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第63話 亜神
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ミレたちの言う【亜神】とは何なんだろうか。
そもそも、ミレたちの世界にもたまにしかやってこなかったという。
防衛のために何か手を打つ必要はあるよね……。
「う~ん。【亜神】かぁ」
「【亜神】がどうかしたんですか?」
「何か対策考えないといけないかなと思いまして」
ボクの呟きにミレが反応した。
さて、どうすればいいやら……。
「とりあえずしばらくの間、警戒はマルムさんとセリアさんにお願いしてはいかがでしょうか。現在戦えるのは私たちフェアリーノーム以外では彼女たちだけです」
「ボクも早く強くなって参加したいです」
今のところ動物以外ではゴブリンとスライムとしか戦っていないのだ。
盗賊退治はあんまり攻撃できていなかったので実感がわかないし……。
「ねぇミレ? 【亜神】ってなんなんだろうね」
「前に説明したと思いますが」
「うん。そうなんですけど。何が目的なのかなと思って」
「詳しいことはわかりません。ですが、私たちの世界に来ていたものは力の略奪を目的としていました。あちらの世界にいたのはそういうものとは違うようで、何かを探していたようでしたが……」
「探す、ですか。どんなのがいたのですか?」
「黒い粘性生物のような物体でした」
力の略奪ということは、ミレたちの持っているっていう終焉した世界の女神の力を奪うっていうことだよね?
お爺様の世界にやってきた【亜神】はどう違うんだろうか。
「やっぱりよくわからない。力を求めてどうするんでしょうか……ん!?」
「主様、気を付けてください」
「ご主人、まずいのが来ました!!」
「主、これは一体……」
突如得体の知れない気配を感じた。
すごく気持ち悪くて嫌な気分になる。
なにこれ……。
「【亜神】!!」
ミレが何かに向かってそう言った。
何か……。そう、黒い何かの塊にだ。
「【亜神】?」
ボクがその何かを見ると、何かは徐々に人の形に変わっていく。
周りにはフェアリーノームたちが集まりだしていた。
「マルムさんとセリアさんは……?」
「気分が悪くなってしまったので休ませています!」
どうやら二人は倒れてしまったようだ。
そういえば千早さんはどこだろう?
「遥様! なんですかこれ!」
千早さんは別のログハウスから出てきてボクのほうに駆け寄ってきた。
「わ、わかりません……」
何かは完全な人型になると、徐々に色を付けていく。
やがて何かは、見目麗しい黒髪の美少女の姿へと変わってしまった。
気持ちの悪い存在感はそのままにして……。
「またお前たち。邪魔をするな。他の馬鹿どものようにお前たちの力などに興味はない」
黒髪の美少女はフェアリーノームに向かって静かにそう言い放った。
彼女の言う他の馬鹿どもとは、ミレたちの世界に来ていたという【亜神】のことだろう。
「また叩き潰されたいというのですか、この混沌スライム」
「あれは私の分体。本体ではない。本体である私がお前たちに負けるわけがない」
「戯言を。いいでしょう。今すぐ叩き潰してあげます」
ミレの一言でフェアリーノームたちが一斉に臨戦態勢に入った。
このままだと何となくまずい気がする……!
「待って、ください。な、何が、目的、なんですか」
少し息苦しいが何とか声を絞り出した。
「お前は……? いやいい。私は私のお姉様の痕跡を探している。麗しい黒髪の、強力な力を持った最愛のお姉様。そこの古ぼけた女神どもに邪魔され、あの爺の世界ではちゃんと痕跡を追えなかった」
あの爺ってお爺様のこと?
「あの爺って誰ですか?」
もしあの爺がお爺様のことだったら、何かわかるかもしれない。
「あの爺。たしか【アリオス】といったか。お姉様を奪った憎い相手。同時にお姉様との約束によりあの世界には手を出せない。忌々しい……」
やっぱりお爺様のことだった。
でも、お爺様が【亜神】の少女の言うお姉様を奪った? どういうことだろ。
「そう、ですか。どうやら、ボクのお爺様のことで、間違いない、ようです」
その言葉を聞いた瞬間、【亜神】の少女は真顔になった。
そしてーー。
「お前が、あの爺の孫? お姉様の子孫だと!?」
「え? ちょっとまってください。お姉様の子孫? ごめんなさい、わかりません」
「嘘を吐くな! そうか。この世界にお姉様の痕跡を感じたからやってきたが、お前が原因か」
そう言うと、怖い顔をしたまま【亜神】の少女は近寄ってくる。
「止まれ! お前を主様に近づけるわけにはいかない!!」
今にも飛び掛かりそうな勢いでミレが警告する。
「古ぼけたポンコツどもに興味はないし邪魔はさせない。私はお姉様の行方を知りたいだけ!!」
一気に気持ち悪い禍々しい気配が膨れ上がった。
これはまずい!!
