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第一章:恋愛日和

第3話:後輩と昼食

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 実夜と分かれてから俺はただ黙々と、出てくるmobを狩っていた。
 片っ端から狩っているが、今のところ出たのはホーンラビットとフォレストウルフの二種類だけだった。もしかしたらこの二種類しかこの辺りには出ないのかもしれない。

 暫くそうやって狩りを続けていると通知が届いた。

 《キャラクターレベルがLv3に上がりました。SPを2pt手に入れました。》

 おっ、上がったみたいだな……ってLv3? 

 どうやら一度見落としていたようで、すぐ下にレベルが2に上がった時の通知もあった。

 んー、SP4ptかぁ。まだ保留でいいかな。

 そうして通知画面を閉じようとした時、また新たに通知が入った。

 《討伐クエストを達成しました。ギルドへ報告が可能です。》

 あれ、早くね? 俺たぶんまだホーンラビットは十羽狩ったかどうかだと思うんだが。アイツ一人でもう二十羽近く狩ったのか。……どんだけ気合い入ってんだよ……。

 すると、同時にフレンドチャットも来る。

『YAMI:クエストが終わったので、とりあえず森出たところで合流しましょう! 』

 俺は了解と打ち込み森を出ると、既にそこには実夜が待っていた。

「もー、ルア君ほんと遅いんですから。さっきのクエストもたぶん七割は私一人で狩りましたよ?」

「あー、悪かったな。その分明日の昼飯ちゃんと作るから許せ」

「おっ、期待、しときますね?」

 そう言って上目遣いで俺の顔を覗きこんで来た。
 くっ……不意打ちはズルいとあれほど……。

「ふふっ、少し赤くなってますよー? おかしいですねーただ顔を覗き込んだだけなのにー?」

「うるせぇよ。とりあえずギルドに報告に行くんだろ? 早く行こうぜ」

「あっ、逃げましたね! 逃げちゃうんですか? 逃げちゃうんですね? 逃げちゃうんだー!」

 ……コイツ本当にうざ過ぎないですかねぇ。

 そんな風に駄弁りながらギルドで報告をした。

「では私はレベリングに南の平原に行こうと思うんですが、ルア君はどうします? 他のとこ行くならパーティ解除しますけど」

「ああ、俺はちょっと森の方にもう一回行ってスキルアーツの確認だな」

「あー、ならパーティー解散しときますね」

「おう、頼むわ」

 そして俺の通知に《パーティーが解散されました。》という通知が来る。

「じゃあ私はこの辺で! 何かあったら呼んでくれればすぐに駆けつけますから! お代は手作りお昼ご飯で大丈夫ですのでっ!」

「おう、じゃあなー」


 そして、戻ってきました西の森。途中でめっちゃ楽しそうに話す四人パーティとか見たけど気にせず行こう。

 NDOはスキルそれぞれにもレベルがあり、それを伸ばすことでアーツを使えるようになったりできることが増えたりする。

 とりあえず今の時点でのスキルを確認してみる。

 ・戦闘スキル
【弓 Lv3】
【拳 Lv4】
【足捌き Lv3】
【立体移動 Lv1】
【風魔法 Lv1】

 ・生産スキル
【料理 Lv1】
【調合 Lv1】

 ・その他
【鑑定 Lv1】
【暗視 Lv2】
【解体 Lv3】

 おっ、気付かないうちに暗視と足捌きも上がっていた。そっか、今って夜だもんな。

 因みにこのゲーム内での時間は現実と同期している。今は現実世界の時間が二十二時半である。つまりゲーム内でも夜だ。今後、プレイヤーの要望によっては変わるかもしれないということを聞いたが、そこまで問題は無いだろう。

