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第60話 小悪魔兎の妖精郷訪問計画その1
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「やや、やややや、やややややややや? ふむふむ。なかなか変わったところですねぇ」
ゲートをくぐりぬけやってきた世界は、ちょっと変わった世界でした。
街並み自体は都会的な感じだが自然が多い。住み心地は良さそうに思える。
でも不思議なこともある。
ゲートから出て足を踏み入れた瞬間、何かに視られているような視線を感じたのだ。
この世界は何なんでしょうか。
一応、事前にこの世界のことは聞いているけど、やっぱり不思議に思えてしまう。
まず、私たちの街とは違って、妙でいて懐かしいような雰囲気を持つ場所や人々が多くいること。
これについては私自身や友達にも感じられる雰囲気なので、深いというわけではない。でも、こう多いと違和感を感じるものだ。
おそらく、これが『妖種』というものなのだろう。
一目見た感じだと獣人が多いように感じられる。けど、その中身は全くの別物だとわかる。
「うへぇ~。ここは怖いところだぁ」
私は直感的にそう思った。
「稲葉さん? 雪村稲葉さん?」
「あっ、ひゃい!?」
「驚かせてごめんなさい。もう少し落ち着ける場所に出たほうがよかったですかね。ここは夕霧家の中庭ゲートですから」
「あ、え~っと、夕霧家? ってなんですか?」
「夕霧家は宗親様のご実家ですね」
「ほえ~。宗親先生の~。とと、ということは、宗親先生がよく話してくれる妹さんもこちらに?」
「どの妹さんでしょう? 宗親様は長兄なので下は全員妹になってしまいますが」
「え~っと、たしか末っ子ちゃん?」
「あぁ、暮葉様ですね。それはそうと、少しは調子戻ってきましたか?」
「あ、はい! じゃなかった。うん! この稲葉ちゃんに全部任せなさ~い!!」
「その調子です」
うへぇ、すっごく変なこと言っちゃった!? でも、セフィシスちゃんはニコニコしてるしなぁ。
うん、よし! ここはいつも通りにやろう!
「じゃあ始めまるよ~!」
「ふふ、お願いします」
「稲葉ちゃんの突撃妖精郷大取材、はっじま~るよ~!!」
というわけで、みんなに見せるための撮影が始まったのだった。
「いぇ~い、みんなみてる~? なに~? まだみてないだとおお!? そりゃそうか、これまだ撮影中だもんね。あったりまえか~。今日は~、なんとあの、宗親先生のご実家にきてま~す! 嫁入り前の挨拶しちゃう~? な~んてね! さてさて、それじゃあ今日のパートナーを紹介しちゃうよ~」
「あ、はい。皆さんおなじみのセフィシスです。今日は宜しくお願いしますね」
「うんうん~、今日もセフィシスちゃんはちっちゃくてかあいいね~」
「ちょっと照れますから。それはそうと稲葉さん? 今日の目的は何でしょうか?」
せっかく頬ずりしてる最中なのに、セフィシスちゃんがそんなことを聞いてくる。
「ん~と、嫁入りのご挨拶……だっけ?」
「違います。暮葉様とお友達になることです」
「あ、そうだった」
いけないいけない。ついうっかりイケメン宗親先生の嫁入り宣言をするところだった。
いや、もうしてたかも? まぁそれはいいとしてだ。問題は暮葉ちゃんのことだ。
「ところで、その暮葉ちゃんはいずこ?」
「う~ん。お話は通してなかったので探すしかありませんね。まぁ行動範囲は狭い方なので、案外すぐ見つかるでしょう」
「そうなの? 狐の子なんでしょ? 狐の子ってすごく活発なイメージがあるよ?」
「まぁたしかに野生の狐とかみるとそうかもしれませんね。犬っぽかったり猫っぽかったりといわれますし」
「知り合いの狐の子とかもそんな感じ。気分屋だったりするんだよね~」
