今日も聖女は拳をふるう

こう7

文字の大きさ
上 下
239 / 266
戦乱の帝国にて聖女と三姉妹は踊る

俺は椅子で椅子が俺で

しおりを挟む

神様へと続く蟻地獄から抜け出せなくなった気がする。
俺は普通の村娘出身のただの聖女、決して神になるような器じゃない。

気を強く持て、まだ手遅れではない。

自分に言い聞かせて歩くこと少々、本来は軍事会議に使われる部屋に到着した。
そこで今後の予定をお話する。

それぞれ席についていざ会議。

「お姉様ひとまず今後について話し合いをしましょう、サラちゃんの救出についてと帝国のアリス教国化計画について。まぁ後者は実質完遂してますが…。」

「そうだね、サラちゃんを正気に戻してアリス教国なんてものは崩壊させないとね。」

後者は絶対にさせない。

「サラちゃんを正気ってどういう事でしょうか?私達は帝都内に包囲網を張りましたがサラちゃんは発見になりませんでしたので別の所に捕えられていると読んでいたのですが…違いましたか?」

スゥ様達は何もあの時の事を知らないようだ、無理もないか。

「皇帝とかから何も聞いていないの?」

「皇帝?サラちゃんの居場所を聞き出す為、少々お願いしましたけど『商人が…商人が…』としか言いませんでしたのでまたショコラさんにお返ししました。」

「そっかぁ…実はね。」

説明は謎の力で一瞬で終わった。
神様との対話は省く。
なので龍王の事や俺が神様の沼に足を突っ込んでいる事はまだ言わない。前者は世界規模の話だし王様や教皇を交えた方が良いだろうし、後者は伝えたら終わる気がするもん。
全てを聞き終えたスゥ様とロコルお姉ちゃんは怒りで顔を赤く染め上げていく。

「そうですか…その商人が真の元凶であると。」

「うん、それにその商人みたいなのがまだ何人も居るみたい。だから、今後もそいつらが何かやらかしてくると思う。」

ロコルお姉ちゃんから提案される。
どうぞ。

「アリス様、スフィア様一度王国に戻るべきかと思います。王都にはアリス教特別諜報部もございます。ここより遥かに情報が集まります。」

「ちょっと待って。」

「そうですね。一度戻りましょう。フォルクス公の件もございますからアリス教の総本部に帰りましょう。」

「ねぇ、ちょっと。」

急にスゥ様達耳が遠くなっていく。
そしてどんどん出てくる不穏の組織。
俺の知らない所で大規模な組織が作り上げられてない?

アリス教なるおぞましい組織図は結局曖昧にされたまま俺達はシェアローズ王国に帰還する事となりました。
とはいっても、一度共和国を経由してからになるけどね。


ところでずっと気になっていた事をロコルお姉ちゃんに問う。

「あの、この会議室に入ってからずっと気になってたんだけどお姉ちゃんが座ってるそれって人だよね?交流会とかつい最近見掛けた人にそっくりな顔をしているけど…。」

「ふふ、アリス様は面白いですね。これの何処が人ですか?女神に仇なす者が人であろうはずがありませんでしょう。これはただの椅子ですよ、椅子。そうですよね?」

「はい、私めは愚かで醜い椅子でございます!誰かに上へ座ってもらうしか価値の無い人間でございます!」

「…………。」

「こらこら、誰が喋って良いと言いましたか?椅子は椅子らしくなさい。」

ロコルお姉ちゃんは椅子のお尻に対して強烈な平手打ちをかます。

「ありがとうございます!!」

また喋ったので叩かれていた。
あれは王子様だと思う、思うけどもういいや。

本人が幸せそうならそれでいいや。
今はサラちゃんの事と自分の事で精一杯だから許して。

いずれ正気に戻る事をお祈りしときます。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

私は聖女(ヒロイン)のおまけ

音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女 100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女 しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

処理中です...