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第一章:恋愛日和
第21話:エクストラクエスト(前編)
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「……ヤミ? ちょっと……戻らないか?」
「おやおや~? いきなりどうしたんですか?」
実夜はニヤニヤとした顔を隠そうともせずそう言って、さっさと先へ進もうとする。
「……まさかお前、これを知ってて俺を誘ったのか?」
「いやいや先輩は何を言ってるんですか。心優しい私がそんなことを考えると思ってます? それに言ったでしょう、これはエクストラクエストで、事前情報は無いって」
「……」
横穴を少し進むと開いた所へ出た。それ自体はいいのだが、そこには数多の百足やミミズといった小さな無害mob達が蠢いていた。
ここを通らないといけないのかと思うと、かなり気が滅入る。
「まあ、ある程度予想はしていましたけど。別に、『怖がるルア君が見たい』だなんてことはないですよー」
「どの口がそれをいうのか……」
「私の、この可愛さ満点の口ですよ?」
「そういう意味じゃねぇ」
「あっ、可愛いってことは認めるんですね!」
「否定はしないな」
「へっ? えっと、ありがとうございます……」
「って、問題はそこじゃなくて、この状況なんだよ……」
「別に、気にしなくていいじゃないですか。無害ですよ? それとも、私が手を繋いであげましょうか?」
「いや、片手塞がるのはいろいろと怖い」
「リアルでは繋いでくれたのにー?」
「それとこれとは全く関係ないだろ!? あと自分で言っててまた顔が赤くなってるぞ」
「そんなこと言ったら先輩だって……」
そんな会話を繰り広げていると、横で見ていたリカが途中でストップをかけてくる
「……ねえ二人とも、一旦聞いてくれる?」
「どうした?」
「どうかしたの?」
「二人が仲が良いのはよくわかったからさ……これ以上は二人だけの時にやってくれる!? なんか一人だけ違う世界にいるみたいでかなり心細いの!」
「ん……つまり、どうすればいいんだ?」
「要はアレです。ルア君が虫を怖がらずにさっさと歩けばいいってことです」
「……まあそれでいいや。ってことでルア君はさっさと歩く! 別に百足くらい踏んでもどうってことないって!」
「お、おう……」
まあいつまでもこうしているわけにはいかないから良いが。それにしてもこの姉妹、虫に強すぎると思う。
……俺が弱いだけか?
「ほら、何してるんですか! 早く行きますよ!」
実夜にそう急かされ、「ああ」と答えようとした瞬間。天井からなにかが。
ポタリ
「……へっ?」
謎の液体が足下へ落ちた。サッと鳥肌が立つのを感じた。
「ルア君、上っ!」
そう言われ、ハッと上を見上げると、どこかで見覚えのある蜘蛛がいた。
どうやらさっきのはコイツの唾液か粘液か、いずれにせよコイツが原因というのは間違いなさそうだった。
「……おい、こいつ見たことある気がするんだが?」
コイツはアレだ。前にここの洞窟通ったときに倒したボスモンスター、名前は……レッド……なんとかタランチュラ……ま、まあいいか。
「……小さい蜘蛛のヘイトを取ってくれるタンクがいないのが心許ないですが、まあなんとかなるでしょう! ってことで先輩! 奴を引きずり落としますよ」
「前と同じだな、了解!」
「ちょっとー私を忘れないでよ~?」
「あっ、ごめん。リカはバフ私たちに掛けて、その後は好き勝手攻撃しちゃって!」
「りょっ! じゃあ踊り5コンボを披露しちゃいまーす!」
