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第25話 宿に帰って
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カエデとアーサーは、夕焼けがアルカディア王国の街を染める中、心躍らせながら宿に戻った。
ユグドラシルの森で出会ったアレクの話は、彼女に新たな希望と冒険への興味をかき立てた。
彼女は心の中で、今すぐにでも誰かにその興奮と計画を伝えたくてたまらなかった。
宿屋に戻ると、まずアーサーを自室に運び入れた。
「ここでちょっと待っててね、アーサー。ダリルに今日のことを話してくる!」
アーサーはすぐにちょこんと部屋の隅に座り、彼女を見送った。
カエデは隣の部屋へと急ぎ、ダリルに話をしようと勢いよく扉をドンドンと叩いた。
「ダリル、聞いて!今日はね、ユグドラシルで出会ったアレクさんって人が…!」と興奮気味に声を上げる。
しかし、扉の向こうからは何の応答もなく、カエデはふと静かになり、耳を澄ました。その部屋にはダリルの気配がなく、少し肩をすぼめながら、仕方なく自室に戻ろうとした。
その時、ちょうど階段から上がってくる足音と共に現れたのがダリルだった。
彼は両手に、王国の商店で購入したのであろう荷物を抱えていた。日用品や地元で売ってないような物が、袋から少し見えている。
「カエデ、こんなところで何しているんだ?」彼は馴染み深い声で彼女に声をかけ、笑みを浮かべた。
「ダリル!ちょうど今、ダリルの部屋に行っていたの。でもいなかったから、どこにいるかと思ってた。」カエデは足を小刻みに動かし、喜びを隠せないまま話しかけた。
「それじゃ、ちょっと部屋に入ってから話を聞くとしようか。」ダリルはそう言うと、荷物を抱えたまま自室の鍵を開けた。
「今日はね、ユグドラシルの森ですごいおじいさんと会ったの!」カエデは後を追い、自分の発見とアレクの話をダリルに早く聞いてもらいたくて、ドアが開くのを待った。
「ふむ、それは興味深いな。どんな話を聞いたんだ?」ダリルは荷物を一旦テーブルの上におろし、彼女の話に注意を向けた。
カエデはその問いに心を掻き立てられながら、日が沈みかけた窓の外を背景に、大きく目を輝かせた。「アレクさんっていうんだけどね!その人がね、私たちに『気』ってものを教えてくれて、それを使えばもっともっと強くなれるんだって!」
ダリルはその言葉に微笑みながら、「そうか、よかったじゃないか。」と答えた。
ダリルは前から『気』というものは知っていた。
若いときに、周りの出世に焦り強くなる方法を調べ、『気』という存在に行きついていた。
しかし、独学で学んだところ、とてもじゃないが実践で使えるレベルにはならなかったため挫折したのだ。
ダリルはそんな経験があったが、今のカエデに悪い話をするわけにはいかなかったため、
大人しくカエデの話に耳を傾けた。
「――それでね、明日からアレクさんから修業をつけてもらおうと思うんだけど――」
ダリルはその言葉ではっとする。
「――あーそれなんだがね、すまないがそろそろオークウッドに戻らないといけないんだ。休暇も終わっちゃうからな。
だからそのー、カエデを一人にするわけにもいかんから一緒に帰るしかないんだ。」ダリルは申し訳なさそうにこめかみを人差し指で掻きながら言う。
「それなんだけど、アレクさんが面倒見てくれるってことになったんだ!だから、その許可をもらいたいってのも話したかったの。」
「それはありがたいがアレクって人は何者なんだ」
「王立研究所の研究員なんだって!」
ダリルはカエデを知らない謎の老人に預けるのは気が引けたが、王立研究所に所属している人間なら問題はないだろう。と安心した。――ただ念のため、あいさつを兼ねて在籍確認はしないとなぁと、オークウッド街に戻る前に、王立研究所に行くことに決めた。
「そうか!なら安心だな。ちゃんと失礼のないようにな」
「うん!わかってるって!」
話が終わると、明日が待ち遠しいんだろうか、ダリルと食事処に行っても早々に食事を終わらせ、自分の部屋にバタバタと戻っていった。
