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第18話 救助
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揺らめく人影は二手に分かれた。
小さいほうの少女の人影は小走りにまっすぐ走り、二股の大木の根本から地下へと潜っていった。
どうやらそこが地下壕のようだ。
「周囲の警戒をよろしくね。異常があったら教えて」
それだけ伝え、もう一方の人影を追う。
父と呼ばれた小さな人影を追うと、何度もゴブリンの襲撃を受けては撃退を繰り返していたのが見えた。
しかしだんだんと体力が落ちてきたようで、足に一撃を受けると相手は倒すものの倒れこんでしまった。
周囲には多数のゴブリンの死体が確認できた。
「ミレ、回収と警戒お願い」
ミレが頷いたのを確認して進む。
人影は何とか進むも力尽きたようで、まっすぐ行った場所にある木の根本にもたれかかってしまった。
ボクもそれを追う。
「これが……」
木の根元には先の縮れた尖った耳の小さな男性がいた。
ミレたちくらいの大きさくらいだと思う。
応急処置はしてあるものの血を流しすぎていて、すでに事切れている様にしか見えない。
「脈は……。弱いけど、ある」
どうやら瀕死の状態のようだ。
でも処置はできない。
どうすれば?
『お母さん、教えてください。負傷して死に瀕している人がいるんです。どうすればいいですか?』
心の中でお母さんに助けを求めた。
『神としてできることはあまりありません。ですが、今の遥ちゃんにならできることがあります』
『ど、どうすれば』
『そう頻繁に使えませんが、対象に手を翳して心の中で『癒せ』と命じて手をゆっくり一回振りなさい』
『わ、わかりました』
さっそくお母さんの言う通りに手を翳して『癒せ』と心の中で命じる。
すると男性が一瞬ビクンと体を震わせたので、ゆっくり手を振るようにして体の前からどかした。
直後、男性の体がきれいになり、傷が消え失せたのがわかった。
血についてはわからないので、あとはどうすればいいかを聞くことにした。
『傷はなくなりました。でも失った血はどうすれば?』
『そしたら対象に自分の血を一滴垂らしてから『再生せよ』と命じなさい。さっきのと合わせても今の遥ちゃんには一日2回しか使えないから注意しなさいね』
『わかりました』
「うっ」
指先を軽く切り、流れた血を一滴男性に垂らす。
そして『再生せよ』と命じる。
すると男性の体が突然がくがくとけいれんし始めた。
「アガガガガガガガガ」
声にならない声をあげ、しばらく痙攣した後、男性はその場に倒れこんでしまった。
しかし血色は良いようだ。
「脈は……あるね」
何が起きたのかはわからないけど、おそらく急激に体に負担をかけているかもしれない。
経過観察はするとして、次は隠れたと思われる少女のところだ。
「ミレにみんな、ごめんね。ありがとう」
男性を担いで運んでくれたミレたちにボクはお礼を言う。
ボク一人では小さいといっても人を運ぶのは難しいので、無理矢理ミレたちにお願いをしたのだ。
今ボクたちは少女の隠れたと思しく場所にいる。
二股に分かれた大木の根本に偽装された痕跡を見つけたので数回ノックする。
「だ、だれ、ですか?」
中から少女の声が聞こえた。
よかった、まだ生きてた。
「あ、え~っと。ど、どういえば、いいんだろう? 森の中で破壊された馬車と野営しているゴブリンを見つけました。ゴブリンは倒したけど木箱があったので周囲を探索したんです。それでここに何かあるとわかって……」
うまい誤魔化し方はないので仕方がない。
救助した男性は未だ意識がないので助けてもらうこともできない。
「女の子の声? 人間なら帰ってください」
「あ、えっと、に、人間じゃないです。あと、ふぇ、フェアリーノームも、います」
うぅ……。いい加減直したいこのどもり癖。
「う、嘘です! フェアリーノーム様が誰かと一緒にいるなんて!」
少女が大きな声でそう叫んだ瞬間。ミレが地面に隠された入り口を破壊した。
怒ったようだ。
「ひっ、な、なに!? あ、ふぇ、フェアリーノーム様? え、えっと、どうして怒っていらっしゃるのですか……」
中にいたのは薄い青色の肌をした小さな少女だ。
何族なんだろう。
「あ、えっと、は、遥、です。こっちは、フェアリーノームのミレ。ボクの仲間、です」
ボクがそう紹介すると、ミレが小さな胸を張った。
「えっ? えええええええええ!?」
少女は絶叫した。
どうやら受け入れられない何かがあったようだ。
「フェアリーノーム様が人間と!? ってあれ? 人間の耳じゃない。獣人?」
目を丸くしながらボクを見て少女が言う。
「じゅ、獣人じゃないです。妖狐です。ま、まぁそれは良いとして……。君の連れ? の男性を救助したので確認してください」
「えっ? 連れ? あ、お父さん!」
「おんぶにだっこで悪いんだけど、ログハウスに連れて行ってもいいかな? ミレ」
父にすがる娘さんを横目に、ボクはミレのご機嫌を伺う。
するとミレはこくんと頷いてくれた。
ミレさん優しい。
「と、とりあえず、休める場所に案内します。人間の村じゃないので」
こうして少女と担がれた意識不明の男性はボクたちのログハウスへと連れていかれるのだった。
小さいほうの少女の人影は小走りにまっすぐ走り、二股の大木の根本から地下へと潜っていった。
どうやらそこが地下壕のようだ。
「周囲の警戒をよろしくね。異常があったら教えて」
それだけ伝え、もう一方の人影を追う。
父と呼ばれた小さな人影を追うと、何度もゴブリンの襲撃を受けては撃退を繰り返していたのが見えた。
しかしだんだんと体力が落ちてきたようで、足に一撃を受けると相手は倒すものの倒れこんでしまった。
周囲には多数のゴブリンの死体が確認できた。
「ミレ、回収と警戒お願い」
ミレが頷いたのを確認して進む。
人影は何とか進むも力尽きたようで、まっすぐ行った場所にある木の根本にもたれかかってしまった。
ボクもそれを追う。
「これが……」
木の根元には先の縮れた尖った耳の小さな男性がいた。
ミレたちくらいの大きさくらいだと思う。
応急処置はしてあるものの血を流しすぎていて、すでに事切れている様にしか見えない。
「脈は……。弱いけど、ある」
どうやら瀕死の状態のようだ。
でも処置はできない。
どうすれば?
