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王都であれこれ6
しおりを挟む魔王の交渉タイム。
誰もが見惚れる女神の微笑みも今は寒気鳥肌のオンパレード。
「しゃ、謝罪金…。」
「はい、謝罪金です。予想はしておりましたでしょう。こちらはドラゴンを倒すという功績を褒め讃えられるどころか何故か賞金首として国中に手配される始末、お陰で冒険者達からは剣を向けられて街を歩けば避けられるという完全な犯罪者扱いを受けました。これでも慰謝料を払う気が無いとでも?」
相対するお爺ちゃんはぐうの音も出ないご様子。
アイリスによる説明を聞いているとよく今日まで我慢出来ていたもんだ自分を褒めたい。
「も、勿論ちゃんと支払うつもりじゃ。」
「でしたら、全く心無い謝罪など要りませんのでお金をお支払い下さい。」
アイリスの容赦ないがめつい請求がお爺ちゃんを襲う。
こんな若い子にこれほど失礼な申し出は初めてなようでちょっと青筋がピクリしている。
「そう焦るでない。ちゃんと支払いは考えておった。まず今回の大本の原因であるこやつの私財を全て売却しお主達に支払うつもりじゃ。更にはお主達を冒険者としてしかもSランクという最高位の冒険者として登録したいと考えておる。どうじゃ?」
このギルマスの私財か……悪どく人生を謳歌していたみたいだからそこそこお金は貯め込んでそう。
でも、それでアイリスが納得するかな?
それに今更冒険者になったところでなんのメリットも無いような気がする。
「………はぁ、そんなもので私達がいえ我が主が納得するとでも?ナメるのも大概にしなさい。」
部屋の温度が急激に下がる。
事前にアイリスがメシアにお願いをしておいたようだ。
アイリスのギラリと光る眼光と相まってお爺ちゃんサイドに緊張を走らせている。
「私達はまだあなた方の謝罪を受け取ってはおりません。ですので未だ敵として認定させて頂いても宜しいのですよ。この意味が分かりますか?何でしたら今すぐここから見える範囲の全てを破壊して差し上げましょうか?」
極悪非道を彼女に捧げる。
もう度を越し過ぎた恐喝だよ。
お姫様も必死に押さえているようだけど手の震えが止められていない。
「メシア、その程度の謝罪で済まそうとする愚か者共に少々現実を見せてやりなさい。」
メシアがコクリと意味有りげな笑みを浮かべながら頷く。
「我が栄…」
『メシア、長くなるから詠唱は無しでお願いします。少し上の空間を消して下さい。』
「むぅ…爆ぜろ。」
不満げに頬を膨らませてたった一言。
それだけで大きな大きな冒険者ギルド本部の天井が綺麗サッパリ無くなった。
勢い余ってその更に上に漂う雲すら消し飛ばしてしまった。
「さてこれは私達のほんの些細な力の片鱗でございます。そんな私達をあなた方は敵にしたのです。さてこれでこの男の私財程度で済むと本当にお思いですか?」
お爺ちゃんは顔から滝のように汗を垂れ流す。
水分不足で倒れないか心配。
「わ、分かった!お主らの望むだけの金を支払おう。じゃから、これ以上は止めてくれないだろうか!」
「3…いえ5億で良いでしょう。」
「はい?」
真顔で聞き返しちゃうお爺ちゃんだもの。
「ですから、5億で謝罪を受け取りましょう。それ以下は認めません。」
「はい?」
愛するご主人様の為ならそれ以外は全て糧とする貪欲さ。
アイリスの恐喝はまだ終わらない。
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