「稲葉さんほどではないのでは?」
「あっはっは~。言いますね~」
とまぁそんなことを言われても怒る気にはならないんだけど。
「では、さっそく探しに行きましょう」
「おー!」
そんなこんなで、私たちはカメラを回しながら暮葉ちゃんの捜索を行うのだった。
「いませんでしたね」
かなりの大きさを誇る夕霧家の本館、付近にいた狐耳のメイドさんに暮葉ちゃんの居場所を尋ねてみるがわからないとのこと。数人に尋ねた結果、散歩に出ているということだけはわかった。
「おやおや? あんなところに角の生えた小さい子が? セフィシスちゃん、あの子は誰?」
私が対象の方を指すと、セフィシスちゃんは嬉しそうにその子に近づいて行った。
「こんにちは、スクナさん」
「お? セフィ。どうしたの~? うちになにか用~?」
「セフィシスちゃんセフィシスちゃん、この子はどなた?」
「この子はスクナさんです。少名水樹といいます」
「は~い、スクナで~す。よろしくね~? ウサギのかわいい人~」
「あ、よろしく~」
私が軽くそう挨拶すると、スクナちゃんは別の方向を向いてしまった。
「スクナちゃん、そっちになにかあるの~?」
私がそう尋ねると、スクナちゃんはこっちを向いてこう言った。
「暮葉がコンビニに行ってるから待ってるだけだよ~? あっちのほうにある~」
のんびりした口調でスクナちゃんはそう話す。
ふむふむ、つまりあっちに行くか待ってればいいというわけね。
「ついでなので、街も見ていきますか? あちらとは少々違うとは思いますけど」
ここでセフィシスちゃんがナイスな提案をしてくれる。
「いこーいこー!」
こうして私とセフィシスちゃんは街へと飛び出していったのだった。
夕霧家の敷地を飛び出し、街へと向かう。きれいに舗装された道の先には朱塗りの大きな鳥居が建っていて、その先には少し古い見た目の建物が立ち並んでいた。
「セフィシスちゃん、ここなんなの~?」
私のいる世界では見たことのない建物だと思う。いや、もしかすると知らないだけで別の場所に行くとあるのかもしれないけど。
「ここは仲見世通りですね。この先に大きな稲荷神社があるんですよ。どうやらこの道は街は街でも門前街のほうだったようです」
「へぇ~、ここ以外にもあるんだ~? どんなところなの~?」
「えっと、あちらでもおなじみの普通の都市の街ですよ。こちらもこちらで楽しい場所はあるんですけど、今はこの場所は関係ないので移動しましょう」
「は~い」
こうして私とセフィシスちゃんはその場所を後にした。
なんだかとっても怪しげな雰囲気のする不思議な場所だったので、今度行ってみたいかもしれない。
なんだかいたずら心がうずく!!
場所は変わり、住宅やお店などが立ち並ぶ場所へとやってきた私たち。セフィシスちゃんの言う通り、ここは普通の街って感じがする。
「なんだか見慣れた感じの街だね~。私たちのとこに似てるかも~?」
「はい。基本的には同じような作りになっています。まぁエアロバイクみたいなのはないので、せいぜい電気自動車や電気スクーターといった感じのものがあるだけですが」
「えっ、エアロバイクないの!? おっくれてる~」
セフィシスちゃんの話を聞いてびっくりした。この場所には、あの便利なエアロバイクすらないというのだから。
「はい。この世界の外の世界はまだ文明レベルが低めなんです。中央管理世界の方は私たちの移民船から技術を持ち込んでいるので、こちらより数世紀ほど先を行っている技術を使っています。まぁそれでも移民船の方はもっと技術レベルが上なんですが」
「それは知らなかった!!」
驚きの情報だ。私たちの技術はだいぶ先を行っていると思っていたのに、それ以上先があったなんて思わなかったからだ。
「まぁこの話は誰も知りませんからね。移民船のほうに行ける人もいませんから。おっと、コンビニが見えて来たようです。あ、青銀色の狐耳がぴょこぴょこ揺れてますね。まだいるようです」
