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お茶会よりも戦闘を
出会いは最悪2
しおりを挟むただいま王族の方々と面会中。
豪華に装飾を施されたドレスや服を見事に着こなす人達。
俺には全く縁の無いはずだった人達に囲まれて少々居心地が悪い現在。でも、この紅茶は美味しい。
目の前の王様が口を開く。
「初めまして聖女殿。私はガノフ・シェアローズ。この国で国王をやっている。色々とこちらで不手際があり申し訳無かった。だが、聖女殿にお会い出来て良かった。」
意外に気さくな口調で助かる。
でも、王様が軽くとはいえ頭を下げて大丈夫なの?
「父上、このような者に頭を下げるなど‥」
「フリード黙れ!」
やっぱり左の人は黙ってられないか。
王様が恫喝を持って制したけど、納得いかないようでこちらを睨んでいる。
それを見たアルフは頭痛でも起きたか眉間に皺を寄せ頭を抱えている。
「息子が失礼した、すまない。」
「いえいえ私は気にしていませんよ。それよりも私もお会い出来て光栄です。聖女の証を承りましたアリスと申します。どうぞよろしくお願い致します。」
「寛大なお心に感謝する。今日はここにいる者達との顔合わせだ。私の家族を紹介してもいいだろうか?」
「はい、王族の方々とはこれかも関わりを持つことも多くなると思います。是非、お願いいたします。」
一人を除いてな。
せっかく王様は気が合うというか話しやすい人なのに左で睨んでいる人が面倒くさい。
この人だけ紹介飛ばして終わってほしい。
王様の目配せで隣の俺にはない物を持つ豊満な美女が挨拶をする。
「初めまして聖女様。私はレオラ・シェアローズと言います。この人の妻兼王妃を務めております。どうぞよろしくね。」
うんうん、この人見かけによらずお茶目そうで接しやすい。
なんでこの二人からこれが生まれるんだ?
この国に伝わる謎の一つかもしれない。
「レオラ様よろしくお願いいたします。私のことは聖女様でなく気軽にアリスとお呼びください。」
「まあ、そう?でしたら、アリスちゃんと呼ばせてもらおうかしら。アリスちゃん、どう?」
「はい、私もその方が気が楽ですので有難いです。」
ニコニコとお互いに笑い合う。年上の人達から様付けされるのはなかなか慣れないから助かります。
そして、続いては王妃様に促されて右に座るアルフと美少女ちゃん。
「こうやって改めてちゃんと挨拶するのは初めてだな。私はアルフ・シェアローズ。一応、第二王子を務めている。私の毒を治療してくれてありがとうな。」
こういう場では俺じゃなくて私なんだ。へぇ、ちゃんと王子やってんだね。
俺のニヤニヤ顔に照れ臭そうに御礼を告げてくる。
「あの時に充分感謝の言葉は頂きました。それよりも私こそ王子とは知らずアルフ様に無礼な態度を取ってしまい申し訳ございませんでした。」
「いや、それこそ気にしなくていい。お‥私も名乗ってなかったしな。それに今まで通りの口調でいいぞ。」
俺の考えられる限りの丁寧口調に心底気味悪そうにしている。
ひどい、折角日々の努力を重ねて備わった技術なのに。
とりあえず頬に手を当てて、ほほほと笑っておきましょう。
お次は大きなお目めをキラキラと輝かせて、ずっと話したそうにしていた女の子。
「初めまして聖女様!私は、スフィア・シェアローズです。スゥとお呼びくださいませ!アルフお兄様から色々と聖女様の素晴らしいご活躍をお聞きしてとてもお会いしたかったです。光栄です感激です嬉しいです!」
おおう、ミーナちゃん臭を感じるこの勢い。
まくし立てるように嬉しさを放出してくるからちょっと驚いてしまった。
でも、ありがとう俺も会えて嬉しいよ。
「スフィア様ではスゥ様と呼ばさせて頂きます。私の事も気軽にアリスとお呼びくださいませ。私もお会い出来て嬉しく思います。」
「はい、アリスお姉様!スゥも嬉しいです!」
ど、どんな話を聞いたらこんなに身を乗り出すほどの興奮状態に陥るんだ。
アルフにジト目をお送りする。
アルフは俺は悪くないと顔で訴える。でも、目が泳いでいるぞ。
立場的に無いとは思うけど、この子がミーナちゃんと出会ってしまったら少し怖いな。
そして、最後に仕方なく先ほどからずっと熱烈な視線を送ってくる左の人。ずっと平民のくせにとぶつぶつ呟いている。
王様も先ほどからのそいつの態度には気づいていた。アルフと同じように眉間に皺が寄っている。親子だねー。
王妃様も困った子ねと言いたげな顔で呆れている。
本当になんでこんな優しい家族の中で育ってこうなるの?
でも、今日は顔合わせだから紹介しない訳にはいかない。
王様は簡潔に挨拶するよう其奴に促している。
んで、普通に挨拶するのかと思ったら急に立ち上がり、俺に向けて指を指す。
鼻息をフンと鳴らし見下すような目で見下ろしてくるこれを、俺は冷めきった目で見物する。
さて、どんな自己紹介をして頂けるんのでしょうか?
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