リカがそう言って、パンッと一つ手を叩いた瞬間。空気が変わった。
その一拍手から流れるように織り成される一つの舞。丁寧な足運び、指先まで自然な流れを感じさせる。その動きに合わせて揺れる和装まで、全てが一体となっている、そんな気がした。
「ちょっと先輩! 何ぼーっとしてるんですか? 」
「……ああ、悪い」
「もーさっさと倒しちゃいますよ! あっ、先輩。ちゃんとバフかかってます?」
「バフ? どこで見れるんだ?」
「設定によって変わりますね……なんかアイコン見当たりません? 赤い感じのとか」
実夜にそう言われてから、目端の方にいくつか見慣れないアイコンがいくつかあることに気づいた。色は赤や緑など、それぞれ違った。
「ああ、赤もあるな」
「ならそれです。じゃあさっさと撃ち落としますよ」
「了解」
それから、撃ち落とすところはすんなり行った。
「あとは集中火力か……」
弓だとキツくないか? そう思ってると。
「先輩、火力はリカが頑張るんで援護さえしてくれれば大丈夫ですよー」
「お姉さんに任せなさい!」
「いや、同い年だろ」
「未来のお義姉さんかもしれないでしょ?」
「……変なこと言ってないでリカは早く行って。そして先輩もリカの妄言を真に受けないでください!」
「ああ、わかってるよ」
そして、それからは浴衣姿のリカが大活躍した。戦いながら聞いた実夜の説明によると、なんでも踊り子というのは自分限定の、『強力だけどすごく尖ってる』バフアーツがあるらしい。
見た目は完全に異常だったけどな。
だって赤い浴衣(仕込み付き)を着て、凄い勢いで走って行って、蜘蛛相手に肉弾戦だ。
相手が絶対的に不利なフィールドとはいえ、蜘蛛の足を袖を叩きつけることで潰していく様子は最早、戦いではない別の何かだった。
唯一の救いはリカが『惨殺者』の称号を持っていなかったようで潰れる瞬間、光の粒子に変化することか。そのおかげでなんとか見ていられる光景になっていた。
ちなみに、トドメはリカが刺したため、しっかりとドロップが入手できた。
ボスを倒した部屋からまだ道が続いていたため、そこを道なりに進む。
その途中、暫くうーんと唸っていた実夜が口を開いた。
「やっぱり……おかしいですね」
「あ、実夜もそう思う?」
「ん? 何がおかしいんだ?」
「さっきのやつ、前に戦った時より糸の発射速度が遅かったり、出てくる小さい蜘蛛の個体も弱かったんです」
「それにさ、さっきのところ小さい無害な虫モブが結構いたでしょ? ボスエリアなら湧かないはずの」
そういわれてみればそうだ。前の時は無害な虫モブがいなかった。しかし今回はいた……
「つまり、さっきのはボスじゃなかったってことか?」
「たぶんそういうことです」
「中ボスならいいんだけど、もしかしたらただの雑魚だった可能性も……」
「いや、ただの雑魚であれって……ストーリー飛ばして早めに来た、みたいなことがない限りはありえない……だろ?」
そう、二人にたずねると、実夜とりっかは視線をそらした。
「……NDOですからねぇ」
「……NDOだからねぇ」
そんな風に言われるようなゲームなのか……
「つまり……NDOならありえると?」
「わかりませんけどね。でもエクストラクエストって、まだどんなものなのか殆どわかっていないので……」
「可能性は捨てきれないんだよね……」
と、そこまで聞いてふと、あれ? と思うことがあった。
「その、エクストラクエストって、ギルドを介さないクエストって言ってたよな?」
「はい。そうですよ?」
「ユニーククエストとはどう違うんだ?」
俺がそう聞くと二人は。
「「…………えっ?」」
口を開けて固まった。
なにその反応。ちょっと怖いんだが?