 とりあえずスキルの詳細を一つずつ確認して、アーツもどんなのか確認しないとな。

 とりあえず戦闘スキルから……。

【弓 Lv3】
 弓を扱いやすくなる

 使用可能アーツ
(Lv1)弓術・二連
(Lv4)未開放

 常時発動効果
(Lv3)弓装備時 DEX+20
(Lv6)未開放


 括弧内はスキルレベルがこのレベルになると開放されるみたいだな。さて後は……。

【拳 Lv4】
 素手で戦いやすくなる

 使用可能アーツ
(Lv1)二連突き
(Lv4)正拳突き
(Lv7)未開放

 常時発動効果
(Lv3)素手攻撃時 与ダメージUP
(Lv6)未開放

【足捌き Lv3】
 足を使った動きがしやすくなる

 使用可能アーツ
(Lv1)横跳び
(Lv4)未開放

 常時発動効果
(Lv2)移動速度+5%
(Lv5)未開放

【立体移動 Lv1】
 立体的な動きがしやすくなる

 使用可能アーツ
(Lv1)三角跳び
(Lv4)未開放

 常時発動効果
(Lv2)未開放

【風魔法 Lv1】
 風属性の魔法を習得できる

 使用可能アーツ
(Lv1)そよ風
(Lv5)未開放

 常時発動効果
(Lv3)未開放

 戦闘スキルは以上の五種類。とりあえずアーツを一通り試してみるか……。

 はい、試してきましたよっと。大体アーツの効果は把握できた。特に横飛びと三角跳びが思っていたより優秀なアーツだった。これは戦闘に幅が出るな。そよ風は本当にそよ風が吹くだけだった。本当にこれ使ってる人いるの? 
 とまぁ、そんな風アーツを試していたらいつのまにか零時を回っていた。
 明日のお昼二人に作ってやるって言っちゃったけど、今たしか冷蔵庫の中身殆ど無いんだよなぁ。午前中に買い物に行くとなると……もう寝た方が良さそうだな。

 ということで、生産スキルとその他スキルは後日にするとして、街に戻りダイブアウト。

 そして被っていたフツロを外し、また布団に横になる。

 あー、武器と防具っていつくらいに買い換えれば良いんだろうなー。
 明日実夜に聞いてみようか。そんなことを考えながら、俺は眠りについた。


 朝、俺は一番近いスーパー(天下無敵の二十四時間営業)に向かい、三日間分くらいの食料や飲み物などを買い込み、すぐに帰宅。

 たぶん実夜とりっかがうちに来るのは十二時ごろ。早くても十一時半といったところだろう。
 そして現在が九時。つまり二時間はフリーということだ。NDOで今やりたいことはアーツの確認というできればまとまった時間にやりたいものである。ということで、このフリーな二時間何をするかと言えば寝ようと思う。
 そう、あの絶対的正義と言っても過言ではないであろう《二度寝》という奴だ。

 そうと決まればシャワーで外へ行った汚れをさっさと落とし、いざ天国ふとんへ……!! あっ、ちゃんと十一時に目覚ましはセットしておくよ。

 そうして寝ること一時間半程、浅い眠りの中で、俺は夢を見ていた。

『くっ……さっきまで平和だった筈なのに……急にどうしたってんだ!? 』

『グルヴァアアアアアアアアアアァ』

 怪物は特徴的な高い声と共に俺を押し潰さんとしてくる。

『何だってんだよ……おい!? 』

 と、ここで急に目が覚めた。

「こらああぁぁぁ。私がせっかく早めに来てやったっていうのに、まだ寝てんのかああああああ!!」

 寝起きは言うまでもなく最悪だった。

 薄目を開けてからふと、少し自分の体の方へ目をやると、俺の腹の上に馬乗りになっている人影が見えた。その人影こそ、見覚えのある美少女であり傍若無人な後輩こと梨原実夜その人だ。

 俺の目が覚めたことに気付いていないようでまだ何か喋っている。

「もぉー、先輩ったらいつも寝起きが悪いんですからぁ」

 そんなことを言いながら俺の頰を突いてくる。何をしているんだお前は? 

