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もう一人の公爵令嬢
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「姉様!お誕生日おめでとうございます!」
弟のアルがお祝いの言葉と共に抱きついてきた。ふふっアルはハグが好きなのよね。私も好きだけどっ
「ありがとう!アル。」
今日は、私の7歳の誕生日。そしてお父様とアルと3人で陛下にあいさつにいかなきゃいけないらしい。
数日前にお父様が、にがーい顔して「シィの誕生日になのに王城に行かなければならなくなった・・・。私の力が及ばず、不甲斐ない!」って頭を抱えていた。そんなに嫌なら断ればいいのにと思ったけど、陛下の命令は絶対だからいかなくちゃいけないみたい。お母様は「誕生日だから行くんでしょう?」と頬に手を当てて呆れてたけど。
家族で朝食をとったあと、侍女達に囲まれてキラキラのドレスに着替えさせられた。水色のふわふわしたドレスに、髪は半分だけ編んで白いお花の髪飾りをつけて完成だ。
「お嬢様、旦那様から離れてはいけませんよ。あと、王城で走り回ってもいけません。淑女の礼はもうできますね?陛下の前で恥をさらさないでくださいよ。」
「ミーヤ、わかってるわ。王城は家とは違うし、私だってオッズレン家の娘として行くんだから、ちゃんとできるわ。」
侍女の侍女兼教育係のミーヤから何度も言い聞かされる。ミーヤは言い方はきついし、厳しいけど本当は優しい。
ミーヤと手を繋いだまま、玄関ホールへの階段を降りると
「…行くのをやめよう。」
え?行かなくていいの?
「ムルファ、ダメよ。行くの。」
「だって!こんな妖精か天使かわからないぐらい可愛いって知ったらみんな連れて帰りたくなってしまうよ!」
「あなたがしっかり守ってれば大丈夫でしょう?シィ、アル、お父様から離れてはダメよ。」
「「はい!お母様!」」
「うぅー、仕方ない。行ってくるよ。」
お父様とお母様がハグとキスをして、馬車に乗り込む。素敵だわ。私もこんな夫婦になりたいわ。
ゴトゴトと揺れる馬車の中。
「姉様、今日もとてもかわいいです。」
アルが頬をそめて褒めてくれる。今日もって言ってくれるところが、将来遊び人にならないかと、姉としては少し心配なとこだけど、かわいいから許しちゃうわ。
「アルも王子様みたいで素敵よ。」
「ありがとうございます。」
「シィ!!アルは殿下よりも何っ倍も素敵だよ!!殿下は見目は良いかもしれないけど、性格と見目を総合判断するとアルのほうが何十倍もかっこいいからね!!」
お父様は殿下になにか恨みでもあるのかしら?
ガタンっと馬車が揺れ、王城の門に着いたみたい。御者が門番の方と手続きをして門の中に入っていく。
馬車を降りるとビシッとした騎士の方に案内される。騎士のカッコよさに惹かれ、見上げていると、手を繋いでいるアルにくいっと引っ張られた。
「姉様、あまり見てはコケてしまいますよ。」
「アルったら、こけたりしないわ。」
「そうだよシィ、見るならお父様を見なさい。」
我が家の男性陣は過保護だと思うの。特にお父様。騎士の方も苦笑いだ。
客間に着くと先客がいたようで、少しふくよかなおじ様と私と同じくらいの年の女の子がいた。ミルド公爵家の方かしら?公爵家はうちオッズレン公爵とミルド公爵と二家ある。
お父様がまた少しだけ苦い顔をしたが、すぐに笑顔になってふくよかなおじ様と挨拶をしている。やっぱりミルド公爵様だった。そして、女の子を紹介される。
「私の娘のエルンダだ。」
「エルンダ・ミルドです。よろしく。」
赤いドレスの猫目のかわいい子だわ。もしかして!この子が悪役令嬢かも!…と一瞬頭をよぎったけど、いや、ダメよ、シィ。初対面で悪役なんて、失礼よ。と自分を言い聞かす。
「はじめまして、シエンナ・オッズレンと申します。よろしくお願いいたします。」
「弟のアルです。よろしくお願いします。」
2人で侍女兼教育係のミーヤから教わった礼をする。
「これは、可愛らしいお嬢さんだ。彼がアイリス様の?」
「あぁ、今は我が家の家族だよ。」
「にしても、我が子じゃないにしろ引き取っておいて、幼い子を置いて夜会に出かけてお酒を飲んでいたんだろう?事故だって聞いてるけど、無責任だと思わないかい?まったく品性を疑うよ。君もついてなかったね。」
ミルド公爵は悪びれもせずアイリス叔母様たちのことを鼻で笑った。
なんて言い方なの!しかもアルの前で!文句を言ってやろうと息を吸い込んだ瞬間、スカートを引っ張られ、振り向くと、アルがじぃっとミルド公爵を見据えていた。
「ミルド公爵様。ぼくにとって、お父様とお母様は最高の両親です。これからも。もちろん、今の家族も。」
真っ直ぐとミルド公爵様と目を合わせ、ハッキリとした口調で言いきる。
「アル…。」
「2人は酒を一滴も飲んでなかったよ。それに、幼い子の前で亡くなった人のことを貶める発言ができる、その人格を私は疑うよ。」
ひっ!お父様のそんな低い声初めて聞いたわ!こっこわいわ!思わずアルの服をきゅっと握る。エルンダ嬢を見ると怯えた顔で、ミルド公爵様の後ろに半分だけ隠れている。
ミルド公爵様はバツが悪そうに頬をかくと、「まぁ、場所がわるかったかな。」ですませた。
場所じゃねーわ!!とツッコミたかったけどやめた。家に帰ったら、これでもかってぐらいアルを甘やかそうと決めた。
そして、最悪の気分のまま謁見の間へのお呼びがかかった。
弟のアルがお祝いの言葉と共に抱きついてきた。ふふっアルはハグが好きなのよね。私も好きだけどっ
「ありがとう!アル。」
今日は、私の7歳の誕生日。そしてお父様とアルと3人で陛下にあいさつにいかなきゃいけないらしい。
数日前にお父様が、にがーい顔して「シィの誕生日になのに王城に行かなければならなくなった・・・。私の力が及ばず、不甲斐ない!」って頭を抱えていた。そんなに嫌なら断ればいいのにと思ったけど、陛下の命令は絶対だからいかなくちゃいけないみたい。お母様は「誕生日だから行くんでしょう?」と頬に手を当てて呆れてたけど。
家族で朝食をとったあと、侍女達に囲まれてキラキラのドレスに着替えさせられた。水色のふわふわしたドレスに、髪は半分だけ編んで白いお花の髪飾りをつけて完成だ。
「お嬢様、旦那様から離れてはいけませんよ。あと、王城で走り回ってもいけません。淑女の礼はもうできますね?陛下の前で恥をさらさないでくださいよ。」
「ミーヤ、わかってるわ。王城は家とは違うし、私だってオッズレン家の娘として行くんだから、ちゃんとできるわ。」
侍女の侍女兼教育係のミーヤから何度も言い聞かされる。ミーヤは言い方はきついし、厳しいけど本当は優しい。
ミーヤと手を繋いだまま、玄関ホールへの階段を降りると
「…行くのをやめよう。」
え?行かなくていいの?