『お母さん、教えてください。負傷して死に瀕している人がいるんです。どうすればいいですか?』
心の中でお母さんに助けを求めた。
『神としてできることはあまりありません。ですが、今の遥ちゃんにならできることがあります』
『ど、どうすれば』
『そう頻繁に使えませんが、対象に手を翳して心の中で『癒せ』と命じて手をゆっくり一回振りなさい』
『わ、わかりました』
さっそくお母さんの言う通りに手を翳して『癒せ』と心の中で命じる。
すると男性が一瞬ビクンと体を震わせたので、ゆっくり手を振るようにして体の前からどかした。
直後、男性の体がきれいになり、傷が消え失せたのがわかった。
血についてはわからないので、あとはどうすればいいかを聞くことにした。
『傷はなくなりました。でも失った血はどうすれば?』
『そしたら対象に自分の血を一滴垂らしてから『再生せよ』と命じなさい。さっきのと合わせても今の遥ちゃんには一日2回しか使えないから注意しなさいね』
『わかりました』
「うっ」
指先を軽く切り、流れた血を一滴男性に垂らす。
そして『再生せよ』と命じる。
すると男性の体が突然がくがくとけいれんし始めた。
「アガガガガガガガガ」
声にならない声をあげ、しばらく痙攣した後、男性はその場に倒れこんでしまった。
しかし血色は良いようだ。
「脈は……あるね」
何が起きたのかはわからないけど、おそらく急激に体に負担をかけているかもしれない。
経過観察はするとして、次は隠れたと思われる少女のところだ。
「ミレにみんな、ごめんね。ありがとう」
男性を担いで運んでくれたミレたちにボクはお礼を言う。
ボク一人では小さいといっても人を運ぶのは難しいので、無理矢理ミレたちにお願いをしたのだ。
今ボクたちは少女の隠れたと思しく場所にいる。
二股に分かれた大木の根本に偽装された痕跡を見つけたので数回ノックする。
「だ、だれ、ですか?」
中から少女の声が聞こえた。
よかった、まだ生きてた。
「あ、え~っと。ど、どういえば、いいんだろう? 森の中で破壊された馬車と野営しているゴブリンを見つけました。ゴブリンは倒したけど木箱があったので周囲を探索したんです。それでここに何かあるとわかって……」
うまい誤魔化し方はないので仕方がない。
救助した男性は未だ意識がないので助けてもらうこともできない。
「女の子の声? 人間なら帰ってください」
「あ、えっと、に、人間じゃないです。あと、ふぇ、フェアリーノームも、います」
うぅ……。いい加減直したいこのどもり癖。
「う、嘘です! フェアリーノーム様が誰かと一緒にいるなんて!」
少女が大きな声でそう叫んだ瞬間。ミレが地面に隠された入り口を破壊した。
怒ったようだ。
「ひっ、な、なに!? あ、ふぇ、フェアリーノーム様? え、えっと、どうして怒っていらっしゃるのですか……」
中にいたのは薄い青色の肌をした小さな少女だ。
何族なんだろう。
「あ、えっと、は、遥、です。こっちは、フェアリーノームのミレ。ボクの仲間、です」
ボクがそう紹介すると、ミレが小さな胸を張った。
「えっ? えええええええええ!?」
少女は絶叫した。
どうやら受け入れられない何かがあったようだ。
「フェアリーノーム様が人間と!? ってあれ? 人間の耳じゃない。獣人?」
目を丸くしながらボクを見て少女が言う。
「じゅ、獣人じゃないです。妖狐です。ま、まぁそれは良いとして……。君の連れ? の男性を救助したので確認してください」
「えっ? 連れ? あ、お父さん!」
「おんぶにだっこで悪いんだけど、ログハウスに連れて行ってもいいかな? ミレ」
父にすがる娘さんを横目に、ボクはミレのご機嫌を伺う。
するとミレはこくんと頷いてくれた。
ミレさん優しい。
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