 すると今度は俺に覆い被さるように倒れ込み、俺の耳元で艶やかに囁く。

「先輩……。早く起きないと……さっきこの部屋のタンスの裏側で見つけて、ついでに中身を確認した、このUSBメモリがどうなるか……」

「ぬわああああああああああ!!」

 それを聞いた瞬間、俺は跳ね起きていた。
 えっ? 今中身確認したって言わなかった? 嘘だよな? 流石に嘘だよな!? 

「えっ、ちょっ……。へっ!?」

 実夜が俺の上に乗っかった状態で俺が思い切り起き上がったことで、実夜が後ろに倒れそうになったため、急いで実夜の背中に手を回し抱き寄せるように支える。
 すると顔の距離がかなり近くなってしまうわけで……。

 実夜の吐息を口許で感じる距離。あと少し前に出れば触れてしまいそうな程。

 実夜の一つ一つの細かな動きが全て見える。実際には十秒か、もしかしたら一秒だったかもしれない。しかしこの時だけは、三十分にも、一時間にも感じた。

 静かな息遣いも、少しずつ速まっていく鼓動さえも、しっかりと聞こえてくる。
 自分の目が捉えている実夜の顔は少しうっとりとし、だがその両眼はしっかりと此方を見つめている……。
 此方を見つめる二重の瞳と、実夜が口に溜まった唾液を飲み込むと、それとともに動く、艶やかで柔らかさそうで、僅かに震える唇。そこからの、仄かな甘さを持った小さな風が、口許に触れる。そして、実夜が口を開き。

「あのっ…………先輩…………なら…………」

そして、その声にいざなわれるように……………………。

 ……………………ってやばいやばいやばい!! ダメだよ!? ダメだからね!? 

 一瞬欲望が理性を押し潰そうとしたが、どうにか理性をあと一歩のところで取り戻し、冷静になった頭をすぐにフル稼働、しかし距離を取ろうにも実夜が自分の足の上に乗って……って不味い。

 流石に今の状況でアレが硬くならない筈が無い。そしてそれはきっと実夜も気づいているんじゃないか……? 

 すると実夜も冷静さを取り戻したようで、すぐに俺の上から退いて。

「……おや、変態先輩おはようございます。可愛い後輩ちゃんこと私が十時半をお知らせします」

 そう言う実夜の顔はかなり赤くなり、こちらから完全に目を逸らしていた。

「……可愛い後輩は無断で人の部屋に押し入って、加えて人のUSB使って脅したりとかしないからな? ……っていうかお前、どうやって家入った? 鍵閉まってた筈だろ?」

「えっ、先輩気付いてなかったんですか? 一昨年先輩がうちに鍵忘れてってから一度も返してと言われなかったので。てっきり『遊びに来る時に使ってね☆』という意思表示だと受け取っていたのですが、違かったんですね」

「違うわあああああ!!!!」

 いや、何その新事実。そもそも忘れてったら『先輩、うちに忘れて行ったでしょ? 』とか言って学校で渡してくれたりしても良かったんじゃないですか!? せめて確認くらいはして欲しかったよ!? 

「まあまあ、そんな細かいことは置いておいてですよ。さっき私が言ったUSBについてです」

 と、ここで区切ってから上目遣いで顔を覗きながら言い直す。

「まだ……中はまだ見ていないので……できれば、見せて欲しいんですが……駄目……でしょうか……?」

「いや、急に清楚な後輩ちゃんを演じながら言っても駄目に決まってるよ? いや、頼むから『見せてくれないのぉ……? 』みたいな泣きそうな顔しないで……」

 するといつもの調子に戻った実夜はこう続けた。

「だって先輩にとって天使に当たるであろう可愛い後輩ちゃんがこんなにも可愛く強請ねだっているのだから見せてあげるのが先輩の優しさ……むしろ義務と言ってもいいのでは?」