それを見送ったダリルは、カエデをここに残すことに不安を感じつつも、元気が戻ったことに一安心していた。
ユグドラシルの森で出会ったアレクの話は、彼女に新たな希望と冒険への興味をかき立てた。
彼女は心の中で、今すぐにでも誰かにその興奮と計画を伝えたくてたまらなかった。
宿屋に戻ると、まずアーサーを自室に運び入れた。
「ここでちょっと待っててね、アーサー。ダリルに今日のことを話してくる!」
アーサーはすぐにちょこんと部屋の隅に座り、彼女を見送った。
カエデは隣の部屋へと急ぎ、ダリルに話をしようと勢いよく扉をドンドンと叩いた。
「ダリル、聞いて!今日はね、ユグドラシルで出会ったアレクさんって人が…!」と興奮気味に声を上げる。
しかし、扉の向こうからは何の応答もなく、カエデはふと静かになり、耳を澄ました。その部屋にはダリルの気配がなく、少し肩をすぼめながら、仕方なく自室に戻ろうとした。
その時、ちょうど階段から上がってくる足音と共に現れたのがダリルだった。
彼は両手に、王国の商店で購入したのであろう荷物を抱えていた。日用品や地元で売ってないような物が、袋から少し見えている。
「カエデ、こんなところで何しているんだ?」彼は馴染み深い声で彼女に声をかけ、笑みを浮かべた。
「ダリル!ちょうど今、ダリルの部屋に行っていたの。でもいなかったから、どこにいるかと思ってた。」カエデは足を小刻みに動かし、喜びを隠せないまま話しかけた。
「それじゃ、ちょっと部屋に入ってから話を聞くとしようか。」ダリルはそう言うと、荷物を抱えたまま自室の鍵を開けた。
「今日はね、ユグドラシルの森ですごいおじいさんと会ったの!」カエデは後を追い、自分の発見とアレクの話をダリルに早く聞いてもらいたくて、ドアが開くのを待った。
「ふむ、それは興味深いな。どんな話を聞いたんだ?」ダリルは荷物を一旦テーブルの上におろし、彼女の話に注意を向けた。
カエデはその問いに心を掻き立てられながら、日が沈みかけた窓の外を背景に、大きく目を輝かせた。「アレクさんっていうんだけどね!その人がね、私たちに『気』ってものを教えてくれて、それを使えばもっともっと強くなれるんだって!」
ダリルはその言葉に微笑みながら、「そうか、よかったじゃないか。」と答えた。
ダリルは前から『気』というものは知っていた。
若いときに、周りの出世に焦り強くなる方法を調べ、『気』という存在に行きついていた。
しかし、独学で学んだところ、とてもじゃないが実践で使えるレベルにはならなかったため挫折したのだ。
ダリルはそんな経験があったが、今のカエデに悪い話をするわけにはいかなかったため、
大人しくカエデの話に耳を傾けた。
「――それでね、明日からアレクさんから修業をつけてもらおうと思うんだけど――」
ダリルはその言葉ではっとする。
「――あーそれなんだがね、すまないがそろそろオークウッドに戻らないといけないんだ。休暇も終わっちゃうからな。
だからそのー、カエデを一人にするわけにもいかんから一緒に帰るしかないんだ。」ダリルは申し訳なさそうにこめかみを人差し指で掻きながら言う。
「それなんだけど、アレクさんが面倒見てくれるってことになったんだ!だから、その許可をもらいたいってのも話したかったの。」
「それはありがたいがアレクって人は何者なんだ」
「王立研究所の研究員なんだって!」
ダリルはカエデを知らない謎の老人に預けるのは気が引けたが、王立研究所に所属している人間なら問題はないだろう。と安心した。――ただ念のため、あいさつを兼ねて在籍確認はしないとなぁと、オークウッド街に戻る前に、王立研究所に行くことに決めた。
「そうか!なら安心だな。ちゃんと失礼のないようにな」
「うん!わかってるって!」
話が終わると、明日が待ち遠しいんだろうか、ダリルと食事処に行っても早々に食事を終わらせ、自分の部屋にバタバタと戻っていった。
それを見送ったダリルは、カエデをここに残すことに不安を感じつつも、元気が戻ったことに一安心していた。
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