今日も聖女は拳をふるう

こう7

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豚司教に教育を

治療の対象

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ただいま俺たちはごろつきっぽい男達に囲まれています。
目当ては俺。あの司教の耳にでも入ってこいつらを寄越したのか?

俺を守るように陣を敷くロコルお姉ちゃんと金髪茶髪の二人組。
正に一瞬即発。

いつでも戦闘態勢。力量差から考えるとロコルお姉ちゃん達が圧勝するだろう。

でもね皆さん、ここは大広場。憩いの場所ですよ。戦闘には場違いな所だと分かってる?


だから、やる気満々なとこ悪いけど落ち着いてもらいましょう。
俺はごろつき組とロコルお姉ちゃん組に向けて威圧を放出する。通行人の方々はご安心を。ちゃんと制御は出来るからね。


威圧の効果は抜群。ごろつき組はもちろんのことロコルお姉ちゃん達も顔面蒼白。
3人とも結構強そうだと思うけど、まだ鍛えが足りないね。爺ちゃんなら嬉しそうに笑いながら蹴りを繰り出してくるよ。

「あ、アリス様がだ出しているのですか?」

「そうだよ、ロコルお姉ちゃん。私はけっこう強いって前にも言ったじゃないですか。」

初めて会った時に言ったのに、信じてくれてないんだもん。

「き、君がこれほどのを放つのかい?」

「そうですよ。こんな通行人も多くいる往来の場で戦闘を始めようとするからです。憩いの広場で戦闘なんて無粋です!」

「そ、そうか‥」

金髪は俺の思いもよらぬ一部分に愕然とした表情。俺は別にか弱い守られる存在なつもりは無いですよ。

さてごろつき組のお話を聞こうかな。

未だに当てられた威圧で震えが止まらない様子。最初に突っかかってきた坊主頭のお兄さんに聞こう。


「さて貴方達はどうして私を連れて行こうとしたのですか?」

「‥‥‥‥」

お兄さんは顔を俯ける。

「私に何かご用があるのでしょう?なんですか?」

「俺たちの‥俺たちのボスが、病気で倒れちまったんだ。最近噂になってるあんたなら治せれると思ったんだ。」

なるほどね。治してほしい人がいて、俺を連れて行こうとした訳か。


「はぁ、でしたら最初から治してくれと言えばいいでしょう。無理矢理連れて行こうとしなくても治しに行きますよ。」

「ほ、本当か!」

震えながらも嬉しそうに顔を上げる男達。しっぽを振る子犬みたい。

もう襲ってこないだろう。みんなへ向けた威圧を解く。


「ま、待ってくれ、女神様!」

解けて復活した金髪がしゃしゃり出てくる。
ちょっと待って女神とな?

「あの、女神とは私のことを言ってます?」

「もちろんだ!」

元気な返事をありがとう。

「私は女神ではありません。ただ少し怪我や病気が治せる普通の女の子アリスちゃんです。」

「いや、普通ではないでしょう‥」

茶髪うるさい。

「わ、分かった、アリス様。しかし、こいつらのボスを治すというのは止めるべきかと。おい、お前らのボスの名前はなんだ?」

「お、俺たちのボスは‥ブラッドさんだ。」

「やはりか。」

なになに?
ブラッドって人有名なの?

「ブラッドとは、この王都の裏社会を取り仕切っている男です。非常に危険な男と言われてます。」

俺の表情から茶髪が教えてくれる。君、表情を読むの上手いね。
ふんふん、裏社会の重鎮ね。

「それで、金ぱ‥貴方はどうしてその人の治療を止めるのです?」

「俺の名前はアルフです。こっちはノートンです。」

ごめんて、そんな顔しないでよ。

「ブラッドは泣く子も黙る極悪非道な人間と恐れられている男だぞ。」

「だから、何でしょうか?悪人だから治す必要が無いと?悪人だからと今もなおもがき苦しんでいる人を見逃せと?」

「だ、だが奴は‥」

俺は静かにアルフに近づき胸ぐらを掴む。

「ふざけないでください。悪人とか善人とか関係ない。目の前で助けれる命なら私は誰であろうと救います。反省なら治してからさせればいい。一刻も早く治してやりたいんですよ!」

命の価値は誰だって平等だよ、全く。
有無を言わせない強い目で告げ、アルフの胸ぐらを放す。
そして、もう一度男達の元に。

「さてブラッドって方まで案内して頂けますか?」

「い‥いいのか?いや、いいんですか?」

先ほどのやり取りを黙って聞いていた男達は恐る恐る伺ってくる。

何を今更。

「もちろん。私は誰であろうと救える命は救います。案内して頂けますか?」

「はい、はい‥。ありがとう、ありがとうございます!」

まだ治してもいないのに感謝は要らないよ。
そこ拝まない!

ロコルお姉ちゃんもまた分かりますよという風に頷かないで。


というわけで、男達の案内でブラッドのいる場所まで出発。
しばし呆然としていたアルフとその友達ノートンもなぜか黙ってついてきている。

もう邪魔はしないでね。



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