「『当たり前でしょ? 』みたいな顔してんじゃねぇよ。……とりあえずリビング行こうか」

「はーい。とりあえずこのUSBは貰っていきますねー」

「いや、それは置いていけよ?」

 その後はしっかりとUSBメモリを回収してからリビングへ行く。

 元は親子三人で暮らしていた家で一人暮らしをしているため、リビング、寝室三部屋、キッチンがちゃんとあるという一人暮らしには勿体ないほどの間取りだったりする。

「あっ、そういえばりっかはどうした? 一緒に来るんじゃなかったのか?」

「あー、りつねぇに『今日の昼、奈月先輩がご馳走してくれるってから一緒に行こっ! 』って言ったんですけど。
『あ、あー。私ちょっと友達と用事があるんだったー。残念だけど行けないなぁ。でも! 奈月君に悪いから、実夜一人で行ってきてくれる? ごめんね! 』って返されちゃって。もともと二人でお昼食べる筈だったから予定なんて入れてないと思ったんですけどねぇ」

 あー、前にもこんなことあったなぁ。たしかその時は、用事なんか無くて一人で喫茶店に行っていたってオチだったっけ? ……きっとまたそうなんだろうなぁ。

「用事って……。絶対嘘だと思うのは俺だけか……?」

「奇遇ですね。私もそう思います。だからこそ少し早めに来たんですけど」

「正直面倒なんだよなぁ。というか俺達を二人きりにしたところで何も起こらないと確信しているだろうことがムカつくな」

「えっ? でも実際何も起こせないですよね。おふざけで少し誘惑しても顔赤くなってたくらいでしたし。
 というかさっきも"美少女"と"寝室"で"二人きり"。"家には他に誰もいない"というシチュエーションだったにも関わらず何も起きませんでしたよ?」

 そりゃあ何か起こしたら不味いだろうよ。

「とりあえずりっかに電話するかぁ」

「では先輩! 任せます!」

 ということで俺はCIRCLEの《立夏りつか》とのトークを開き、CIRCLE電話を掛ける。

 prprprprpr と呼び出し音が鳴る。そしてすぐにそれは声に変わる。

『この電話はー、実夜と奈月君が一線を越えるまでは、使われておりませーん。ピーッと鳴りましたら、思い切り実夜を襲ってあげて下さーい』

「……おい、なんだその不吉な留守電紛いは」

『いやー、だって奈月君がせっかく大好きな後輩の女の子を家に連れ込もうって時に私なんかいたらお邪魔でしょうに。
 あっ! ま、まさか君の趣味って姉妹どn……!? 』

「おいやめろ。俺の趣味捏造してんじゃねぇよ。俺にそんな趣味は無いからな!?」

そもそもいつ俺が実夜のことを好きだと言った!? とも言いたいが、後ろで実夜が会話を聞いているため下手なことは言えない。からかわれるネタが増えるだけだ。

『だよね。つまり私は行かない方が奈月君の為になるんだよ』

「いやいや、実夜の気持ちも考えろー? そもそも男子高校生の家に女子中学生が一人で来るって普通に事案じゃねぇか?」

『大丈夫だよ。ちゃんと避妊はするでしょ? バレないバレない』

「そういうことじゃねぇからな!?」

『たぶん実夜もウェルカムだと思うよ? そうだ! 直接聞いてみてくれない? 「お前の事……襲っていいか?」って』

「絶対聞かねえよ!?」

 そんな調子で喋り続けて早二分。

『あっ、ごめん。友達来ちゃったから切るねー』

「いや、ほんとに用事あったのか!?」

『さっきCIRCLEトークで遊び行かない? って誘った』

「……あー、もういいわ。じゃあな」

「うん。じゃあねー」

 ピッと通話を切る。

「それで、りつねぇ何だって?」

「これから友達とどっか行くらしい」

「えっ、じゃああの言い訳は本当だったの?」

「いや、りっかから誘ったらしいから言い訳は虚偽だな」

「あー。まぁ来れないんじゃ仕方ない……ですかね? ちょっと早いですけどお昼にしましょー! 先輩作って下さい!」

「ああ、今から作るから待ってろ」

 そして俺はキッチンへ行き支度を始める。

「せんぱーい。今日のお昼は何ですかー?」

「あぁ、お昼っぽく無いかもしれんがマカロニグラタンだなぁ」

 他に御菜とかも要らないし、余っても焼かずに冷蔵庫に入れておけば夕飯にも朝飯にもなったりと、一人暮らしにはかなり嬉しい料理だったりする。

「やったー。先輩のグラタン、何故かうちのより美味しいんですよねー。愛が入っているからですかね?」

「そうかもなぁ」

「えっ!?」

実夜の言葉にテキトーに返しながら作る。正直内容は殆ど聞いてないが、『なるほど』と『そうだなぁ』と『そうかもなぁ』で大体通用する。

「よし。あとは焼くだけだな」

 俺はグラタンをオーブンに入れて十分にセットし、リビングで待つ実夜の向かい側に座る。

「ん? 何見てんだ?」

 実夜は端末で動画を見ているようだったため、少し気になって聞く。

「え? ああ、はい。どうやら先ほど西の森のエリアボスを誰かが討伐したそうで、その討伐映像と西にある、第二の街『ウルディア』のマップとかが掲示板に上がっていたんですよ。今見てるのはボス戦の映像ですね」

「へぇ、さすが早いな。オープン二日目でもう第二の街か。因みにトップ集団のレベルってどれくらいなんだ?」

「えっと、この動画を撮ってる人はLv13みたいですね」

 13か……。早いなー。

「でもこの映像撮られたの今朝の四時過ぎくらいなので、たぶんもうLv15は超えてるかもですね」

「へぇ…………」

 ボス戦四時って……絶対寝てないよな? 

 ちなみに眠らずに十二時間続けていると自動で睡眠状態に入るそうだ。VR空間で寝ても、寝ている間は接続が一時的に切られてVRからの情報が入ってこないために、リアルと同じような睡眠効果を得られるらしい。

 あとリアルでの尿意や空腹などの状態も警告から始まり、最後には強制ログアウトになってしまうため注意が必要だとか。

 きっと上手い廃人は所々で四時間くらい睡眠を取ってるんだろう、とても真似しようとは思えねぇ。

「ちょっと先輩? 自分から振っといて無視は酷くないですか?」

「あ、ああ。悪い。ちょっと考えごとしてた」

「じゃあいいですか?」

「……何がだ?」

「むっ、先輩引っかかりませんね。そこは『ああ』っててきとうに答えちゃうところでしょう」

「……もう一度聞くぞ、お前は今、何を聞いてたんだ?」

「えっと、私と今度デートしましょっ! っていうお誘いの答えを、ですね」

 ふっ、流石にそれでは騙されんぞ。

「それで、正確には?」

「今度一緒に駅前でデートしましょっ! ですね」

 ふむ……つまり……。

「つまるところ、『今度、好きなラノベの新刊が発売されるんですけど、その量が多すぎて……。ということで先輩には駅前のラノベイトに私と行って荷物持ちをして頂きます』という意味と解釈してもいいか?」

「まさか先輩……エスパーだったんですか……?」

「まあな。段々と思考が読めるようになってきたわ。俺がどれだけお前にからかわれてきたと思っているんだ?」

「えーっと、大体七年間くらい? あっ、もう八年目突入してますかね?」

「長いな……。なんでそんだけからかってんのに飽きないの?」

「うーん。なんででしょうね? リアクションが一々面白いからじゃないですか?」

 なんとなくそれだけじゃない気がするんだよなぁ。裏がありそうで怖い。

「あっ、そろそろグラタンいいんじゃないですか?」

「おっ、ほんとだ」


 オーブンから取り出してきて、それぞれの前に並べた。

 そしてグラタンを口に運びつつまた駄弁りを再開する。
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