16 / 100
迷宮3
しおりを挟む骸骨討伐から更に迷宮を進み、50階層一歩手前の49階にやって参りました。
コロックさんが教えてくれた冒険者の最高到達地点を越えた。
だが、ここで問題が。
ボス階層へ続く階段前にしっかりとした野営地が完成されている事。
魔物対策か木材で作られたバリケードまである。長期の滞在を目的とした設営がされている。
クロコ程ではないけど気配には少々敏感。何人かの人の気配を感じる。
更に攻略が進んでいて50階層のボスに向けて入念に用意したってところか。
『クロコ、あそこに人が何人居る?』
『12名っす、男8人に女4人。服装から見た所冒険者だと思いやす。』
迷宮だから冒険者だろう。
問題なのは、今までみたいに気配を殺してコソコソっと無視して進めない点だ。
どうしよう?
『殺しやすか?』
あら物騒。
隠密系のスキル何か取って無かったかな?
ステータスを開いてスキル欄を隈なく探す。
ありました。
スキル『天使の子守唄』。
名前から推測しやすいスキル。
範囲100メートル以内の標的を強制的に眠らせる。相手よりもレベル差が高ければ高いほど効果てきめん。
懸念があるとすればこの層まで来れたってことはつまり結構な実力者達。もしかしたら、俺と同レベルが居て眠らない可能性も……そんなことありませんでした。
本当に鑑定が欲しい。
相手のレベルが分かればどれほど戦いやすいことか。
けれど、鑑定を手に入れるのも時間の問題。迷宮生活の合間で解放欄に載っているスキルを一通り確認した結果、鑑定を発見済み。
100万z大金貨一枚分って馬鹿げたお値段だけどいずれ取得してやる。
ぐっすりおねんねする冒険者方を素通り。食事中だったようで申し訳無い。
誰も起きている人間は居なくてホッとする。
確認を終えたのでいざ50層へ。
『旦那ストップっす。畏れながら進言しやすが、この先魔物だらけみたいっすよ。』
魔物だらけ?
モンスターハウスかな。セーフティアでもあるエリア内に侵入したら大量のモンスターが出現したもんだけど、50層はそういう仕様かな。
『まぁボス部屋には変わりないから約束通り俺がやるからね。』
『旦那ぁ…。』
そんな甘えるような声音で言っても撫でてあげないんだからね。
クロコの顎の辺りをワシャワシャして侵入。
おぉ…。
大広間に無理矢理詰め込んだような魔物の大群。逆に動きづらくなっているような。
でも、一気に攻め込まれたら圧し潰されるかもしれない。
ひとまずスキルによる結界を発動して圧死されないよう防ぐ。
さて、どうやって倒そう。
素材の事を考えるとデススコープ戦のように自然操作で生み出した風の刃でバラバラにするのが良いかな。
それか確認がてら他のスキルを使うか。
……………うん、風の刃でいいや。上の階層で寝てる冒険者達が起きたら困る。音の小さいこれが一番だ。
俺を支点に一筋の大きな風の刃を大広間全体に流す。
無事奥まで通過したら綺麗に切断されて崩れる。それでもまだ空中に飛んでいた魔物が生き残っている。鳥の頭に獅子の体、まさかリアルグリフォンをお目にかかるとは。
人差し指の先に風の球を作る。それは徐々に規模を変えていき、ジンお兄さん10人分にまで膨れ上がった。
そしたら、標的を空中に浮く魔物に合わせて放つ。
巨大になった風の球体は放たれた瞬間に無数の小さな風の球に分かれて、それぞれが標的に向かって飛んでいく。
圧倒的物量に為す術もなく、いくつかの風穴を開けてグリフォンは墜落していった。
全滅完了。
『クロコ、悪いけど全部回収してくれる。幾らになるか分かんないけど、これだけあれば結構お金が手に入ると思うから。』
『へい!』
クロコの発動した影が広間全体に広がって、その影に沢山の死骸が沈んで消えて行く。
素材回収が終わったら攻略の続き。
さっさと下層に降りていかないとあの野営地の冒険者達が来て出くわしてしまうかもしれない。
逃げるように前人未到の領域に足を踏み入れる。
そして、未開の地で出会ったのはゴツゴツとした岩のような外殻に守られたドラゴン達でした。
なるほどここからはドラゴンだらけって事だね。
絶対高く売れる!
お金の塊達に涎が止まらない。
0
お気に入りに追加
510
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる