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第91話 ダンジョンコアの眷属
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魔素をエーテルに変えることは特に難しいことはない。
単純に純化させるだけなのだ。
やり方は手に取って念じるだけ。
「さて、ダンジョンコアを純化させると何が生まれるんでしょうね」
気になった以上、確認しないわけにはいかなかった。
「純化したことがないのでわかりません。どうなるのでしょうか」
「魔素が魔物を生み出すなら、エーテルは精霊を生み出す可能性がありますわね」
ミリアムさんも瑞歌さんもどうなるのかわからない様子だ。
ちなみにミレたちもそろって首を横に振っている。
「じゃあさっそくやってみますね」
ダンジョンコアに手を当て魔素をエーテルに変えていく。
するとダンジョンコアの色は黒から薄い青へと変化していった。
この色は液体エーテルの色と同じに見える。
つまり、エーテルの塊になったようなものということになる。
「まるでエーテルの塊ですね」
自分で作っておいてなんだけど、なかなか奇妙なものができたと思う。
あとはこれで何ができるかだけど……。
「ちょっと実験したいことがあるんですけどいいですか?」
ダンジョンコアに働きかけることでダンジョンの生成と維持ができるというなら、何らかの意思があってもおかしくはないと思う。
でも元々欠けていたせいか、そのような気配を一切感じることは出来なかった。
「どのようなことをするのですか?」
ミリアムさんが興味深そうに尋ねてくる。
「この元ダンジョンコアに意思を宿らせてみようかと思いまして」
生み出す能力があるなら自身の意思すら生み出せるのではないだろうか?
「面白い話ですわね」
瑞歌さんも興味があるようなので、さっそくやってみることにする。
「まずは血の一滴を垂らします」
指先にちくりと傷をつけ、出てきた血をエーテル球に垂らす。
血はエーテル球にそのまま吸い込まれて消えたので、次は球を触りながら眷属化と同じようなことを行う。
すると、エーテル球は軽く光り微振動し始めたのだ。
「わわ、何かが始まりました」
かすかに動いているだけだが、明らかに今までと違う挙動をしている。
「エーテル球内部に高エネルギーが生まれています。これは……主の眷属になった?」
ミリアムさんも驚いているようだ。
よくあるダンジョンコアの設定だと、ダンジョンコアが契約者に色々な力を授けることがある。
眷属になったということは、それとは逆にボクが力を与える側になるということになる。
「遥お姉様、何かが生まれますわ」
瑞歌さんに言われて慌てて確認してみると、エーテル球の中から何かが出てこようとしていた。
それは徐々に人の形になり、妖狐の姿をした、ボクに似た存在となった。
「初めまして、お母様。私はこのダンジョンコアであった者です。今はお母様の子でお母様の眷属です」
生まれた子はボクを見るなりお母様と呼んできた。
この年でボクは母親になってしまったらしい。
それにしても、ボクの子で眷属かぁ。
「じゃあ、神使のようなものですね」
動物というわけではないけど、最も近しい眷属となるのでそう呼んでもいいかもしれない。
あとは名前を決めないといけないか。
「お母様。神使とは何なのでしょうか?」
ボクに似た目の前の子はボクと同じようなプラチナブロンドの髪をしていて赤い目をしていた。
しかも、なぜかその服装は、巫女服のようなものを着ているのだ。
見た目はほぼ巫女服である。
ちなみに身長はボクより少し小さいくらいだ。
「神使は神の使いとか眷属って意味があります。代行者という側面が強いかも。本来は動物とかにも使うようですが、ボクたちは妖狐なので問題ないかと」
動物ではないけどね。
「わかりました。お母様のお望みのままに」
目の前の子はぺこりをボクに頭を下げてそう言った。
「あ、名前決めないと……」
何かいい案はないだろうか?
「こちらの世界と同じような名前は思いつくのですが、おそらく似合わないですよね」
ミリアムさんも名前を考えてくれているようだがいい案は浮かばないらしい。
「お姉様たちの名前から考えますと……【瑞葉】とかいかがでしょう? 私の名前のもじりもありますが、遥お姉様が付けてくださいましたし」
瑞歌さんからはなかなか良さそうな案が出た。
うちのお母さんが【若葉】で、お婆様が【葛葉】。叔母様が【光葉】なのでちょうどいいかもしれない。
「じゃあいろいろ説明する前に、貴女の名前は【瑞葉】です。フルネームは【御神楽瑞葉】と名乗ってくださいね」
「はい!」
さて、今後どうやって関わっていこうかな?
可愛らしい子なのでいろいろ世話を焼きたいしね。
「さて、瑞葉は何ができますか?」
とりあえず能力を把握しておきたい。
「今すぐにできることはダンジョンを作ること、そしてダンジョンコアを生み出すことです。魔素ではなくエーテルを使いますので、魔物がマスターになることはできなくなります」
「おぉ!」
どうやらダンジョン開設に有用な力を持っているらしい。
これは色々できそうな予感!!
「これで新世界も色々と潤いますね」
「すごい成果です!」
「ダンジョンコアを眷属化するとこういう結果になるのですわね。驚きましたわ」
ミリアムさんは嬉しそうにし、瑞歌さんは驚き感心していた。
ミレたちはといえば、瑞葉の周りをうろうろし、ペタペタと触って確認していた。
たぶん波長が合う子なのかもしれない。
「じゃあさっそくここのお宝を回収して脱出しましょう」
こうしてボクたちはお宝を回収しダンジョンを後にした。
この古代遺跡については後程調査してみよう。
祭壇があったことを考えると、神殿か何かだと思うけどね。
単純に純化させるだけなのだ。
やり方は手に取って念じるだけ。
「さて、ダンジョンコアを純化させると何が生まれるんでしょうね」
気になった以上、確認しないわけにはいかなかった。
「純化したことがないのでわかりません。どうなるのでしょうか」
「魔素が魔物を生み出すなら、エーテルは精霊を生み出す可能性がありますわね」
ミリアムさんも瑞歌さんもどうなるのかわからない様子だ。
ちなみにミレたちもそろって首を横に振っている。
「じゃあさっそくやってみますね」
ダンジョンコアに手を当て魔素をエーテルに変えていく。
するとダンジョンコアの色は黒から薄い青へと変化していった。
この色は液体エーテルの色と同じに見える。
つまり、エーテルの塊になったようなものということになる。
「まるでエーテルの塊ですね」
自分で作っておいてなんだけど、なかなか奇妙なものができたと思う。
あとはこれで何ができるかだけど……。
「ちょっと実験したいことがあるんですけどいいですか?」
ダンジョンコアに働きかけることでダンジョンの生成と維持ができるというなら、何らかの意思があってもおかしくはないと思う。
でも元々欠けていたせいか、そのような気配を一切感じることは出来なかった。
「どのようなことをするのですか?」
ミリアムさんが興味深そうに尋ねてくる。
「この元ダンジョンコアに意思を宿らせてみようかと思いまして」
生み出す能力があるなら自身の意思すら生み出せるのではないだろうか?
「面白い話ですわね」
瑞歌さんも興味があるようなので、さっそくやってみることにする。
「まずは血の一滴を垂らします」
指先にちくりと傷をつけ、出てきた血をエーテル球に垂らす。
血はエーテル球にそのまま吸い込まれて消えたので、次は球を触りながら眷属化と同じようなことを行う。
すると、エーテル球は軽く光り微振動し始めたのだ。
「わわ、何かが始まりました」
かすかに動いているだけだが、明らかに今までと違う挙動をしている。
「エーテル球内部に高エネルギーが生まれています。これは……主の眷属になった?」
ミリアムさんも驚いているようだ。
よくあるダンジョンコアの設定だと、ダンジョンコアが契約者に色々な力を授けることがある。
眷属になったということは、それとは逆にボクが力を与える側になるということになる。
「遥お姉様、何かが生まれますわ」
瑞歌さんに言われて慌てて確認してみると、エーテル球の中から何かが出てこようとしていた。
それは徐々に人の形になり、妖狐の姿をした、ボクに似た存在となった。
「初めまして、お母様。私はこのダンジョンコアであった者です。今はお母様の子でお母様の眷属です」
生まれた子はボクを見るなりお母様と呼んできた。
この年でボクは母親になってしまったらしい。
それにしても、ボクの子で眷属かぁ。
「じゃあ、神使のようなものですね」
動物というわけではないけど、最も近しい眷属となるのでそう呼んでもいいかもしれない。
あとは名前を決めないといけないか。
「お母様。神使とは何なのでしょうか?」
ボクに似た目の前の子はボクと同じようなプラチナブロンドの髪をしていて赤い目をしていた。
しかも、なぜかその服装は、巫女服のようなものを着ているのだ。
見た目はほぼ巫女服である。
ちなみに身長はボクより少し小さいくらいだ。
「神使は神の使いとか眷属って意味があります。代行者という側面が強いかも。本来は動物とかにも使うようですが、ボクたちは妖狐なので問題ないかと」
動物ではないけどね。
「わかりました。お母様のお望みのままに」
目の前の子はぺこりをボクに頭を下げてそう言った。
「あ、名前決めないと……」
何かいい案はないだろうか?
「こちらの世界と同じような名前は思いつくのですが、おそらく似合わないですよね」
ミリアムさんも名前を考えてくれているようだがいい案は浮かばないらしい。
「お姉様たちの名前から考えますと……【瑞葉】とかいかがでしょう? 私の名前のもじりもありますが、遥お姉様が付けてくださいましたし」
瑞歌さんからはなかなか良さそうな案が出た。
うちのお母さんが【若葉】で、お婆様が【葛葉】。叔母様が【光葉】なのでちょうどいいかもしれない。
「じゃあいろいろ説明する前に、貴女の名前は【瑞葉】です。フルネームは【御神楽瑞葉】と名乗ってくださいね」
「はい!」
さて、今後どうやって関わっていこうかな?
可愛らしい子なのでいろいろ世話を焼きたいしね。
「さて、瑞葉は何ができますか?」
とりあえず能力を把握しておきたい。
「今すぐにできることはダンジョンを作ること、そしてダンジョンコアを生み出すことです。魔素ではなくエーテルを使いますので、魔物がマスターになることはできなくなります」
「おぉ!」
どうやらダンジョン開設に有用な力を持っているらしい。
これは色々できそうな予感!!
「これで新世界も色々と潤いますね」
「すごい成果です!」
「ダンジョンコアを眷属化するとこういう結果になるのですわね。驚きましたわ」
ミリアムさんは嬉しそうにし、瑞歌さんは驚き感心していた。
ミレたちはといえば、瑞葉の周りをうろうろし、ペタペタと触って確認していた。
たぶん波長が合う子なのかもしれない。
「じゃあさっそくここのお宝を回収して脱出しましょう」
こうしてボクたちはお宝を回収しダンジョンを後にした。
この古代遺跡については後程調査してみよう。
祭壇があったことを考えると、神殿か何かだと思うけどね。
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