「ちょっと待ってください。突然出てきたユニーククエストっていうの、なんなんですか?」
「そんなの聞いたことないんだけど……?」
「…………えっ?」
今度はこっちが固まる番だった。
いや、ちょっと待ってくれ。ユニーククエストで合ってたよな? たしかに解体場でギルさんから受けたクエストは『ユニーククエスト』って出てたと思うんだけど……
「聞いたこと、ないのか?」
「無いです!」
「無いよ!」
今にも胸ぐらを掴まれそうな勢いで「さあ、言え!」と迫られた。いや、言うからそんなにがっつくなよ……。
「……えっと、前に受けたクエストなんだが……」
そうしてクエストを受けた経緯を一通り話した。すると。
「うーん……同じような気がしますねぇ……」
「私がエクストラクエストを受けたときと大体同じだと思うんだけどなぁ……」
そうして暫く考えていたが。
「……わかりませんね。可能性としてはいくつかありますが、今はまだなんとも……」
「うん。とりあえず今やってるエクストラクエストをまずクリアしちゃおうか」
「……おう。了解」
そうして、一旦考えるのをやめ、道なりに進むことにした。
「それで、さっき言ってたのはこういうことか……倒せ……ってわけじゃ無いよな?」
「はい。さすがにこれ倒すのはキツイですよ。走り抜けろってことなんじゃ無いですか?」
「この大量の強敵を倒すっていうのは、もはやキツイじゃ済まされないと思うけどね」
今、俺たち3人の前には広大な空間が広がっていた。広さで言うと、ちょうどボスと戦った部屋を、横幅を2倍にして、それ以上に縦に長く伸ばしたみたいな。
……そして、その天井に蜘蛛の巣がこれでもかというほど張り巡らされており、その上には、先ほど倒したのと同じような『ボスっぽい雑魚』が数十匹動いているのが見えた。
「……先輩。【鑑定】ってアクティブにしてあります?」
「ああ、入れてある。あのボスっぽいやつだよな? 今見てみる」
「お願いします」
そうして天井付近を彷徨く蜘蛛に【鑑定】を使ってみると。
=================
NAME:ブルーケイブタランチュラ
Lv:16
Info:洞窟の天井を徘徊する蜘蛛。レッドケイブタランチュラをボスとし、集団で活動することもあるが、基本的には個々それぞれで動く。
=================
『……基本的には個々それぞれ』なぁ……
その一文を確認してから上をみると、明らかな餌の共有、譲り合いがたまに見受けられた。
……もし、これが個々だったら良いんだが、十中八九レッドケイブタランチュラをボスとした、集団だろう。
とりあえず鑑定結果を実夜に伝えると。
「……走り抜けるしか、本当になさそうですね……。仕方ない、行きますか!」
「ああ。AGIにはいくらか振ってあるし行けるだろ」
「頑張っていこー!」
そして。
「ルア君避けてっ!」
「おうっ!」
「ヤミ危ないっ!」
「なんのっ! 余裕ですって! あっ先輩も左っ!」
「チッ……余裕……だよっ!」
「あっ! リカ右!」
「へっ!? ……うわぁ! っと、ヤミありがと」
天井から降り注ぐ糸や近くに湧く小さい蜘蛛からの攻撃を避けつつ走り抜けるという、割とギリギリの避けゲーを、声を掛け合いながらなんとか突破した。
「ふぅ……ここまでくれば大丈夫みたいですね……」
「あ、ああ。意外と危なかったな……」
「これ本当に走り抜けることを想定してたの? ってレベルだったんだけど……」
「それでも抜けられたから、別に良いんじゃない?」
そうして更に道を進んでいく。
「そういえば、このクエストって何をしたらクリアなんだ?」
「変な音、始めに聞いた唸り声の原因を探り当てたらじゃないですか?」
「あー、そういえばそうか。なら蜘蛛はガン無視で大丈夫そうだな……」
「まあとりあえず道なりに進んで行けばなんかわかるんじゃない?」
「だね。ってことでドンドン進んでいきましょー!」
