今日も聖女は拳をふるう

こう7

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戦乱の帝国にて聖女と三姉妹は踊る

知らせの比率は悪に傾く

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誰かが俺を揺すっている。
どうして俺は眠っていたんだっけ?

…………そうだ!
自称じゃない神様と戦って負けたんだ。
多分、今起こそうとしている人は気絶させた張本人の神様。

「そうですよ起きて下さい。幼子を容赦なく気絶させるとか外聞が悪すぎますので出来れば早く起きて下さい。」

「うっ…うぅん…。」

痛みはもう既に引いているのに唸ってしまう。
それでも目が覚める。

「おはよう…ございます?」

「はい、おはようございます。起きれますか?」

「は、はい。大丈夫です。」

俺は神様に支えてもらいながら立ち上がる。
まだちょっとフラってするけど立てそうだ。

「さて起きて早々申し訳ありませんが貴女に伝えなければならない事がいくつかございます。良い知らせと悪い知らせ、どちらから聞きたいですか?」

また神様の悪戯っ子が覗かせる。

「えーと、じゃあ良い知らせからお願いします。」

「はいはい分かりました。まず良い知らせですが、貴女はお友達に胸を貫かれましたがなんと生きております。」

サラちゃん…。
自分が生きていた幸いよりも瞳に光が灯っていなかった友が浮かぶ。
あの時の悲しい気持ちが押し寄せる。

「ちょ、ちょっと涙ぐまないで下さい!外聞が、外聞が悪いですから!!」

思い出したらちょっと潤んでしまったみたい。
サラちゃんは無事だろうか?

「あんな目に遭ってまだ心配しますかだから…いえ何でもありません。」

なんか言葉を濁された。
凄い気になる。

「こほん、では次に悪い知らせです。」

え、もう良い知らせ終了?

「はい終了です。悪い知らせの方が少しばかり多いです。まず一つ目は帝国の聖女が貴女のお友達同様あの自称商人に攫われました。」

帝国の聖女?
あぁ、あの性格悪い人か。
可哀想とは思うけど俺にとって悪い知らせだろうか。

「案外冷たいですね。ですが、あの帝国の聖女を利用してあの自称かっちゃんはある野望を果たそうとしています。」

「あの、そもそもあのお兄さんは何者ですか?最後に見た印象ではとてもただの商人には見えなかったです。」

「私としたことが伝えてませんでしたね。あれは今代の災厄を引き起こす問題児です。とある血に忠誠を誓う危ない奴らです。」

「奴ら?」

あのお兄さん以外にも居るってこと?

「ええ居ますよ。彼らの目的は龍王の復活です。」

りゅう?

「龍とはドラゴンの上位に君臨する者です。」

「………?」

「要はすっげぇドラゴンです。」

なるほど分かりやすい。

「そして、その龍でも王と呼ばれる存在。それをあいつらは復活させようとしています。復活の方法は聖女の血と大量の血です。血は魔物でも人間でもドラゴンでも良い。復活したら世界の終わりは………私が居るのでありえませんが、人類及び生き物の殆どが死にゆく運命でしょう。」

龍王……ゴクリ、色々説明してくれたけどとにかくヤバい奴って事しか分からない。
そもそもそれなら神様がその復活を止めれば良いと思う。

「それは無理です。私が神としての力を使うのはこの世界が終わりそうな時です。今生きている生物が終わるくらいでは動けません。」

「どうして?」

「それはそういう都合じゃなくて制約だからです。なので、一番彼らの悪事を止めれる可能性の高い貴女に伝えているのです。目が覚めたら頑張って下さい。」

凄い他人事。

「それは他人事ですし…。もし龍王が世界自体を壊そうとしたら私が出ますのでそうならないよう貴女方も頑張って下さい。」

「あ、はい。」

「ではでは、続いての悪い知らせです!これは貴女にとって悪い知らせです。」

まだ悪い知らせは続く。
なのに、神様が元気よく発表を続けるから少しだけ相手は神様だけど少しだけイラッとした。

「続いての悪い知らせですが、貴女は意識がこちらにやって来てからどれくらい経ったと思いますか?」

「え、2、3時間ですよね?」

「ブブー残念!なんと4日経過してまーす!!」

またとてもイラッとした。
負けると分かってても一発殴りたい。

「ここと下界では時間の流れが違います。こうしている今もあちらの時間はどんどん進んでます。ほらほら、今5日目に突入しましたよ。」

神様がムカつくのはひとまず置いとこう、ちゃんと鍛えて今度殴ればいい。
それよりも時間が経過しているくらいの事でなんで俺にとって悪い知らせとなるのだろう。

「あの、数日意識が無いくらい別に悪いとは思えませんが…。」

「貴女はね。でも、貴女を慕っているあの子達はどう思いますか?」

あの子達…………………はっスゥ様達…。

「はい正解!信者達の想いは本当に重いですね。もう崩壊寸前の帝国を更に崩壊させてますよ。」

「えっ!?」

させてますよじゃないよ。
急いで帰らないと。
姫様達の暴走を止めないと。

「まぁ、まぁまぁ待って下さい。最後の悪い知らせが残ってますから。」

「え、まだあんのかよ!」

え、まだあるのですか?

「ちょ、ちょっと台詞が心の中の言葉遣いと入れ替わってますよ。でも安心して下さい。そこまで悪くはありませんから、あくまで貴女にとってはですから。」

悪い知らせではない。
でも、俺にとっては悪いかも。

何だろう?
姫様の暴走を早く止めたいけど気になる。

「実は…。」

「ゴクリ……は、はい。」

「なんと貴女は現人神になりました!!」

…………………は?

「貴女の住む大陸内での貴女を信仰する割合が神の領域へと至ってしまいました。私には遠く及びませんが仲間入りです。神への決め手になったのは信者一人一人の信仰の重さが仇となりましたね。」

……………………………は?


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