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おいでませ妖精の里
お母さんと娘さん
しおりを挟む神様は今も一切の声を発さず、扉から出たままの立ち姿で足元を濡らし続けている。
割とちゃんと反省しているのかもしれない、神様だから断定は難しいけど。
ずっと水溜りを作る神様?を見かねた妖精王さんは肩を掴み、僕のとこへと連れて来た。
「いつまでも泣いとらんで言うべきことがあるじゃろう。ほれ、しっかりせい。」
神様の背中を軽く押して促すその様は、まるで母と娘。
娘さんはまだ大きく嗚咽をするも頑張って何か言おうとする。
「ひっぐ、このだびは申しひっ‥ありばせんでしだ。ご、ひっごめんなじゃああ。」
この子は神様?
世界を管理する者とは思えない大泣き。
妖精王さんが何をしたかは分かんないけど、ここまで人というか神を幼児化させることが出来るの。
「どうじゃろうか、コータよ。ちゃんと反省しとるようじゃし今回はこれで許してやってくれんかのう?ほれ、お主も頭を下げんか。」
ぎゃん泣きする子供と一緒に頭を下げるお母さん。
でも、すぐに妖精王さん達だと思い出し、慌てて顔を上げてもらう。
「も、もう大丈夫です!こ、怖かったのは本当ですが、神様には色々と助けて頂いたので感謝しております。」
「そうか、ありがとのう。ほれ、しっかりお礼を言いなさい。」
「ひぐっ‥うん。ありがとう。」
神様の幼児化がどんどん加速しているような。
とりあえず、これで神様への説教タイム終わり。
まだ子供モードが治らない神様は妖精さんとチビうささん達を引き連れて花畑で仲良く楽しそうに遊び始めた。
そこに涎を撒き散らし一心不乱に迫ってきた姿は無く、無邪気に笑って妖精さん達と花冠を作る小さな女の子しかいなかった。
余りの変貌に恐る恐る妖精王さんに聞いてみた。
「神様に何をしたんですか?」
「ふっふっふ、秘密じゃ。」
人差し指をピンと口に当てながら不敵に笑う姿に、これ以上踏み込んではいけないと防衛本能が異常に働いたのはしょうがない事だよね。
なんだか妖精王さんの深淵の一部を覗いた気がしました。
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