ひたすら進んで行くと、そこにあったのは石でできた、地下への階段。
ここまで一切、人の気配を感じなかったわけだが……そんな中急に出てきた人工物だ。何かありそうだと感じる。
「……階段、だよね?」
「ですね……なんででしょう。昔はここが生活圏だったーみたいな設定でしょうか」
「いや、さすがにこんな洞窟の奥深くでその設定は無いんじゃないか?」
「なら、なんでしょう? 何かしら、意味があるのでは?」
「ねえねえ、こういうのでよくあるのは何かの封印とかじゃない?」
封印……もしそうだとしたら。
「もし何かの封印だったとして、その方向から唸り声って嫌な予感しかしないんだが?」
「……奇遇ですね。私も、とても嫌な予感がしていますよ……。まあ封印と決まったわけではありませんし、クエストをクリアするにはどちらにせよ退くわけには行きませんから」
「そうだな……じゃあ、降りてみるか」
グオオオオオォォ
階段を降りている途中、奥からまた、洞窟の入り口で聞いたのと同じ、とても低い、唸るようなゴロゴロとした声が、よりはっきりと聞こえてきた。
「……大丈夫ですかね? 今の声を聞いて少し不安になってきました」
「……まあ、クエスト目標はあくまで調査だろ?」
「そうそう、そんな気にしなくて大丈夫だって」
「……MMOでこういうクエストって、=ボス討伐までってパターン多くないですか?」
「「…………」」
「そこはカッコよく切り返して欲しかったです」
「そうだね。ルア君は、『ヤミのことは、俺が命に代えてでも守るから。だからずっと、俺の側にいてくれ』くらいのことは言ってくれないと」
「いや、そこまでは求めてませんけど……」
「でも、もし言ったら面白いと思わない?」
「……たしかに、そうかも。リカ、天才?」
「いや、たしかにじゃねぇから。言わねぇよ?」
たぶんセリフに俺自身が押し潰される。主に羞恥による悶えが原因で。
「まー冗談は置いといて、さっさといきますよ。居たとして昔封印されたモンスターとかそんなのでしょう?」
「おお、さすがヤミ。綺麗にフラグを立てていくね?」
「でもヤミって苦手な系統とかあるのか?」
「そうそう、ヤミはねー……」
「ちょっと! 人の弱点暴露しないで!」
実夜の弱点か……。虫も平気だし、雷とかも特に怖がってた覚えないしな……割と気になる。
そして、暗闇の中にカツカツと3人の足音を響かせながら階段を降りていく。
「そういえば二人とも暗いとこでも見えるんだな。【暗視】か?」
「私は【暗視】持ってる。ヤミは?」
「私は【把握】って汎用スキルです。レベル上げると空間把握もできるようになるので、実質的には【暗視】の上位互換みたいなスキルですね。コスパは悪いですけど」
【把握】……そんなのあるのか。このゲーム、スキルいろいろありすぎだろ……。
そんな風に会話しながら降りていくと、階段が終わり、一本の廊下の先に扉が見えた。
「今度は扉? 開けないといけない分、階段より怖いんだけど……」
「誰が開けます?」
「普通に考えてルア君?」
「STRの高さで言ったら実夜か?」
「では私が開けますね。……一応、離れないで下さいよ?」
「大丈夫だって。……たぶん」
「そんな怖いようなことは無いだろ。……きっと」
「なんで最後に付け足すんです? わざと怖がらせようとしてませんか?」
そんなことは断じて無い……とは言い切れないのが痛いところだな。
「っと、それより早く開けてくれ」
「はーい」
そう言って実夜はおそるおそる、といった様子を見せず、普通にガチャっと開けた。
そして奥に見えたのは、まだ続いていく暗く長い廊下と、両側の壁にいくつかある扉。
「廊下がまだ続いてるんですか……でも、扉が多いですね」
「ああ……にしても長いな」
「なんかクトゥルフ神話TRPGの脱出する系のところってこんな感じだよね」
「あーたしかに。その例えわかりやすいな」
