテン公爵には2人の息子と1人の娘がいた
娘の名をラナ・リッテ・アーテンと言う
そしてラナに仕えるメイドのマリー
2人は今白馬の馬車にいる
「ラナ様」
私はため息をついて主であるラナお嬢様をみた
「なに?」
「そんなに睨まないでください、私のせいではないのですから」
そう。アーデクト帝国の暴君将軍に嫁がされるのは私どころかウェストリッテン王のせいですらない
「でも…この状況が黙って受け入れられると思う?」
「思いませんね」
「でしょう?私には恋人もいるのに」
ラナには元々第2王子という婚約者がいる。そして2人は恋仲でもあった訳で
「…第2王子様とは?」
「まだ切れたわけじゃないの…いつか迎えに行くって仰った」
「ロマンチックですね…」
「でしょう?ルイ様かっこいいから」
「しかしどんなにロマンチックだろうとそれは自殺行為では?」
「そう…これも全て戦争のせいよ」
「戦争…」
ウェストアーデクト戦争。死者を20万人出し我が国が衰退する原因となった戦争
アーデクトにとってはこの戦争のお陰で一気にウェストリッテンの支配国50を手に入れたのだから良かったのかもしれない
ウェストリッテンにとっては最悪だ
「優しい人だといいな」
「それは…期待できないのでは?」
「マリーは冷静だなぁ」
「今回の戦争と言えば卑怯にも魔術道具を集めたり、首都の至る所にスパイに爆弾を仕掛けさせたりというものです」
魔術道具は全て集めても10
10の伝説の魔術師が1人1つ作ったという大切なもの
魔術道具の扱いには厳しい規定があるのに
それを全部戦争で奪い取るなんて
「下劣だよね…ほんと」
「将軍様はその戦争の責任者です」
「知ってる…あいつのせいで………ごめんマリー」
ラナはマリーに向かって頭を下げた
公爵令嬢たるもの頭は簡単に下げないのにも関わらず
「ラナ様!おやめ下さい」
「マリーだって行きたくなかったでしょ?」
「いえ」
これは本心だ…今あの方がどうなっているか知りたいから
ガタンガタンと岩に当たったのか馬車が揺れる
マリーは小さな声で呟いた
「…シエル様」
「何か言った?」
「いいえ何も、それよりベールを」
うるさい
「ねえシル」
なんで俺にまとわりつく!
「助けてよ!!!シル」
なんで夢の中までお前が出てくるんだユリ!!
古くからの歴史があるウェストリッテ王国・唯一の公爵家の当主 アーテン公爵には2人の息子と1人の娘がいた
娘の名をラナ・リッテ・アーテンと言う
そしてラナに仕えるメイドのマリー
2人は今白馬の馬車にいる
「ラナ様」
私はため息をついて主であるラナお嬢様をみた
「なに?」
「そんなに睨まないでください、私のせいではないのですから」
そう。アーデクト帝国の暴君将軍に嫁がされるのは私どころかウェストリッテン王のせいですらない
「でも…この状況が黙って受け入れられると思う?」
「思いませんね」
「でしょう?私には恋人もいるのに」
ラナには元々第2王子という婚約者がいる。そして2人は恋仲でもあった訳で
「…第2王子様とは?」
「まだ切れたわけじゃないの…いつか迎えに行くって仰った」
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「でしょう?ルイ様かっこいいから」
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「そう…これも全て戦争のせいよ」
「戦争…」
ウェストアーデクト戦争。死者を20万人出し我が国が衰退する原因となった戦争
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「それは…期待できないのでは?」
「マリーは冷静だなぁ」
「今回の戦争と言えば卑怯にも魔術道具を集めたり、首都の至る所にスパイに爆弾を仕掛けさせたりというものです」
魔術道具は全て集めても10
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魔術道具の扱いには厳しい規定があるのに
それを全部戦争で奪い取るなんて
「下劣だよね…ほんと」
「将軍様はその戦争の責任者です」
「知ってる…あいつのせいで………ごめんマリー」
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「ラナ様!おやめ下さい」
「マリーだって行きたくなかったでしょ?」
「いえ」
これは本心だ…今あの方がどうなっているか知りたいから
ガタンガタンと岩に当たったのか馬車が揺れる
マリーは小さな声で呟いた
「…シエル様」
「何か言った?」
「いいえ何も、それよりベールを」
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