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王都でのんびり

金さえあれば怒りも忘れる

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ギルマスによるお試し。
こんな可憐で儚げな美少女に対して寸止めとはいえ拳を向けた。

そんな事されたら恐怖が下から液体になって溢れても仕方がないじゃない。

『ご主人様、流石です。よく表情に出しませんでした、だからその…大丈夫ですよ。』

今まで機械的で軽く小馬鹿にしていたなっちゃんが初めて労りを見せてくれた気がする。
それだけ今の私は見るに耐えないってか、はは。

このギルマス殺す。
殺してしばらく死体を放置してより体臭をキツくして娘のミルちゃんに突き付けてドン引きさせてやる。

『ご主人様、考えが猟奇的になっております。ここで事を構えるのは賢明ではありません。落ち着きましょう、その…大丈夫ですよ。』

なっちゃんのあほー!!

でも、少し冷静になれた。
怒りに任せて一つの家庭を崩壊させるなんて本意じゃない。

けれど、この下から漏れた怒りは何処で乾かせばいいの?

「試して悪かったな。さて報酬金を渡そうと思う。あと、試した詫びに色つけて渡すからな。」

…………金?

「ほれこれだ、中身は金貨160枚入っている。受け取ってくれ。」

ドンとテーブルに置かれた布袋、やけに膨らんでてよだれが出る。
160枚って盗賊から奪った金銭の10倍以上だ。
袋からチラッと金色が見えて更に止まらない。

「あと、これはさっきの試し料で銀貨30枚。まぁこれ見た後に出したら寂しいが勘弁してくれな。」

「い、いえいえありがとうございます、デヘヘへ!!」

金だろうと銀だろうと金は金。
貰えるなら何でも貰います。

このおっさんはか弱い美少女に暴力を振るう最低野郎って思ったけど違った。
この人めっちゃ良い人、お金をくれる良い人。

体臭?
野性味溢れててワイルドです。

お漏らし?
ただの喜びのヨダレです。

『ご主人様、悦に入るのはそれぐらいにした方がよろしいかと…。ギルドマスターが少し引いてます。あとお漏らしはお漏らしです。』

はい。

宿に帰ったら新しい下着に変えてちゃんと干します。

「え、えーと大丈夫か?」

「あ、はい大丈夫です!つい嬉しくて色々緩くなってしまいました。」

「そ、そうかまぁ程々にな。じゃあ、次行くぞ。次は冒険者ランクについてだ。」

冒険者ランク?
確か私のランクは現在E止まり。

もしかしてDにいっちゃう?

「ワイバーンやサラマンダーは本来上級のパーティで挑む魔物だ。それを単独で倒した君には一つ繰り上げてCランクにしようと思う。」

まさかの一つ飛ばし。
私ほどの美少女で強者となるとそれも当然かー。いやー強くてカワイイって罪だねー。

『流石はご主人様です。殺意を煮立たせる天才です。』

…………うっさい。

こうして晴れて私はCランクの冒険者になりました。
最短でのCランク昇格のようでしばらくはこの長くなった鼻を自慢したいです。

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