「まって、ください。ミレも落ち着いてください」
「で、ですが、主様……」
「知りたいことを知らないまま追い出しても、また来ます。それでは、世界はいつか壊れてしまう……」
彼女がどうするのかはわからないけど、お爺様が原因だというなら、ボクにも解決する方法があるはずだ。
「貴女の、お姉様のことはわかりません。痕跡とは、なんなんですか」
「気配、そして力の残滓だ。そう、今お前から微かに感じられるそれだ。求めていた痕跡、ようやく、やっと……」
そう言うと、【亜神】の少女はボクを抱きしめてきた。
そして同時に、ボクの意識は途絶えた。
そもそも、ミレたちの世界にもたまにしかやってこなかったという。
防衛のために何か手を打つ必要はあるよね……。
「う~ん。【亜神】かぁ」
「【亜神】がどうかしたんですか?」
「何か対策考えないといけないかなと思いまして」
ボクの呟きにミレが反応した。
さて、どうすればいいやら……。
「とりあえずしばらくの間、警戒はマルムさんとセリアさんにお願いしてはいかがでしょうか。現在戦えるのは私たちフェアリーノーム以外では彼女たちだけです」
「ボクも早く強くなって参加したいです」
今のところ動物以外ではゴブリンとスライムとしか戦っていないのだ。
盗賊退治はあんまり攻撃できていなかったので実感がわかないし……。
「ねぇミレ? 【亜神】ってなんなんだろうね」
「前に説明したと思いますが」
「うん。そうなんですけど。何が目的なのかなと思って」
「詳しいことはわかりません。ですが、私たちの世界に来ていたものは力の略奪を目的としていました。あちらの世界にいたのはそういうものとは違うようで、何かを探していたようでしたが……」
「探す、ですか。どんなのがいたのですか?」
「黒い粘性生物のような物体でした」
力の略奪ということは、ミレたちの持っているっていう終焉した世界の女神の力を奪うっていうことだよね?
お爺様の世界にやってきた【亜神】はどう違うんだろうか。
「やっぱりよくわからない。力を求めてどうするんでしょうか……ん!?」
「主様、気を付けてください」
「ご主人、まずいのが来ました!!」
「主、これは一体……」
突如得体の知れない気配を感じた。
すごく気持ち悪くて嫌な気分になる。
なにこれ……。
「【亜神】!!」
ミレが何かに向かってそう言った。
何か……。そう、黒い何かの塊にだ。
「【亜神】?」
ボクがその何かを見ると、何かは徐々に人の形に変わっていく。
周りにはフェアリーノームたちが集まりだしていた。
「マルムさんとセリアさんは……?」
「気分が悪くなってしまったので休ませています!」
どうやら二人は倒れてしまったようだ。
そういえば千早さんはどこだろう?
「遥様! なんですかこれ!」
千早さんは別のログハウスから出てきてボクのほうに駆け寄ってきた。
「わ、わかりません……」
何かは完全な人型になると、徐々に色を付けていく。
やがて何かは、見目麗しい黒髪の美少女の姿へと変わってしまった。
気持ちの悪い存在感はそのままにして……。
「またお前たち。邪魔をするな。他の馬鹿どものようにお前たちの力などに興味はない」
黒髪の美少女はフェアリーノームに向かって静かにそう言い放った。
彼女の言う他の馬鹿どもとは、ミレたちの世界に来ていたという【亜神】のことだろう。
「また叩き潰されたいというのですか、この混沌スライム」
「あれは私の分体。本体ではない。本体である私がお前たちに負けるわけがない」
「戯言を。いいでしょう。今すぐ叩き潰してあげます」
ミレの一言でフェアリーノームたちが一斉に臨戦態勢に入った。
このままだと何となくまずい気がする……!
「待って、ください。な、何が、目的、なんですか」
少し息苦しいが何とか声を絞り出した。
「お前は……? いやいい。私は私のお姉様の痕跡を探している。麗しい黒髪の、強力な力を持った最愛のお姉様。そこの古ぼけた女神どもに邪魔され、あの爺の世界ではちゃんと痕跡を追えなかった」
あの爺ってお爺様のこと?
「あの爺って誰ですか?」
もしあの爺がお爺様のことだったら、何かわかるかもしれない。
「あの爺。たしか【アリオス】といったか。お姉様を奪った憎い相手。同時にお姉様との約束によりあの世界には手を出せない。忌々しい……」
やっぱりお爺様のことだった。
でも、お爺様が【亜神】の少女の言うお姉様を奪った? どういうことだろ。
「そう、ですか。どうやら、ボクのお爺様のことで、間違いない、ようです」
その言葉を聞いた瞬間、【亜神】の少女は真顔になった。
そしてーー。
「お前が、あの爺の孫? お姉様の子孫だと!?」
「え? ちょっとまってください。お姉様の子孫? ごめんなさい、わかりません」
「嘘を吐くな! そうか。この世界にお姉様の痕跡を感じたからやってきたが、お前が原因か」
そう言うと、怖い顔をしたまま【亜神】の少女は近寄ってくる。
「止まれ! お前を主様に近づけるわけにはいかない!!」
今にも飛び掛かりそうな勢いでミレが警告する。
「古ぼけたポンコツどもに興味はないし邪魔はさせない。私はお姉様の行方を知りたいだけ!!」
一気に気持ち悪い禍々しい気配が膨れ上がった。
これはまずい!!
「まって、ください。ミレも落ち着いてください」
「で、ですが、主様……」
「知りたいことを知らないまま追い出しても、また来ます。それでは、世界はいつか壊れてしまう……」
彼女がどうするのかはわからないけど、お爺様が原因だというなら、ボクにも解決する方法があるはずだ。
「貴女の、お姉様のことはわかりません。痕跡とは、なんなんですか」
「気配、そして力の残滓だ。そう、今お前から微かに感じられるそれだ。求めていた痕跡、ようやく、やっと……」
そう言うと、【亜神】の少女はボクを抱きしめてきた。
そして同時に、ボクの意識は途絶えた。
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