転生先は乙女ゲーム?

niko

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お茶会 2

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 私は今、芳しい紅茶の香りと焼き菓子の甘い香りに包まれた、花々が美しい、見覚えのある中庭にいる。

 そして、目の前にはピエロ王子。

相変わらず嘘くさい笑顔が張り付いている。逃げ出すことはできない、なぜなら、癒してくれるアルもいなければ、気を逸らしてくれるエルンダ嬢も今日はいない。



 陛下への顔見せと殿下とのお茶会を無事済ませ、我が家はいつもの日常に戻った。
 ひと月程経った頃、王妃様からお母様宛にお手紙が届いた。お母様と王妃様は知り合いらしく、久しぶりにお茶しにいらっしゃいという内容だった。お母様だけじゃなく、なぜ私まで・・・



 そして今、目がちっとも笑ってない殿下にロックオンされている。怖いよぉ、私何かしたかしら??


「シエンナ嬢。お茶会以来だね、変わりないかい?」

「ええ、殿下もお元気そうでなによりです。」

だってついこの間だもの!

 冷めないうちに紅茶をいただく。はぁ~やっぱり美味しいわ、きっと淹れてくれたのは何年も務めているベテランの侍女だろう。

「シエンナ嬢は甘いものは好きかい?そういえば、前回弟のアルと菓子の話していたな。」

やだ!聞かれてたのね!王城だということを忘れてた時だわ。

「ええ、好きですね。」

「そうか、遠慮せずに食べてくれ。」

「はい、ありがとうございます。」

 ダメだわ、ロボットみたいな返答しかできない。でもあっちもアンドロイドみたいな笑顔してるんだから、お互い様よね?

「・・・・。」

「・・・・。」


 変な沈黙が流れるなか、紅茶を飲み干す絶妙なタイミングで侍女がおかわりを入れてくれる。さすがだ。


「シエンナ嬢。」

「はい。」

「気を悪くしないでほしいのだけど、シエンナ嬢は・・・王家に対してなにか後ろめたいことが?」

なに?怖い。そんな笑顔で変なこと聞かないで!

「い、いいえ?」

(そうだよな・・・父上には普通だったしな・・・私だけに対してか?)

んん?

 殿下が何やらボソボソ呟いている。そもそも「あります!」なんていう人いるのかしら?

 なんだか刑事ドラマの犯人のような気分だわ。なんの取り調べかしら?殿下はなにか事件を追ってるのかしら?なんてね、ふふ。

「何がおかしい。」

 殿下が不機嫌そうに眉を寄せている。
不思議ね、なんだか殿下の不機嫌な顔を見ると安心するわ。

「いえ、なんだか尋問されている気分でしたので、申し訳ありません。ところで、殿下はなにをお知りになりたいのですか?」

「・・・・・・。」

「?」

「・・・今日は、この間のように逃げたりしないんだな。」

うっバレバレだったのね。。それは、確かに失礼なことだったのかもしれないわ。

「申しわ「詫びてほしい訳じゃない。私は理由を知りたいんだ。どうしてだ?この間は私にだけよそよそしく、父上やエルンダ嬢にも会うのは初めてだったはずだ。なのに、なぜ、私にだけ怯える?」

 あの詐欺師みたいな笑顔を貼り付けていた殿下が、身を乗り出し、眉尻を下げ、困った子供の顔をしている。

 私はこの顔が見たかったのかもしれない。眉間に皺がよった顔じゃなく。私がいうのもなんだけど、子供らしいかわいい顔だ。


「ふふふっ申し訳ありません。殿下はとてもかわいらしい方でしたのね。正直に申し上げますと、理由は、殿下の顔が怖かったからです。」

「かわっ!?いや、それはいい。顔が怖い?そんなことを言われたのは初めてだ。女性には褒められたことしかない。」

まぁ!自分で言う??・・・まぁ、実際そうなのかもしれない。

「私は怖くてたまりませんでした。今のお顔のほうが素敵ですわ。」

「今の?この間とどう違う?」

「ん~言葉にするのは難しいですけど、そうですね、感情と表情が一致してるかそうでないか、ではないでしょうか?」

もちろんホラー映画の話はしない。

「お前は感情が読めるのか?」

殿下の眉間に皺がよる。殿下の眉毛って表情豊かですわね。ふふ。

「まさか。でも今日の殿下は不機嫌な顔になったり、困った顔をしたり表情が豊かです。」

「表情か・・・。」

「はい。ふふ」

今日の殿下は困り顔が多いわね。無自覚だったのかしら?

「今日はよく笑うな。シエンナ嬢。これから私のことはフィルと呼んでくれ。お前に怯えられるのは気分が悪い。」

いやいやいや!それは無理です!

「いえ!あの!せめてフィラード様でゆる、と呼ばせてください!」

ふぅ。

「あと、今後怯えるかどうかはわかりません。殿下の笑顔は怖いですからね。」

 なんだか遠慮がなくなってきてしまってる気がするけど、殿下もお前呼ばわりしているし、まっいいか!怒られたら改めよう。

「本当に失礼なやつだな。まぁいい。また話し相手になってくれ。ほら、迎えが来たようだぞ。」

え?また?

「殿下、おひさしゅうございます。」

 お母様が王妃様とのお茶会を終え、私を迎えに来たようだ。挨拶をしながら、美しいカーテシーをし、私も隣に並ぶ。

「母とはゆっくり話せたか?会いたがっていたからな。」

「えぇ、とてもいい時間を過ごさせていただきました。殿下も楽しい時間を過ごされたようでなによりですわ。」

「え?あ、あぁ。では、公爵殿によろしくな。」

「はい、殿下。失礼いたします。」

 殿下は騎士たちと共に城内へ戻っていった。そして、私たちも帰りの馬車へと乗り込む。





「シィったら殿下に気に入られちゃったのね。うふふ」

「お母様ったら違うわよ。殿下は聞きたいことがあって、それで呼んだみたいよ?」

「あら、そうなの?それだけじゃないと思うのだけれどねぇ。」


 家に着くと、半泣きのお父様とアルが駆けつけてハグとキスの嵐だった。それが落ち着くと「殿下めぇぇぇ!」となにやらメラメラしてた。

 そのあと、部屋に戻るとアルに質問攻めにされた。鬼気迫る感じで、あれはちょっと怖かったわ。

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