上 下
65 / 74

第63話 暮葉と雫とホラーゲーム談義

しおりを挟む
 最近のボクはスマートフォンゲームにもはまっていて、配信時にはゲームをPC連携させたりして画面を表示して見せる放送をしていたりする。

 プレイするジャンルは色々だけど、特に最近は美少女艦船ゲームや美少女タワーディフェンスゲーム、美少女が銃を使ったアクションを行うゲームなど、とにかく美少女系が多くあるのでひたすらインストールしまくっていたりする。

 部屋で一人ニヨニヨしながら、美少女系ゲームをプレイしていくというインドアライフを送っているのだ。
 これが正直言って楽しい。

 ボク自身はいわゆる女性もののゲームというのが好きではないので、そっち系の話をされても困る。
 でも男性向けゲームで、美少女を操ったり攻略していくのは好きなのでどうしてもそっち系がメインとなってしまう。

 まぁボクの性癖なので誰かに文句を言われる筋合いはないのだけど……。
 でも考えてみると、ボクの周りでは女性主人公で男性キャラを攻略していくゲームを得意としている人はいないかもしれない。

 実際、弥生姉様もやるなら美少女を攻略するゲームなわけで……。
 
「次の配信に使うゲーム何にしよう? ガチャやるのもいいけど出ないと悲しいしなぁ」
 ボクはベッドの上に寝転がりながら独り言をつぶやく。

「暮葉様のお好きなゲームでいいと思いますけど、ランキング上位にあるお馬さんのゲームとかやりますか?」
 ボクの独り言を聞いた雫ちゃんがそんな提案をしてくる。
 でも残念、ボクはひたすら育成するゲームは得意ではないのだ。

「たしかに人気あるし、配信したら人来そうだけど。ボクってそういうの得意じゃないんだよね」
 今どきのゲームは無料ガチャも多いけど、やっぱり課金重視なので使えるお金が多くないとなかなか見栄えが良くならない。
 いっそ入金されたお金でガチャをするべきか?

「う~ん、そうですね~。幼稚園の訪問はこの前やりましたし、あのサンドボックスゲームもこの前やりましたよね」
「連続してやってもいいんだけどそれだけだと飽きない? シリーズ物の動画を作るならいいんだけど、見所さんが毎回行方不明だし」
 いっそ迷走シリーズとでも銘打つべきだろうか。

「暮葉様の爆死悲鳴やビビり悲鳴は結構人気があるようですね。いっそホラーゲームでもやります?」
「あっはっはっ、それは無理!」
 このボクにホラーゲームをやらせようだなんて雫ちゃんはなんて恐ろしい提案をするのだろう。
 現実の幽霊は怖くなくてもホラーゲームの得体のしれない恐怖は苦手なのだよ。

「暮葉様って、人間界のお化け屋敷嫌いですよね。特に体感型の」
「あれの話はやめてほしい……」

 人間界にある体感型のホラーアトラクションは驚かせることもそうだけど、驚かせるまでの雰囲気づくりがとても上手く、実体験するホラーゲームといったものになっていたりする。
 くるぞくるぞー! と思わせておいて来ないこともあるけど、時間差を置いてくることもあって、まったく油断できない。
 ボクは常に警戒しすぎて首のあたりが痛くなってしまうのだ。

「酒呑童子とか黒奈とか、あと雫ちゃんもああいうの得意だよね」
「ああいうのは楽しんだもの勝ちだと思ってますから。と、いいますか、黄泉平坂の迷宮もあんな感じでは?」
「あ~。でもあれは驚貸せて来たら叩けばいいし……」
 人間界のアトラクションは手を出せないけど、妖精郷の迷宮なら手を出しても問題ないので、多少は気がまぎれるというものだ。
「できれば無意味に亡者や鬼を殴らないであげてください……」
「それは断る」
 黄泉平坂の迷宮は何気に地獄へ堕ちた亡者たちの刑場でもあるのだ。

「あ、そうです。VR黄泉平坂迷宮とかあったらやります?」
「は?」
 雫ちゃんの妙な提案を聞いてボクは思わず問い返してしまう。
 あんな真っ暗でじめじめした場所をVRで体感ですと?

