ドライアドさんのお茶ポーション

べべ

文字の大きさ
上 下
72 / 77

第65話:メイドのお仕事

しおりを挟む
ハウラナを陥れるつもりが自分達の首を絞めることになった側室達。

特にレーネは焦って愚行に走り、取り返しがつかない事態に無い頭を痛めていた。

「どうしてうまくいかないの!私には時間がないのに!」
第三側室レーネはあと1週間で年季が終わる、つまり正妃になるチャンスはほぼ消えたのだ。
すでに離縁の為の引っ越し準備も帝国側が始めている、契約通りなので文句も言えない。


最後の手段にと、皇帝の寝室へ夜這いをかける計画をたてたが護衛たちがそれを許さなかった。
ふつう王宮に居室を持つものだが、皇帝は隣接された黒曜宮に住んでいた。
そこは軍部の機密組織でもあるため、簡単には入れない。

など通されるわけもないのだ。
屈強な護衛を排除しなければ到底無理だし、侵入したとて謀反人として捕縛され処罰されるだろう。


結局なんの打開もできないまま、レーネは母国イースレッドへ帰された。
とうぜん白い結婚だ、皇帝クレイブとは赤の他人に戻った。




帰国後、レーネは軍国の姫らしくドレスから軍服に着替え凛とした姿に戻り鼻息荒く宣った。
「ゼベールを討つべし」

怒りの矛先をハウラナの母国ゼベールへ向けたレーネは、父である国王と王太子の兄ルードに国力にものを謂わせ潰せないかと相談したのだ。


「ふむ、お前の無念は、余の無念でもある。しかしだな相手は小国なれど優れた魔導士が大勢おる、簡単には墜とせまいよ」

軍事国家イースレッドは軍艦建造に力を入れており海戦に強い、帝国に次ぐ強さを有してはいるが魔法国と戦ったことはない。それゆえに王は危惧しているのだ。


「お気の弱いことを、あの国の脅威などほとんど聞いたことがないですわ!文献にもございません、他国も我が国も魔法を使う者がほとんどいないせいで警戒しすぎなのですわ!」

咆える妹の声に兄が言う。
「うむ、確かにな……蔑称で”臆病な鎖国”と言われてもいたな、たしかにあの国を落とせば魔道具技術は我が手に……悪くはない、艦隊と戦用に開発した魔道具を有すれば帝国さえ敵でなくなるぞ」


王太子ルードのその言葉に気を良くしたレーネはほくそ笑む。

「さすがですわ兄様!ゼベールは東海に位置する小国です、背後は険しい山脈があり逃げるのも一苦労でしょう、海側から攻めればひとたまりもないですわ」


王子と王女の強い意気込みにイースレッド王は長考し口を開く。

「我が代で偉業を達するのも悪くないだろう、優れた船を幾隻と持とうが持ち腐れ。ルードよ、ゼベールに探りをいれろ。」

「御意、すぐに密偵を放ちましょう」




しおりを挟む
感想 66

あなたにおすすめの小説

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

やり直し令嬢は本当にやり直す

お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~

絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。

城内別居中の国王夫妻の話

小野
恋愛
タイトル通りです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...