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サルサでのんびり

冒険美少女爆誕

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なっちゃんの小粋な小話に笑い声を上げていると受付のお姉さんから呼ばれた。
カードの発行が完了したようだ。

話を切り上げ受け取りに行く。

やっぱり無事に到着。全く最近の冒険者は何をやっているんだい。

「では、こちらがギルドカードになります。ランクはFからです。ご説明は必要でしょうか?」

「いいえ、大丈夫です。」

ギルドカードの説明なら散々なっちゃんで予習済み。最大でSランク、そこまで到達出来た人は両手で数えられる程度だよね。ランク上げとか興味無いから私には関係ない事だ。
早く宿屋で腰を落ち着かせたいのですぐに受付のお姉さんから受け取る。

ついに私は冒険者になったのだ。
両手でギルドカードを天へと掲げた。

「こ、このままご依頼を受けますか?」

「今日、この町に来たばかりなのでゆっくりしようと思ってます。えーとお姉さん、何処かおすすめの宿屋ってありますか?資金はそこそこあるのでお風呂がある所が良いんですが…。」

「ふふ、私はニコラといいます。お風呂付きでオススメですね…でしたら宿り木の庭という宿屋がよろしいかと思います。一泊銀貨3枚と少々高めですが、お風呂付きで朝夕に食事も付きますよ。ここから左の道を進んで真っ直ぐ進めばあると思います。宿屋の庭には大きな木が生えているのですぐに分かりますよ。」


おぉ、お風呂付きあるんだ。なっちゃん情報で大抵は貴族の泊まるような宿や屋敷でしか風呂は設置されていないらしい。それを聞いて不安だったけどどうやら杞憂で終わったみたい。

「ありがとうございます。そこに行ってみようと思います!では、明日から宜しくお願いします。」

「はい、カエデ様のこれからのご活躍を心より応援致します。頑張って下さいませ。」

「よし、なっちゃん行こう!」

『はい。』

なっちゃんに声を掛けて踵を返す一瞬、ニコラさんの目が驚きに見開いてたような。
驚かれる要素が検討つかないから気のせいだね。

もう用はないのでギルドを退出。
結局、最後の最後まで揉め事が起きることは無かった。むしろ、出る時モーゼのように分かれて道を作ってくれた。
このギルドではみっちゃんの常識とは些か外れているようだ。


ニコラさんの教えてくれた通りの道を進んで行くと発見。杉の木並に大きな木が宿屋の屋根に若干覆い被さっている。
早速入店。


真っ先に目につくのはガヤガヤと食事を楽しむ人達が数組。この宿屋は一階を食堂にしているみたい。階段があるからおそらく二階が客室でしょう。

何処が受付かオロオロと彷徨い掛けた時、割烹着を着たふくよかな女性が声を掛けてきた。

「いらっしゃい、ようこそ宿り木の庭へ。あたしはマールってんだよろしくね。それでお泊りかい?それとも食事かい?」

「えーと、はいお泊りです。とりあえず10日間泊まろうと思います。」

「あいよ、10日間だね。じゃあ、ちょっとこっちに来ておくれ。受付を済ませるからね。」

威勢のいいおばちゃんに促されてついていく。着いた先で私の名前を記入していく。なっちゃんの名前も書いとかないとね。

「うんうんカエデちゃんね。えーとあとこのなっちゃんって子は後から来るのかい?」

後から来るも何も横に居るけど。

「え?もう居ますけど…。」

「え?どこに?」

「ここに…。」

隣の光球に指を指す。

「え?」

「え?」

しばしの沈黙。
話を切り出したのは他でもないなっちゃん。

『ご主人様、今まで二人っきりでしたので伝えるタイミングを逃しておりましたがその………私はご主人様以外に視認することも声が聞こえることもございません。』


なっちゃんからもたらされた衝撃的な事実。

「ま、待ってなっちゃん。じゃあ、今まで人前で普通になっちゃんと話してたのも周りには…。」

『はい、ただのご主人様の独り言にしか聞こえていません。そして、それは現在進行形です。』

現在進行形と聞いてマールおばちゃんの方を見る。その目は大丈夫かしらこの子って目をしてた。

似たような目を何度も目撃した。
蘇る記憶。
衛兵おじさんに受付のニコラさんに先輩冒険者さん達あぁ…。


カエデは吹き出る羞恥心に勝てることなく両手で顔を隠してしゃがみ崩れた。

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