「ムルファ、ダメよ。行くの。」
「だって!こんな妖精か天使かわからないぐらい可愛いって知ったらみんな連れて帰りたくなってしまうよ!」
「あなたがしっかり守ってれば大丈夫でしょう?シィ、アル、お父様から離れてはダメよ。」
「「はい!お母様!」」
「うぅー、仕方ない。行ってくるよ。」
お父様とお母様がハグとキスをして、馬車に乗り込む。素敵だわ。私もこんな夫婦になりたいわ。
ゴトゴトと揺れる馬車の中。
「姉様、今日もとてもかわいいです。」
アルが頬をそめて褒めてくれる。今日もって言ってくれるところが、将来遊び人にならないかと、姉としては少し心配なとこだけど、かわいいから許しちゃうわ。
「アルも王子様みたいで素敵よ。」
「ありがとうございます。」
「シィ!!アルは殿下よりも何っ倍も素敵だよ!!殿下は見目は良いかもしれないけど、性格と見目を総合判断するとアルのほうが何十倍もかっこいいからね!!」
お父様は殿下になにか恨みでもあるのかしら?
ガタンっと馬車が揺れ、王城の門に着いたみたい。御者が門番の方と手続きをして門の中に入っていく。
馬車を降りるとビシッとした騎士の方に案内される。騎士のカッコよさに惹かれ、見上げていると、手を繋いでいるアルにくいっと引っ張られた。
「姉様、あまり見てはコケてしまいますよ。」
「アルったら、こけたりしないわ。」
「そうだよシィ、見るならお父様を見なさい。」
我が家の男性陣は過保護だと思うの。特にお父様。騎士の方も苦笑いだ。
客間に着くと先客がいたようで、少しふくよかなおじ様と私と同じくらいの年の女の子がいた。ミルド公爵家の方かしら?公爵家はうちオッズレン公爵とミルド公爵と二家ある。
お父様がまた少しだけ苦い顔をしたが、すぐに笑顔になってふくよかなおじ様と挨拶をしている。やっぱりミルド公爵様だった。そして、女の子を紹介される。
「私の娘のエルンダだ。」
「エルンダ・ミルドです。よろしく。」
赤いドレスの猫目のかわいい子だわ。もしかして!この子が悪役令嬢かも!…と一瞬頭をよぎったけど、いや、ダメよ、シィ。初対面で悪役なんて、失礼よ。と自分を言い聞かす。
「はじめまして、シエンナ・オッズレンと申します。よろしくお願いいたします。」
「弟のアルです。よろしくお願いします。」
2人で侍女兼教育係のミーヤから教わった礼をする。
「これは、可愛らしいお嬢さんだ。彼がアイリス様の?」
「あぁ、今は我が家の家族だよ。」
「にしても、我が子じゃないにしろ引き取っておいて、幼い子を置いて夜会に出かけてお酒を飲んでいたんだろう?事故だって聞いてるけど、無責任だと思わないかい?まったく品性を疑うよ。君もついてなかったね。」
ミルド公爵は悪びれもせずアイリス叔母様たちのことを鼻で笑った。
なんて言い方なの!しかもアルの前で!文句を言ってやろうと息を吸い込んだ瞬間、スカートを引っ張られ、振り向くと、アルがじぃっとミルド公爵を見据えていた。
「ミルド公爵様。ぼくにとって、お父様とお母様は最高の両親です。これからも。もちろん、今の家族も。」
真っ直ぐとミルド公爵様と目を合わせ、ハッキリとした口調で言いきる。
「アル…。」
「2人は酒を一滴も飲んでなかったよ。それに、幼い子の前で亡くなった人のことを貶める発言ができる、その人格を私は疑うよ。」
ひっ!お父様のそんな低い声初めて聞いたわ!こっこわいわ!思わずアルの服をきゅっと握る。エルンダ嬢を見ると怯えた顔で、ミルド公爵様の後ろに半分だけ隠れている。
ミルド公爵様はバツが悪そうに頬をかくと、「まぁ、場所がわるかったかな。」ですませた。
場所じゃねーわ!!とツッコミたかったけどやめた。家に帰ったら、これでもかってぐらいアルを甘やかそうと決めた。
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