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お茶会よりも戦闘を
ドレスアップ完了
しおりを挟むいよいよスゥ様から御招待のお手紙を貰ったお茶会の日がやってきた。
スゥ様と2人っきりとかの気楽なものだと好ましいけど、高圧シスター予想ではまず有り得ない。
スゥ様以外の令嬢が複数人いる可能性大らしい。
珍獣以外の王族達みたいに平民な俺であっても気さくに接してくれる人なら良いけど、そうとは限らないだろうな。
絶対、王様たちの対応の方が珍しいと思うもん。
折角の王女からのお誘いも気が進まないよ。
そんな俺は、ただいま大きな鏡の前で高圧シスターとロコルお姉ちゃんによるお着替え中。
入城の為にドレス姿へと着替えさせられている。直前までローブ姿では駄目か交渉したけど無理でした。
お茶会でローブは失礼ですよの一点張り。
貴族令嬢な高圧シスターも同意するように頷いている。本物貴族もそういうなら失礼に当たるんだね。
分かりました、装備します。
抵抗も虚しく元々着用していたローブを脱がされ、薄着とパンツ一丁の姿。
女の子同士だし別に気にしてはいないけど、アンジェリカさん目が血走ってるけど大丈夫。
大丈夫ではない合図に、くふぅと変な声を洩らし顔を発火させている。
少し落ち着かせてきますわと鼻を押さえながら、ふらふらと退出して行った。
俺もこのまま一緒に退出したいけど、ドレスに着替え終えるまで許してくれそうにない。
ロコルお姉ちゃんがニコニコと俺が着ないといけないドレスを掲げているもん。
はいはいと指示されるがまま、ドレスを身に包んでいく。
慣れない服にちょっと手間取ったけどお着替え完了。
村時代に山での特訓中に舞い降りた雪と同じ色を身に纏う。
俺には少し大きめに見えるけど、これで適正らしい。
歩いてる途中で裾を踏んでしまわないか心配だ。
くるりと回るけどやっぱり動きづらい。
それになんか凄く女の子っぽい。
いや女だけど、普段は絶対着るはずのない服装でちょっと恥ずかしい。
自分に似合っているかも分からないからついそう思っちゃう。
確認しようにも、ロコルお姉ちゃんは通例の一言の可愛いですしか言わない。戻って来た高圧シスターもドレス姿の俺を見てまた退出するから、結局分からなかった。
とにかくもう馬車が待っているって聞いたし行かないとね。
俺のいつもと違う格好が珍しいのか、助祭達の物珍しそうにちらちらと見てくる視線がなんとももどかしい。
今までこんなにも恥ずかしく感じることがあっただろうか。
高圧シスター程ではないけど頬が熱い。絶対赤くなっているよ。
馬車までの絶え間ない羞恥をどうにか耐え切った。
そこにはトーラスさんといつもの使者が待っていた。これで確定、あの人は俺担当だね。
「これはアリス様、大変良く似合っていらっしゃる。まるで本物の女神様のようにお美しいですね。」
「えぅっ!」
開口一番に何を言ってるんだトーラスさん。
未体験の褒め言葉が俺を襲う。
頑張って顔の温度を下げていたのにどうしてくれるの。
使者の方も続くように綺麗ですと伝えてくる。
や、止めて欲しい。俺はそんなんじゃないから、唯の力自慢少女だから。
「あ、ありがとうございます。私には勿体ない衣装で申し訳無いですが‥。と、とにかく参りましょう。」
トーラスさん達が、照れ臭く頬をかく俺に更なる言葉を紡ごうとするので先を急かす。
これ以上はきついよ。
使者の手を借りることなく直ぐに馬車へ乗り込んだ。
後は王城に行くだけ。
スゥ様へのお土産もある。
あとは、このまだ赤みの取れない頬を元に戻すだけだ。
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