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第二の故郷、ユーリル大森林
小話 進撃の女帝
しおりを挟む私は冒険者ギルドサイデル支部の受付嬢、ララです。
昨日は残念でした。
大宴会でコータくんと偶然を装ってデートに持ち込もうと思ったのに街中探しても見当たらない。
血眼になって探したのにまさかもう宿屋で寝ていたなんて‥。
でも、いいんです。チャンスはいくらでもあります。
なんせ私とコータくんは受付嬢と冒険者。何度でも会えます。どこぞの領主の娘やお姫様よりも高確率。
さて、今日は依頼でも見に来るかしら。
うん、今日は来なかったわね。まだ疲れが取れてないのかも。
3日後、今日も来なかった。マダツカレガトレテナイノカモ。
5日後、キョウモコナカッタ。マダツカレガトレテナイノカモ。
私は休憩の合間にコータくんがよく泊まっている宿屋に向かう。
おばさんに聞いてみましょう。
「コータくんはいますか?」
「あぁ、あの子なら5日前にユーリル大森林に行ったわよ。」
「へ?」
「だから、冒険に出かけたわよ。」
思考の停止。
おばさんの言葉を理解するまでかなりの時間を有した。
「嘘ですよね‥。」
「本当に行ったわよ。3日前ゴートンに会ったから教えといたんだけどね。まだあんたには伝えてなかったのね。」
ゴートン?
だれ?
ギルドマスター。シッテタ。
ワタシシラナイ。ダマッテタダマッテタ。
ナンデナンデナンデ‥
気づけば、ギルドに戻って来ていた。
中に入り見渡す。
発見。他の受付嬢と楽しそうに話をしている。
ゴートンが私に気づく。
「おお、ララ戻ってきたか。どこに行ってたんどぅあっ!?」
「オマエユルサナイ。コータクンダマッテタ。ユルサナイコロス」
数メートルの距離を音もなく詰め寄り、手刀で貫く。
チッ避けられた、壁に穴が開いちゃった。
「ま、待て!こ、コータのことだな?あ、あれはお前に伝えたら仕事無視して行くと思ったからひいぃ!?」
必死に転がって串刺しの刑を回避する。
「コロスコロスコロスコロスコロス‥」
「だ、誰か助けてくれ!こいつ目が本気だ!お、俺はまだ死にたくない!」
必死の叫びも届かない。
新人からベテランの冒険者までみんなが隅っこで頭を抱えて震えている。
中には殺気に当てられて泡を吹いて気絶している者も。
ただひたすらに悲痛な叫びと無慈悲な獣と化した遠吠えがギルド内に反響した。
冒険者達はただただ目の前で起きている惨状を膝を抱えて目を瞑り続けるしか出来なかったという。
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