「雫ちゃん、それ絶対怖いやつ」
「だと思って提案しました。どうやら夢幻酔のチームが作ってみてるそうなんです。人間界にもリリースするそうですよ?」
「えぇー……」
 ボクは思わず嫌そうな声を出してしまった。
 だって、あれをVRで体感するとなったら相当ビビっちゃうからね?

「まぁ気持ちはわかりますよ? でも人間ってああいうの好きみたいなんですよね。VRで体感するホラーゲームってそれなりにあるそうですし」
「うわお、それってすごいね?」
 人間って勇敢なんだろうか? ボクには考えられないよ。

「じゃあ雫ちゃんが配信するときはVR黄泉平坂迷宮でよろ」
「え゛っ」
 言い出しっぺがやるべき。
 ボクはそう思います。
 そんな雫ちゃんは驚いたような顔でボクを見ている。

「暮葉様? 人数制限ないので一緒にやりません? なんなら酒呑童子様たちも一緒で……」
 おやおや? 雫ちゃんビビっちゃったのかな?
 でもあのジメジメした暗闇は正直ボクも叩きのめせないなら行きたくないんだよね。
「う~ん。考えとく」
 ボクがそういうと、雫ちゃんはほっとしたように息を吐いた。
 ちょっといじめすぎたかな?

「暮葉様、黄泉平坂迷宮を一言で表すならどんな感じになりますか?」
 急に雫ちゃんにそんなことを振られたのでボクはこう答えた。
「真っ暗で寒気がするじめじめした地下室と廊下」
 実際こんな感じだから仕方ない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あやかし雑草カフェ社員寮 ~社長、離婚してくださいっ!~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 令和のはじめ。  めでたいはずの10連休を目前に仕事をクビになった、のどか。  同期と呑んだくれていたのだが、目を覚ますと、そこは見知らぬ会社のロビーで。  酔った弾みで、イケメンだが、ちょっと苦手な取引先の社長、成瀬貴弘とうっかり婚姻届を出してしまっていた。  休み明けまでは正式に受理されないと聞いたのどかは、10連休中になんとか婚姻届を撤回してもらおうと頑張る。  職だけでなく、住む場所も失っていたのどかに、貴弘は住まいを提供してくれるが、そこは草ぼうぼうの庭がある一軒家で。  おまけにイケメンのあやかしまで住んでいた。  庭にあふれる雑草を使い、雑草カフェをやろうと思うのどかだったが――。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

神様の住まう街

あさの紅茶
キャラ文芸
花屋で働く望月葵《もちづきあおい》。 彼氏との久しぶりのデートでケンカをして、山奥に置き去りにされてしまった。 真っ暗で行き場をなくした葵の前に、神社が現れ…… 葵と神様の、ちょっと不思議で優しい出会いのお話です。ゆっくりと時間をかけて、いろんな神様に出会っていきます。そしてついに、葵の他にも神様が見える人と出会い―― ※日本神話の神様と似たようなお名前が出てきますが、まったく関係ありません。お名前お借りしたりもじったりしております。神様ありがとうございます。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

八百万の学校 其の参

浅井 ことは
キャラ文芸
書籍化作品✨神様の学校 八百万ご指南いたします✨の旧題、八百万(かみさま)の学校。参となります。 十七代当主となった翔平と勝手に双子設定された火之迦具土神と祖父母と一緒に暮らしながら、やっと大学生になったのにも関わらず、大国主命や八意永琳の連れてくる癖のある神様たちに四苦八苦。 生徒として現代のことを教える 果たして今度は如何に── ドタバタほのぼのコメディとなります。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

ごはんがあれば、だいじょうぶ。~美佳と瞳子のほっこり一皿~

五色ひいらぎ
ライト文芸
シェアハウスで共に暮らす、大学三年瀬川美佳(せがわみか)と、短大一年宮原瞳子(みやはらとうこ)。 美佳に嫌なことがあった日、瞳子はそっと手料理を作ってくれる。 凝った料理ではないけれど、あたたかな一皿は不思議と美佳の心を癒す。 クレーマーに遭った日も、 仲間と袂を分かった日も、 悲しい別れがあった日も、 世の理不尽に涙した日も、 きっと、おいしいごはんがあればだいじょうぶ。 ※約3万字の短編です。ほんのり百合風味の日常物語。 ※第7回ほっこり・じんわり大賞にエントリーしています。 ※表紙素材: 写真AC/チョコクロ様より https://www.photo-ac.com/main/detail/553254

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...