上 下
34 / 100

建設3

しおりを挟む

ケンゾウに渋られて家具を買いに行く事になりました。
別に落ち込んでいないけど別に落ち込んでいないけど…本当だよ。

どう触れたら良いのか分からずオロオロするシルヴィアとクロコを連れて拠点地から出る。
出た後に分かったけど、リリーの魔法は凄い。

外から見たら建材も何も無いただの土地にしか見えない。これなら異様な作業風景が映ることは無いだろう。

一安心したなら家具を求めてこの街の中心部へ行く。
中心部と言っても一番人が行き交い賑わいを見せてるから決めつけているだけ。
でも、これだけ色んなお店が立ち並んでいるなら良い家具屋も見つかるはずだ。


なんて意気込んだけど、土地勘の無い俺らが家具屋の場所を知るはずがない。少し回れ右をしてランパード商会へ。


俺の入店を知るや否や、すこぶるニッコニコでこっび媚びの受付のお姉さんが物凄い速さで目の前まで出迎えてくれた。
警戒して眼光鋭くさせるシルヴィアに一切の怯みなく絶え間なく良い笑顔で揉み手をしている。

このお姉さん、出来るっ…。

「へへへ、ようこそいらっしゃいましたユウ様とお連れ様方。すぐに会長をお呼び致しますので、ささ客間までご案内致します。この好きなタイプはお金持ちこと私セーラがご案内致します。ささこちらです、へへへ。」

もう凄い
金欲が化粧と服を着て接客している。
初めて名前を知ったとかそんな事どうでもいいぐらい猛烈な愛想をぶっ飛ばしてくる。

シルヴィアですら引いてる。
クロコに至っては恐怖のあまり折角の可愛らしい尻尾を後ろ脚の間にしまうように丸めている。


客間に通されて受付嬢ことセーラさんはやっと出ていく。今回はウインクのおまけに投げキッスも頂いた。

喜びよりも怖さが勝つね。

一種の恐怖体験を経てコロックさんがやって来た。

「むむ、これはこれはユウ様よくいらっしゃいました。申し訳ございませんがまだドラゴンの代金はお支払い出来そうにありません。」

「あ、いえいえ今日はその用件ではなくて、コロックさんにおすすめの家具屋を紹介して貰おうと思って来ました。ドラゴンに関してはそこまで急いで無いので大丈夫ですよ。」

それを聞いてホッとするコロックさん。

「ふぅ…良かったです。それでおすすめの家具屋でございますね?でしたら、ここを出て正面を真っ直ぐ進んで行けばロッテの家具店というのがございますのでそこが宜しいかと思います。なかなかの品質にお手頃な価格、更に貴族向けに高級品も取り扱っておりますよ。」

ロッテの家具店と。
他を知らないからそこに決定。




……………という訳でやって参りました、ロッテの家具店。
この世界の店名はみんなシンプル。
大きく看板にロッテって書いてある。

入口の扉を開ければ鈴の音がカランカラン。
客の来店が告げられたら奥から店員さんがこちらへ。

「ようこそいらっしゃいませ、ロッテの家具店へ。本日は何をお買い求めでしょうか?」

おぉ、少年寄りの見た目の俺に対しても決して失礼な態度で接することなく一人のお客として扱ってくれている。
冒険者ギルドはここを模範にすれば良いのに。


店員さんに家を建てるので家具を買いに来たと告げれば、すぐに色々と紹介してくれる。
このお店のシステムなのか一客に一店員で接客。
コミュ障な人間だったらほっといてくれって言いたくなるくらいありがた迷惑なシステムかもしれない。

でも、今回は助かります。

知らない世界の家具の材質とか分からない。
当然どれくらいの品質や強度を誇っているのかも知らない。


どんどん詳しく説明してくれる店員さんに感謝しつつ、椅子やテーブル、タンスにベッド等など初めての一人暮らしを思い出すように次々選んでは買っていく。



そして気付けば、お会計エリアに積まれた家具の山。勧めていた店員さんの口の端がひくついている。
普通こんなに買うとは思わないよね。 

「お、お客様良ければ住居先を教えて頂ければ私共でこちらの家具を配送致しますが…。」

配送サービスも行なっているんだ、コロックさんがおすすめするだけの事はある。
でも、アイテムボックスがあるので大丈夫。

「いえ、持って帰れるので大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」

「さ、左様ですか…。」

尚もひくつく店員さんにお金を一括払いして、家具を全部アイテムボックスに収納する。
店員さんがヒクつきから唖然に変わってしまわれた。


なんだかごめんね…。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

処理中です...