暗くて灰色に見える壁と両側に規則正しく並ぶ扉。言われてみるとそう見えてくる。
「ならもしかしたら脱出ゲームっぽく情報が散りばめられてるって可能性、あります?」
「もしかしたらあるかもな。そうなると……これ全部の部屋調べるのか?」
廊下が長いのに扉が一定間隔で付いている。数がかなり多そうだ。
「いえ、たぶん鍵が掛かっていたり立て付けが悪くて開かない扉があったり、情報がまとめられた書斎があったりするんじゃないですか?」
「そういうもんか」
「まーだいたいそんな感じのが多いんじゃないかな?」
へぇ……そういう系のゲームはしたことないからな……。
「まあ、まだそうと決まったわけじゃありませんし、行けるところまで廊下を進んでみましょうか。
実夜のその言葉を合図に、俺たちはまた奥へと進み始めた。
「おやおや~? いきなりどうしたんですか?」
実夜はニヤニヤとした顔を隠そうともせずそう言って、さっさと先へ進もうとする。
「……まさかお前、これを知ってて俺を誘ったのか?」
「いやいや先輩は何を言ってるんですか。心優しい私がそんなことを考えると思ってます? それに言ったでしょう、これはエクストラクエストで、事前情報は無いって」
「……」
横穴を少し進むと開いた所へ出た。それ自体はいいのだが、そこには数多の百足やミミズといった小さな無害mob達が蠢いていた。
ここを通らないといけないのかと思うと、かなり気が滅入る。
「まあ、ある程度予想はしていましたけど。別に、『怖がるルア君が見たい』だなんてことはないですよー」
「どの口がそれをいうのか……」
「私の、この可愛さ満点の口ですよ?」
「そういう意味じゃねぇ」
「あっ、可愛いってことは認めるんですね!」
「否定はしないな」
「へっ? えっと、ありがとうございます……」
「って、問題はそこじゃなくて、この状況なんだよ……」
「別に、気にしなくていいじゃないですか。無害ですよ? それとも、私が手を繋いであげましょうか?」
「いや、片手塞がるのはいろいろと怖い」
「リアルでは繋いでくれたのにー?」
「それとこれとは全く関係ないだろ!? あと自分で言っててまた顔が赤くなってるぞ」
「そんなこと言ったら先輩だって……」
そんな会話を繰り広げていると、横で見ていたリカが途中でストップをかけてくる
「……ねえ二人とも、一旦聞いてくれる?」
「どうした?」
「どうかしたの?」
「二人が仲が良いのはよくわかったからさ……これ以上は二人だけの時にやってくれる!? なんか一人だけ違う世界にいるみたいでかなり心細いの!」
「ん……つまり、どうすればいいんだ?」
「要はアレです。ルア君が虫を怖がらずにさっさと歩けばいいってことです」
「……まあそれでいいや。ってことでルア君はさっさと歩く! 別に百足くらい踏んでもどうってことないって!」
「お、おう……」
まあいつまでもこうしているわけにはいかないから良いが。それにしてもこの姉妹、虫に強すぎると思う。
……俺が弱いだけか?
「ほら、何してるんですか! 早く行きますよ!」
実夜にそう急かされ、「ああ」と答えようとした瞬間。天井からなにかが。
ポタリ
「……へっ?」
謎の液体が足下へ落ちた。サッと鳥肌が立つのを感じた。
「ルア君、上っ!」
そう言われ、ハッと上を見上げると、どこかで見覚えのある蜘蛛がいた。
どうやらさっきのはコイツの唾液か粘液か、いずれにせよコイツが原因というのは間違いなさそうだった。
「……おい、こいつ見たことある気がするんだが?」
コイツはアレだ。前にここの洞窟通ったときに倒したボスモンスター、名前は……レッド……なんとかタランチュラ……ま、まあいいか。
「……小さい蜘蛛のヘイトを取ってくれるタンクがいないのが心許ないですが、まあなんとかなるでしょう! ってことで先輩! 奴を引きずり落としますよ」
「前と同じだな、了解!」
