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友好試合2

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シルヴィアとジンさん達の戦いがやっと始まる。
実は結構楽しみ。
異世界人の戦いをまともに見るのは初めて。冒険者との戦闘もあっという間で魔法とか使っているところなんて見ていない。

クックに作ってもらった果実100%ミックスジュースを飲みながらゆっくり観戦。
わざわざ目の前で果実を素手で絞る演出は必要だったのだろうか?

「来い。」

合図なんて無い。
シルヴィアの簡潔で淡々とした一言で試合が動き出す。

「本当にムカつく女ね。ジン、アレク足止めよろしく!火よ我が願いに答え…」

「遅い。」

「きゃっ!?」

「「エミル!?」」

この世界だと魔法には詠唱的なのが必要みたい。リリーが詠唱する姿なんて見ないから新鮮。
でも、シルヴィアの言う通りそんな長く続きそうな詠唱をしていたら隙だらけ。
案の定、ジンさん達の間をすり抜けてエミルさんの眼前まで迫っている。しかも、それに驚いて詠唱止めちゃったよ。

そうなると無防備なエミルさんはガード一択。けれど、驚いてばかりで何もしない。まぁシルヴィアが速過ぎるのも理由だろうけど。

結局、エミルさんは強制受け入れ体制で顔面にシルヴィアパンチを食らう………ってシルヴィアやり過ぎ!!

「シルヴィア、相手女性だよ!?」

「主君、安心して下さい。ちゃんと寸止めです!あの女は拳圧で吹っ飛んだだけですから、へへへ。」

そんな自信満々笑顔満々で言われても…念の為リリーに風の防壁で囲っておいて良かった。吹っ飛ばされた衝撃で気絶しているものの怪我はなさそう。
一応ちゃんと加減を弁えてくれたんだね。

これでエミルさんはあっさりリタイア。

「やるなぁ、嬢ちゃん。油断したつもりはねぇが全く反応出来なかったぜ。」

「ふん、貴様らではリリーにも勝てんぞ。」

「リリーってあの魔法使いの少女ですか?」

「そうだ、私達はそれぞれ一人でドラゴンを何十体も相手に出来る力を持つ。」

「まじかよ、自信無くすぜ…。」

落ち込むジンさん達。
まだ始まったばかりでちょっとしか戦っていないのに気落ちするのが早い。

それだとどんどん隙が生まれちゃう。早く立ち直ってシルヴィアに集中して!

なんて心の中でささやかな助言を送るも届く事は願わず、ジンさんとアレクさんのお腹へ仲良くシルヴィアの拳が埋まる。
エミルさんの時のような寸止めはしない。

「男ならそんな優しさ必要無いだろう。」

「「ぐふぅっ!?」」

さっきと同じ光景を見るように吹っ飛んでいく。
幸いリリーの風壁が優しいクッションになって致命傷には至らない。

開始から10分くらいは経ったのかな?
喋っている時間の方が長くて試合自体はとても短く終わってしまった。

ジンさん達は目をクラクラさせて気絶中。
すぐにクックの用意してくれた昼食を食べようって思ったけど、もう少し待つとしますか。


ジンさん達が目覚めるまでお庭で日向ぼっこ、なんて考えていたらエーロが気配無くいつの間にか傍までやって来ていた。

「ご主人様、お客様です。冒険者ギルドからの使いのようです。通しますか?」

冒険者ギルド。
嫌な予感しかない。
でも、ここで追い払ってもまた来るかもしれない。

せっかく皆でのんびり予定が一気に面倒くさい雰囲気に包まれてしまう。

「………はぁ、通していいよ。但し玄関前で留まらせてね。玄関でさっさとお話して帰ってもらうよ。」

「はい、かしこまりました。では、失礼致します。」

そう言ってシュンと音と共にエーロが消えた。
先に行って足止めしてくれているのだろう。


俺は大きく溜息を吐いて重い腰を上げる。
じゃあ、相手しますか。

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