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王都でのんびり

カエデもおだてりゃ木に登る

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フワ子様の大いなる御力のお陰でワイバーンとサラマンダーの討伐に成功した。
でも、これフワ子が居なかったら確実に死んでたんじゃなかろうか。

『ご安心下さいませ。たとえフワ子様がいらっしゃらなくても私の案内とご主人様のゴキブリ並みのしぶとさがあれば回避は出来ておりましたよ。討伐は少々難しいかもしれませんが…。』

なっちゃんの丁寧な皮肉が心に刺さる。
もしかして私の事嫌い?

『こほん…ん、んアニメ声モード(妹系幼女声)………………カエデお姉ちゃんだーいしゅき!!』

「んほおぉぉぉーー!!!」

なに?
なになに?
なっちゃんってそんなモードにも切り替えられるの?
感激と興奮のあまり遠吠えを上げちゃったじゃん。

これからも是非その声でカエデお姉ちゃんと呼んでほしい。

『申し訳ございません。次の使用までに時間が掛かるため今すぐには難しいです。』

ぐっ…そうかぁ。
でも、また聴ける機会もあるでしょう。


なっちゃんの新たな機能を知れたところで王都に帰還。
早速向かうのは、こんな美少女に危険な依頼を受けさせたあのド腐れクソアマ野郎の所。
公衆の面前で溺れる快楽を使用して羞恥に晒してやる、へっへっへ。

『ご主人様、悪役顔になってます。美少女ヒロイン顔に戻って下さい。』

………てへ、私ったらついおこおこプンプンになっちゃったわ。
あの受付嬢に会っても深窓の令嬢スマイルで接しなきゃね。

何度も崩れ落ちた微笑みを再度へばり付けて、冒険者ギルドの中に入る。
どういう訳か以前訪れた時みたいな品定めするような視線を感じない。むしろ逸らされている気さえする。

まぁどうであれ警戒しない分気楽。
私は受付エリアを見回し標的を探す。


発見。
私は極悪な深窓の令嬢の笑みを浮かべてゆっくり近づいて行く。
あちらも私に気付いたようで一瞬ビクリとしたけど笑顔で出迎えてくれる。

「お、おかえりなさいませ。依頼の達成報告でしょうか?」

「はい、そうですなんとか達成しました。ですが、ただのEランクの美少女冒険者に対してこの依頼は難易度高すぎではございませんか?」

「……えっ!?まだEランクだったんですか!」

あれ?
私がEランクだと知ってた上でこの依頼をおすすめしたんじゃないの?

「も、申し訳ございません!お嬢様の纏う雰囲気に気圧されましてちゃんと確認しておりませんでした。本当に申し訳ございません!」

「へぇ…。」

ほほう、私の纏う雰囲気…。

『ご主人様の強者たる変態たるオーラに惑わされたのでしょう。流石ご主人様です。』

ふっふっふ、私のオーラが歴戦の勇者過ぎちゃったかぁ。
なら間違えちゃうのも仕方にゃいのかなぁ、へっへっへ。

カエデのだらしない笑みはまた周囲の者達をドン引きさせるには十分であった。

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