「ちょっとー私を忘れないでよ~?」
「あっ、ごめん。リカはバフ私たちに掛けて、その後は好き勝手攻撃しちゃって!」
「りょっ! じゃあ踊り5コンボを披露しちゃいまーす!」
リカがそう言って、パンッと一つ手を叩いた瞬間。空気が変わった。
その一拍手から流れるように織り成される一つの舞。丁寧な足運び、指先まで自然な流れを感じさせる。その動きに合わせて揺れる和装まで、全てが一体となっている、そんな気がした。
「ちょっと先輩! 何ぼーっとしてるんですか? 」
「……ああ、悪い」
「もーさっさと倒しちゃいますよ! あっ、先輩。ちゃんとバフかかってます?」
「バフ? どこで見れるんだ?」
「設定によって変わりますね……なんかアイコン見当たりません? 赤い感じのとか」
実夜にそう言われてから、目端の方にいくつか見慣れないアイコンがいくつかあることに気づいた。色は赤や緑など、それぞれ違った。
「ああ、赤もあるな」
「ならそれです。じゃあさっさと撃ち落としますよ」
「了解」
それから、撃ち落とすところはすんなり行った。
「あとは集中火力か……」
弓だとキツくないか? そう思ってると。
「先輩、火力はリカが頑張るんで援護さえしてくれれば大丈夫ですよー」
「お姉さんに任せなさい!」
「いや、同い年だろ」
「未来のお義姉さんかもしれないでしょ?」
「……変なこと言ってないでリカは早く行って。そして先輩もリカの妄言を真に受けないでください!」
「ああ、わかってるよ」
そして、それからは浴衣姿のリカが大活躍した。戦いながら聞いた実夜の説明によると、なんでも踊り子というのは自分限定の、『強力だけどすごく尖ってる』バフアーツがあるらしい。
見た目は完全に異常だったけどな。
だって赤い浴衣(仕込み付き)を着て、凄い勢いで走って行って、蜘蛛相手に肉弾戦だ。
相手が絶対的に不利なフィールドとはいえ、蜘蛛の足を袖を叩きつけることで潰していく様子は最早、戦いではない別の何かだった。
唯一の救いはリカが『惨殺者』の称号を持っていなかったようで潰れる瞬間、光の粒子に変化することか。そのおかげでなんとか見ていられる光景になっていた。
ちなみに、トドメはリカが刺したため、しっかりとドロップが入手できた。
ボスを倒した部屋からまだ道が続いていたため、そこを道なりに進む。
その途中、暫くうーんと唸っていた実夜が口を開いた。
「やっぱり……おかしいですね」
「あ、実夜もそう思う?」
「ん? 何がおかしいんだ?」
「さっきのやつ、前に戦った時より糸の発射速度が遅かったり、出てくる小さい蜘蛛の個体も弱かったんです」
「それにさ、さっきのところ小さい無害な虫モブが結構いたでしょ? ボスエリアなら湧かないはずの」
そういわれてみればそうだ。前の時は無害な虫モブがいなかった。しかし今回はいた……
「つまり、さっきのはボスじゃなかったってことか?」
「たぶんそういうことです」
「中ボスならいいんだけど、もしかしたらただの雑魚だった可能性も……」
「いや、ただの雑魚であれって……ストーリー飛ばして早めに来た、みたいなことがない限りはありえない……だろ?」
そう、二人にたずねると、実夜とりっかは視線をそらした。
「……NDOですからねぇ」
「……NDOだからねぇ」
そんな風に言われるようなゲームなのか……
「つまり……NDOならありえると?」
「わかりませんけどね。でもエクストラクエストって、まだどんなものなのか殆どわかっていないので……」
「可能性は捨てきれないんだよね……」
と、そこまで聞いてふと、あれ? と思うことがあった。
「その、エクストラクエストって、ギルドを介さないクエストって言ってたよな?」
「はい。そうですよ?」
「ユニーククエストとはどう違うんだ?」
俺がそう聞くと二人は。
「「…………えっ?」」
口を開けて固まった。
なにその反応。ちょっと怖いんだが?
