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他所の聖女と異界の勇者
アルフ、交渉に行く2
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勇者野郎に焦らしお断りをされた。
決定。
こんな性根が腐った奴絶対意地でもうちのわんぱく聖女様と戦わせてコテンパンにしてもらってやる。へっへ、その為なら幾らでも頭を下げてやる。
「そんなつれない事を言わないで欲しい。どうかお願い出来ないだろうか?」
地面を見ると幾分か気分も安らぐ。顔を上げてあんな気持ち悪い笑みを向ける奴と目が合えば嘔吐してしまう。
「くふ、異世界最高だな。こんなイケメンですら俺に頭を垂れやがる。」
ん?
なんかまた呟いたな。時折、自分の世界に入って気持ち悪く笑うから本当に気持ち悪い。
「ほっほっほユータ殿、これだけ慈悲を乞うておるのです。お受けして差し上げれば宜しいかと。」
突然の背後からの支援。
これは助かると感謝の気持ちで振り向くもつい顔を歪ませてしまう。ふーギリギリ気付かれなかったようだ。
枢機卿のドワノフ。謁見では明らかに我が国の聖女に不快感を表していた。何処の国にも悲しいかな一定数の貴族至上主義という愚かな者達がいる。見た限りこの男もそうなんだろう。アリスの部屋が物置に使われているような所になったのもおそらくあいつの指示だろう。何故か今はこちらに賛同してくれている、今は憤る心をしっかりと抑えよう。
「ドワノフがそう言うなら…うーん。」
「ここでしっかりとあの娘に慈悲を与えておけば、喜んで夜伽でも従順に奉仕するでしょう。」
こいつ俺達の前でなんて事を言っているんだ?
どんどん苛々が蓄積していく。ノートンなんて剣の柄を持ってぷるぷるしている。
でもふと気配を感じ、枢機卿の後ろにある扉の方を向けば可愛いドレスを着たアリス教筆頭信者が覗いていた。
目が合ったです。
ニタリと笑って怖かったです。
けれど、この勇者と枢機卿の運命が傾いたな、そう思う。だって、あの信者達だもん。泣く子も黙って崇拝させるあの信者達だもん。あれらに目をつけられたら最後。
そう思うとまた心にゆとりがもたらされる。
しばらくうんうんと悩んでいた勇者野郎がようやく口を開く。
「仕方がない。この俺様が優しく指導してやろう。俺様は優しいからな。」
「………ありがとう。我が国の聖女も大層喜んで下さることでしょう。」
それから枢機卿も交えて軽い打ち合わせ。
手合わせは2日後。
場所は交流会前日で空いている兵士たちが使う練習場。
「勇者殿、ドワノフ殿、この度の我儘を聞いて下さり誠にありがとうございます。」
「ふん、しっかりと俺様に感謝するんだぜ。」
「ほっほっほ、ユータ殿は本当に優しいですなぁ。」
俺は笑みを貼り付けてこの場を後にした。
ぶち。
ふーなんとか退出するまで血管破裂を我慢出来た。
はっはっは、ノートンも顔血だらけだな。
お互いに血塗れの顔を指差して笑い、我らが聖女様に俺達の成果を報告しに行くのであった。
妹と聖女からよくやったと頭を撫で撫でしてもらいました。心が洗われました。
決定。
こんな性根が腐った奴絶対意地でもうちのわんぱく聖女様と戦わせてコテンパンにしてもらってやる。へっへ、その為なら幾らでも頭を下げてやる。
「そんなつれない事を言わないで欲しい。どうかお願い出来ないだろうか?」
地面を見ると幾分か気分も安らぐ。顔を上げてあんな気持ち悪い笑みを向ける奴と目が合えば嘔吐してしまう。
「くふ、異世界最高だな。こんなイケメンですら俺に頭を垂れやがる。」
ん?
なんかまた呟いたな。時折、自分の世界に入って気持ち悪く笑うから本当に気持ち悪い。
「ほっほっほユータ殿、これだけ慈悲を乞うておるのです。お受けして差し上げれば宜しいかと。」
突然の背後からの支援。
これは助かると感謝の気持ちで振り向くもつい顔を歪ませてしまう。ふーギリギリ気付かれなかったようだ。
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「ドワノフがそう言うなら…うーん。」
「ここでしっかりとあの娘に慈悲を与えておけば、喜んで夜伽でも従順に奉仕するでしょう。」
こいつ俺達の前でなんて事を言っているんだ?
どんどん苛々が蓄積していく。ノートンなんて剣の柄を持ってぷるぷるしている。
でもふと気配を感じ、枢機卿の後ろにある扉の方を向けば可愛いドレスを着たアリス教筆頭信者が覗いていた。
目が合ったです。
ニタリと笑って怖かったです。
けれど、この勇者と枢機卿の運命が傾いたな、そう思う。だって、あの信者達だもん。泣く子も黙って崇拝させるあの信者達だもん。あれらに目をつけられたら最後。
そう思うとまた心にゆとりがもたらされる。
しばらくうんうんと悩んでいた勇者野郎がようやく口を開く。
「仕方がない。この俺様が優しく指導してやろう。俺様は優しいからな。」
「………ありがとう。我が国の聖女も大層喜んで下さることでしょう。」
それから枢機卿も交えて軽い打ち合わせ。
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「勇者殿、ドワノフ殿、この度の我儘を聞いて下さり誠にありがとうございます。」
「ふん、しっかりと俺様に感謝するんだぜ。」
「ほっほっほ、ユータ殿は本当に優しいですなぁ。」
俺は笑みを貼り付けてこの場を後にした。
ぶち。
ふーなんとか退出するまで血管破裂を我慢出来た。
はっはっは、ノートンも顔血だらけだな。
お互いに血塗れの顔を指差して笑い、我らが聖女様に俺達の成果を報告しに行くのであった。
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