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家に帰ってきた。尺之助にメッセージを送るが、既読はつかない。返信を待つよりも先に、将生は寝てしまった。
朝が来た。なんでもない朝だ。昨日のことが薄れているようで、嬉しい。しかし、このまま家にいるのは不安である。一泊二日を一日で帰ってきてしまったので、幸い今日は一日休みだ。
「今日一日で、すべて忘れてしまおう。」
と、呟いて外に出る。
アパートの外は曇天。曇天の下の住宅街を、なにをして暇をつぶそうかと歩いていると、ふと、昨夜の風景が思い出される。
暗い。しかし、月が、雲に隠れているときのような明るさの空の下に、生き物のようにのっぺりとした、高層の物体がいくつも立ち並ぶ光景。
ふと、耳元で、
『ちゃぽん』
と、音がしたように思った。
ハッ、として我に返る。そして辺りを見渡す。そこには、雑居ビル、ビル、ビル。ここは都心の住宅街である。ビルたちが、昨夜の物体に見えてくる。いくつも立ち並ぶビルの下で、将生は嘔吐し、その場に倒れこんだ。
田舎に移住してから、一年たった。
もう都心には、戻れないなと、心から思いながら、毎日、農園で働いている。
尺之助も元気なようだ。しばらく連絡が取れていなかったが、最近になってようやく連絡が取れた。
再会の約束を結んだ将生。会える日を楽しみに、退屈な毎日を送る
朝が来た。なんでもない朝だ。昨日のことが薄れているようで、嬉しい。しかし、このまま家にいるのは不安である。一泊二日を一日で帰ってきてしまったので、幸い今日は一日休みだ。
「今日一日で、すべて忘れてしまおう。」
と、呟いて外に出る。
アパートの外は曇天。曇天の下の住宅街を、なにをして暇をつぶそうかと歩いていると、ふと、昨夜の風景が思い出される。
暗い。しかし、月が、雲に隠れているときのような明るさの空の下に、生き物のようにのっぺりとした、高層の物体がいくつも立ち並ぶ光景。
ふと、耳元で、
『ちゃぽん』
と、音がしたように思った。
ハッ、として我に返る。そして辺りを見渡す。そこには、雑居ビル、ビル、ビル。ここは都心の住宅街である。ビルたちが、昨夜の物体に見えてくる。いくつも立ち並ぶビルの下で、将生は嘔吐し、その場に倒れこんだ。
田舎に移住してから、一年たった。
もう都心には、戻れないなと、心から思いながら、毎日、農園で働いている。
尺之助も元気なようだ。しばらく連絡が取れていなかったが、最近になってようやく連絡が取れた。
再会の約束を結んだ将生。会える日を楽しみに、退屈な毎日を送る
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