「ちょっと待ってください。突然出てきたユニーククエストっていうの、なんなんですか?」
「そんなの聞いたことないんだけど……?」
「…………えっ?」
今度はこっちが固まる番だった。
いや、ちょっと待ってくれ。ユニーククエストで合ってたよな? たしかに解体場でギルさんから受けたクエストは『ユニーククエスト』って出てたと思うんだけど……
「聞いたこと、ないのか?」
「無いです!」
「無いよ!」
今にも胸ぐらを掴まれそうな勢いで「さあ、言え!」と迫られた。いや、言うからそんなにがっつくなよ……。
「……えっと、前に受けたクエストなんだが……」
そうしてクエストを受けた経緯を一通り話した。すると。
「うーん……同じような気がしますねぇ……」
「私がエクストラクエストを受けたときと大体同じだと思うんだけどなぁ……」
そうして暫く考えていたが。
「……わかりませんね。可能性としてはいくつかありますが、今はまだなんとも……」
「うん。とりあえず今やってるエクストラクエストをまずクリアしちゃおうか」
「……おう。了解」
そうして、一旦考えるのをやめ、道なりに進むことにした。
「それで、さっき言ってたのはこういうことか……倒せ……ってわけじゃ無いよな?」
「はい。さすがにこれ倒すのはキツイですよ。走り抜けろってことなんじゃ無いですか?」
「この大量の強敵を倒すっていうのは、もはやキツイじゃ済まされないと思うけどね」
今、俺たち3人の前には広大な空間が広がっていた。広さで言うと、ちょうどボスと戦った部屋を、横幅を2倍にして、それ以上に縦に長く伸ばしたみたいな。
……そして、その天井に蜘蛛の巣がこれでもかというほど張り巡らされており、その上には、先ほど倒したのと同じような『ボスっぽい雑魚』が数十匹動いているのが見えた。
「……先輩。【鑑定】ってアクティブにしてあります?」
「ああ、入れてある。あのボスっぽいやつだよな? 今見てみる」
「お願いします」
そうして天井付近を彷徨く蜘蛛に【鑑定】を使ってみると。
=================
NAME:ブルーケイブタランチュラ
Lv:16
Info:洞窟の天井を徘徊する蜘蛛。レッドケイブタランチュラをボスとし、集団で活動することもあるが、基本的には個々それぞれで動く。
=================
『……基本的には個々それぞれ』なぁ……
その一文を確認してから上をみると、明らかな餌の共有、譲り合いがたまに見受けられた。
……もし、これが個々だったら良いんだが、十中八九レッドケイブタランチュラをボスとした、集団だろう。
とりあえず鑑定結果を実夜に伝えると。
「……走り抜けるしか、本当になさそうですね……。仕方ない、行きますか!」
「ああ。AGIにはいくらか振ってあるし行けるだろ」
「頑張っていこー!」
そして。
「ルア君避けてっ!」
「おうっ!」
「ヤミ危ないっ!」
「なんのっ! 余裕ですって! あっ先輩も左っ!」
「チッ……余裕……だよっ!」
「あっ! リカ右!」
「へっ!? ……うわぁ! っと、ヤミありがと」
天井から降り注ぐ糸や近くに湧く小さい蜘蛛からの攻撃を避けつつ走り抜けるという、割とギリギリの避けゲーを、声を掛け合いながらなんとか突破した。
「ふぅ……ここまでくれば大丈夫みたいですね……」
「あ、ああ。意外と危なかったな……」
「これ本当に走り抜けることを想定してたの? ってレベルだったんだけど……」
「それでも抜けられたから、別に良いんじゃない?」
そうして更に道を進んでいく。
「そういえば、このクエストって何をしたらクリアなんだ?」
「変な音、始めに聞いた唸り声の原因を探り当てたらじゃないですか?」
「あー、そういえばそうか。なら蜘蛛はガン無視で大丈夫そうだな……」
「まあとりあえず道なりに進んで行けばなんかわかるんじゃない?」
「だね。ってことでドンドン進んでいきましょー!」
ひたすら進んで行くと、そこにあったのは石でできた、地下への階段。
ここまで一切、人の気配を感じなかったわけだが……そんな中急に出てきた人工物だ。何かありそうだと感じる。
「……階段、だよね?」
「ですね……なんででしょう。昔はここが生活圏だったーみたいな設定でしょうか」
「いや、さすがにこんな洞窟の奥深くでその設定は無いんじゃないか?」
「なら、なんでしょう? 何かしら、意味があるのでは?」
「ねえねえ、こういうのでよくあるのは何かの封印とかじゃない?」
封印……もしそうだとしたら。
「もし何かの封印だったとして、その方向から唸り声って嫌な予感しかしないんだが?」
「……奇遇ですね。私も、とても嫌な予感がしていますよ……。まあ封印と決まったわけではありませんし、クエストをクリアするにはどちらにせよ退くわけには行きませんから」
「そうだな……じゃあ、降りてみるか」
グオオオオオォォ
階段を降りている途中、奥からまた、洞窟の入り口で聞いたのと同じ、とても低い、唸るようなゴロゴロとした声が、よりはっきりと聞こえてきた。
