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戦乱の帝国にて聖女と三姉妹は踊る
俺は椅子で椅子が俺で
しおりを挟む神様へと続く蟻地獄から抜け出せなくなった気がする。
俺は普通の村娘出身のただの聖女、決して神になるような器じゃない。
気を強く持て、まだ手遅れではない。
自分に言い聞かせて歩くこと少々、本来は軍事会議に使われる部屋に到着した。
そこで今後の予定をお話する。
それぞれ席についていざ会議。
「お姉様ひとまず今後について話し合いをしましょう、サラちゃんの救出についてと帝国のアリス教国化計画について。まぁ後者は実質完遂してますが…。」
「そうだね、サラちゃんを正気に戻してアリス教国なんてものは崩壊させないとね。」
後者は絶対にさせない。
「サラちゃんを正気ってどういう事でしょうか?私達は帝都内に包囲網を張りましたがサラちゃんは発見になりませんでしたので別の所に捕えられていると読んでいたのですが…違いましたか?」
スゥ様達は何もあの時の事を知らないようだ、無理もないか。
「皇帝とかから何も聞いていないの?」
「皇帝?サラちゃんの居場所を聞き出す為、少々お願いしましたけど『商人が…商人が…』としか言いませんでしたのでまたショコラさんにお返ししました。」
「そっかぁ…実はね。」
説明は謎の力で一瞬で終わった。
神様との対話は省く。
なので龍王の事や俺が神様の沼に足を突っ込んでいる事はまだ言わない。前者は世界規模の話だし王様や教皇を交えた方が良いだろうし、後者は伝えたら終わる気がするもん。
全てを聞き終えたスゥ様とロコルお姉ちゃんは怒りで顔を赤く染め上げていく。
「そうですか…その商人が真の元凶であると。」
「うん、それにその商人みたいなのがまだ何人も居るみたい。だから、今後もそいつらが何かやらかしてくると思う。」
ロコルお姉ちゃんから提案される。
どうぞ。
「アリス様、スフィア様一度王国に戻るべきかと思います。王都にはアリス教特別諜報部もございます。ここより遥かに情報が集まります。」
「ちょっと待って。」
「そうですね。一度戻りましょう。フォルクス公の件もございますからアリス教の総本部に帰りましょう。」
「ねぇ、ちょっと。」
急にスゥ様達耳が遠くなっていく。
そしてどんどん出てくる不穏の組織。
俺の知らない所で大規模な組織が作り上げられてない?
アリス教なるおぞましい組織図は結局曖昧にされたまま俺達はシェアローズ王国に帰還する事となりました。
とはいっても、一度共和国を経由してからになるけどね。
ところでずっと気になっていた事をロコルお姉ちゃんに問う。
「あの、この会議室に入ってからずっと気になってたんだけどお姉ちゃんが座ってるそれって人だよね?交流会とかつい最近見掛けた人にそっくりな顔をしているけど…。」
「ふふ、アリス様は面白いですね。これの何処が人ですか?女神に仇なす者が人であろうはずがありませんでしょう。これはただの椅子ですよ、椅子。そうですよね?」
「はい、私めは愚かで醜い椅子でございます!誰かに上へ座ってもらうしか価値の無い人間でございます!」
「…………。」
「こらこら、誰が喋って良いと言いましたか?椅子は椅子らしくなさい。」
ロコルお姉ちゃんは椅子のお尻に対して強烈な平手打ちをかます。
「ありがとうございます!!」
また喋ったので叩かれていた。
あれは王子様だと思う、思うけどもういいや。
本人が幸せそうならそれでいいや。
今はサラちゃんの事と自分の事で精一杯だから許して。
いずれ正気に戻る事をお祈りしときます。
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