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新たな配下

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コロックさんとの商談は無事成功しました。
俺の事もしばらくは内緒にしてくれるようで気が楽だ。それでも、貴族ってのは色んな異世界モノでもあるように厄介な存在。いずれ俺にちょっかいを掛けてくるのは想像に容易い。

ここは、資金も新たに増えた事だし戦力強化も兼ねて配下を解放しますか。

そうと決まればコロックさんとお別れして宿屋に向かう。

商会を去る前にコロックさんから一言。

「ユウ殿…貴方は何者なんですか?」

単独でドラゴンを倒す何処からかやって来た謎の少年。
興味や関心を持つのは当たり前か。

懐かしき日々の厨二病が疼く。

「ふっふっ、俺はただの旅人ですよ。」

人差し指を口に添えて意味有りげな笑みを浮かべてその場を後にする。
コンゴの宿屋に戻ってマーロさんに合計一月分の宿代を出して延長してもらい自室に帰る。


そして、そこにあるベッドにダイブして先程のコロックさんに対してやった自分の黒歴史に悶え転がる。
それをクロコはどうしたことかと首を傾げて見守っているのでした。




羞恥心がやっと収まったら、メニュー欄にある解放を開いて配下一覧を見る。

溜息が出る。
やっぱり何度見ても値段がエグい。
筆頭配下のアイリスで5000万z。せっかく4600万zも手に入ったのに解放出来ない。
その代わり他の配下に関しては一律2000万zとお手頃価格。あれ、俺感覚がおかしくなってる?

コロックさんから貰ったお金の内、600万は今後の生活費に充てて残りは配下二人の解放に使おう。

そうなると始まるヘタれタイム。
自分の好みな容姿を綿密に仕上げた理想像の数々だ。ぶっちゃけ男性配下は少なく女性配下が多い、俺も男の子だもん許して。

迷宮でもやっぱり野営が何度もあった。クロコは黒いわんこで性別も男、人になればイケメンなお兄さん。
モフモフで頬がゆるゆるになる事があってもドキドキするなんて事は無かった。

どうする俺。

『旦那は何を悩んでるんすか?』

こっちの気持ちも知らないで。
そういえば配下同士で恋愛感情とか生まれるのかな。

『あっしらは仲間であり兄弟みたいなものっすからとても恋心なんて湧きやせんよ。それに旦那に仕える事こそが至上の喜びっす。』

こいつめ、相変わらず照れもなくサラリと言うなぁ。
聞いた通りなら同じ同性のクロコは女性の配下達と野営をしても何も感じないようだ。

ドキドキするのは俺だけか。


頑張って理性を保とう。
最後にもう一度覚悟を決める為、暗示を掛けるように『俺は主で皆は配下で家族。俺は主で皆は配下で家族。俺は…』ひたすら心に念じ続けた。

締めの一発に両頬を叩いて選んだ配下二人にカーソルを合わせてタッチしていく。


するとクロコの時みたいに魔法陣が2つ現れて、そこから眩い光の演出後に二人の配下が解放される。
アイテムボックス欄にあったお金はきっちり引かれていました。

一人は額に両側を蝶の装飾品であしらったサークレットを身に着けた長身の女性。燃え盛るように紅い長髪を靡かせて、左腕に小さな盾を右手に身長同サイズの槍を持つ。防具は顔だけ出した何処ぞの聖騎士が纏う様な白銀の鎧。俺の軽鎧よりも断然頑丈そう。

もう一人は、少年っぽい俺より幼い女の子。こちらも長い金髪をゆらゆらさせて、何よりエルフに似た長耳がピクピクっと動いている触りたい。
両手にはデパートのおもちゃコーナーで販売しているような魔法のステッキを携えている。防具は種族名に合わせて揃えたプリティでキュアキュア風な衣装にローブ付き。見た目に反して性能は最高。

名前は順番にシルヴィアとリリー。

シルヴィアの種族は守護人でタンクとして前衛に最適な配下。
リリーの種族は魔法少女で後衛から支援&攻撃に長けている。

どちらも種族名通りの特徴で防御力を誇っていたりあらゆる魔法に精通していたりする。


魔法陣の光が消えたようで、目を閉じていた二人がようやく目覚める。
目覚めた途端に真っ赤な瞳と黄緑色の瞳両方共が俺を捉えた。


そして、配下の中での習わしなのか息を合わせたかのように跪く。

「主君、私を解放して頂きありがとうございます。これより我が身全ては主君の為にございます。」

「主、解放ありがと。私うれしい。主に全て捧げる。」

それぞれが俺に忠誠を誓ってくる。ただリリーの言い方は少し危うい。この世界に警察がいたらすぐにお縄についてしまう。

最初にロリがついて最後にコンがつく不名誉な称号が付く気がしてビクビクする。
そんな有りもしない恐怖に内心怯える俺を放置して、早速二人が姦しく口論をし始めた。

「リリー貴様は相変わらず主君に対しての口調がなっていない。いい加減改善しなさい。」

「問題ない。私は主が望んだ形。それを否定したシルヴィアに問題あり。」

「ち、違うそんなつもりはない!敬うべき御方に対しての礼儀というものをだな。」

「シルヴィア、うるさい。」

「ぐぬぬぬぬぬ…。」

なんだか姉妹みたいでほっこりする。
ついに女性を解放したけど、こんな彼女達の自然なやり取りが見れたから解放して良かった。

これからもどんどん解放して色んな配下達の顔を見れるといいな。

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