「……大丈夫ですかね? 今の声を聞いて少し不安になってきました」
「……まあ、クエスト目標はあくまで調査だろ?」
「そうそう、そんな気にしなくて大丈夫だって」
「……MMOでこういうクエストって、=ボス討伐までってパターン多くないですか?」
「「…………」」
「そこはカッコよく切り返して欲しかったです」
「そうだね。ルア君は、『ヤミのことは、俺が命に代えてでも守るから。だからずっと、俺の側にいてくれ』くらいのことは言ってくれないと」
「いや、そこまでは求めてませんけど……」
「でも、もし言ったら面白いと思わない?」
「……たしかに、そうかも。リカ、天才?」
「いや、たしかにじゃねぇから。言わねぇよ?」
たぶんセリフに俺自身が押し潰される。主に羞恥による悶えが原因で。
「まー冗談は置いといて、さっさといきますよ。居たとして昔封印されたモンスターとかそんなのでしょう?」
「おお、さすがヤミ。綺麗にフラグを立てていくね?」
「でもヤミって苦手な系統とかあるのか?」
「そうそう、ヤミはねー……」
「ちょっと! 人の弱点暴露しないで!」
実夜の弱点か……。虫も平気だし、雷とかも特に怖がってた覚えないしな……割と気になる。
そして、暗闇の中にカツカツと3人の足音を響かせながら階段を降りていく。
「そういえば二人とも暗いとこでも見えるんだな。【暗視】か?」
「私は【暗視】持ってる。ヤミは?」
「私は【把握】って汎用スキルです。レベル上げると空間把握もできるようになるので、実質的には【暗視】の上位互換みたいなスキルですね。コスパは悪いですけど」
【把握】……そんなのあるのか。このゲーム、スキルいろいろありすぎだろ……。
そんな風に会話しながら降りていくと、階段が終わり、一本の廊下の先に扉が見えた。
「今度は扉? 開けないといけない分、階段より怖いんだけど……」
「誰が開けます?」
「普通に考えてルア君?」
「STRの高さで言ったら実夜か?」
「では私が開けますね。……一応、離れないで下さいよ?」
「大丈夫だって。……たぶん」
「そんな怖いようなことは無いだろ。……きっと」
「なんで最後に付け足すんです? わざと怖がらせようとしてませんか?」
そんなことは断じて無い……とは言い切れないのが痛いところだな。
「っと、それより早く開けてくれ」
「はーい」
そう言って実夜はおそるおそる、といった様子を見せず、普通にガチャっと開けた。
そして奥に見えたのは、まだ続いていく暗く長い廊下と、両側の壁にいくつかある扉。
「廊下がまだ続いてるんですか……でも、扉が多いですね」
「ああ……にしても長いな」
「なんかクトゥルフ神話TRPGの脱出する系のところってこんな感じだよね」
「あーたしかに。その例えわかりやすいな」
暗くて灰色に見える壁と両側に規則正しく並ぶ扉。言われてみるとそう見えてくる。
「ならもしかしたら脱出ゲームっぽく情報が散りばめられてるって可能性、あります?」
「もしかしたらあるかもな。そうなると……これ全部の部屋調べるのか?」
廊下が長いのに扉が一定間隔で付いている。数がかなり多そうだ。
「いえ、たぶん鍵が掛かっていたり立て付けが悪くて開かない扉があったり、情報がまとめられた書斎があったりするんじゃないですか?」
「そういうもんか」
「まーだいたいそんな感じのが多いんじゃないかな?」
へぇ……そういう系のゲームはしたことないからな……。
「まあ、まだそうと決まったわけじゃありませんし、行けるところまで廊下を進んでみましょうか。
実夜のその言葉を合図に、俺たちはまた奥へと進み始めた。
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小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

World of Fantasia
神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。
世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。
圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。
そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。
現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。
2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。
世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
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