知らない世界はお供にナビを

サルサでのんびり

待ってましたテンプレ

気持ちの良い朝を迎えられずもうお昼前。昨日は寝る時間が遅かった。
身体を綺麗にしてたらいつの間にか寝ていたみたい。素っ裸から衣服を装備する。出店を巡るついでにちゃんとこの世界の服も買っておいたのだ。いつまでも学生服ではいざって時に目立って仕方ない。
短パンにワンピースだと冒険者っぽくないけどその上に外套を羽織れば完璧。


それでは、昼飯を食べたらギルドへ向かいましょう。
太陽さんやこんな時間から酒を呑むゴロツキ達に軽く会釈して行きつけの屋台に行く。

この屋台はいつも行列。料理は一つしかないけど、安くて早くて美味いと三拍子揃った人気屋台。

料理はシンプルに焼いた魔物肉と野菜をパンに挟んで秘伝のタレをかけただけ。名付けてウルフドック、狼なのか犬なのかはっきりしてほしい。

でも、美味しい。

齧り付く度に溢れ出る肉汁が更なる購買意欲を促進してくる。


結局３つも食べてしまった。もうお腹がパンパンだけどこれからの冒険活動ですぐに消化されるでしょう。


お腹いっぱいで口を抑えながらギルドへ向かう。


５日ぶりのギルド。二度目ともなればこの視線にも慣れる。あの初日の出来事のお陰で羞恥心を大分放棄出来るようになった。

『それを捨てたら人として終わりますよ。』

なっちゃんの小言も心の中で返すからもう変人扱いの心配も無い。堂々と依頼の貼られた掲示板を確認する。
私は最低ランクだから町内での雑用系か外だったら薬草の採取くらいしかない。
でも、初心者だし取り急ぎお金に困ってもないから簡単な薬草採取にしよう。
受付のニコラさんに依頼を受注して貰おうとした。

しかし、その時だった！


「ようよう、そこのお嬢さん可愛いねぇ。良かったら俺らとこの後お茶でもしないかい？その後、楽しいこともしようぜへへへ。」


後ろから声が聞こえた。
ついに来ちゃったか、みっちゃんの言ってたイベント。分かる分かるよ男子、こんなか弱くチョロインそうな女の子だもんナンパしたくなるよ。
でも、悪いね。
私はそこまでお尻は軽くない。誘えてもご飯だけなんだからね。


ここはお淑やかな令嬢風に断ったろうと後ろを振り向く。


「な、良いだろう？」

「や、止めて下さい。私はこれから依頼を受けるんです。」


結論から言うと私じゃなかった。私の側で掲示板を見ていたお姉さんでした。
よく見たらこのお姉さんは宿屋で不法侵入してしまった部屋の住人だ。土下座の際に見上げて捉えてしまった大きな山２つが印象的でよく覚えている。

なるほど。

持つ者の宿命でお姉さんは絡まれているのか。あー良かった良かった、私が持たざる者で良かった。

「良いから来いよ、なんなら一緒に依頼受けてやるよ。」

「や、止めて下さい。離して下さい！」

ついにナンパ野郎共は実力行使とばかりにお姉さんの腕を掴み強引に連れて行こうとする。

本来ならナンパ野郎共を応援したい、だって持つ者は憎き怨敵だもん。でも、お姉さんには恩がある。

恩には恩を、巨乳にはビンタを。


「とう！」


カエデはナンパ男とお姉さんの間を割って入るように切り込んだ。

「な、なんだテメー！？」

「お姉さんが困っているじゃない、止めなよ！」

お前らをさっさと追い払ってあのお胸様をビンタするんだ。早く立ち去れ。

「う、うるせー、この貧乳ドチビがぁ！！」

「「そうだそうだ！！」」


…………ブチ、ブチブチブチ。
一瞬静まり返る空間で何処かの誰かの血管が破裂する音だけが響く。

彼らはタブーに触れた。
ポジティブ残念美少女の逆鱗。



「……………殺す。」