セフィシスちゃんがそう言うのでそっちのほうを見てみると、きれいな獣耳が隙間からちらちら見えていた。どうやら何かを探して回っているらしい。
「あれ何してるの~?」
「たぶん何を買うか迷っているんじゃないでしょうか。暮葉様、結構選ぶの苦手なので」
「ま、行ってみようか。私たちの目標だしね~」
「はい。あ、そうだ。この辺りも動画に撮っておきましょうか。今のところ撮れてませんでしたので」
「おっけ~」
セフィシスちゃんはそう言うと、捜索のために止めていたカメラを回し始めるのだった。
ゲートをくぐりぬけやってきた世界は、ちょっと変わった世界でした。
街並み自体は都会的な感じだが自然が多い。住み心地は良さそうに思える。
でも不思議なこともある。
ゲートから出て足を踏み入れた瞬間、何かに視られているような視線を感じたのだ。
この世界は何なんでしょうか。
一応、事前にこの世界のことは聞いているけど、やっぱり不思議に思えてしまう。
まず、私たちの街とは違って、妙でいて懐かしいような雰囲気を持つ場所や人々が多くいること。
これについては私自身や友達にも感じられる雰囲気なので、深いというわけではない。でも、こう多いと違和感を感じるものだ。
おそらく、これが『妖種』というものなのだろう。
一目見た感じだと獣人が多いように感じられる。けど、その中身は全くの別物だとわかる。
「うへぇ~。ここは怖いところだぁ」
私は直感的にそう思った。
「稲葉さん? 雪村稲葉さん?」
「あっ、ひゃい!?」
「驚かせてごめんなさい。もう少し落ち着ける場所に出たほうがよかったですかね。ここは夕霧家の中庭ゲートですから」
「あ、え~っと、夕霧家? ってなんですか?」
「夕霧家は宗親様のご実家ですね」
「ほえ~。宗親先生の~。とと、ということは、宗親先生がよく話してくれる妹さんもこちらに?」
「どの妹さんでしょう? 宗親様は長兄なので下は全員妹になってしまいますが」
「え~っと、たしか末っ子ちゃん?」
「あぁ、暮葉様ですね。それはそうと、少しは調子戻ってきましたか?」
「あ、はい! じゃなかった。うん! この稲葉ちゃんに全部任せなさ~い!!」
「その調子です」
うへぇ、すっごく変なこと言っちゃった!? でも、セフィシスちゃんはニコニコしてるしなぁ。
うん、よし! ここはいつも通りにやろう!
「じゃあ始めまるよ~!」
「ふふ、お願いします」
「稲葉ちゃんの突撃妖精郷大取材、はっじま~るよ~!!」
というわけで、みんなに見せるための撮影が始まったのだった。
「いぇ~い、みんなみてる~? なに~? まだみてないだとおお!? そりゃそうか、これまだ撮影中だもんね。あったりまえか~。今日は~、なんとあの、宗親先生のご実家にきてま~す! 嫁入り前の挨拶しちゃう~? な~んてね! さてさて、それじゃあ今日のパートナーを紹介しちゃうよ~」
「あ、はい。皆さんおなじみのセフィシスです。今日は宜しくお願いしますね」
「うんうん~、今日もセフィシスちゃんはちっちゃくてかあいいね~」
「ちょっと照れますから。それはそうと稲葉さん? 今日の目的は何でしょうか?」
せっかく頬ずりしてる最中なのに、セフィシスちゃんがそんなことを聞いてくる。
「ん~と、嫁入りのご挨拶……だっけ?」
「違います。暮葉様とお友達になることです」
「あ、そうだった」
いけないいけない。ついうっかりイケメン宗親先生の嫁入り宣言をするところだった。
いや、もうしてたかも? まぁそれはいいとしてだ。問題は暮葉ちゃんのことだ。
「ところで、その暮葉ちゃんはいずこ?」
「う~ん。お話は通してなかったので探すしかありませんね。まぁ行動範囲は狭い方なので、案外すぐ見つかるでしょう」
「そうなの? 狐の子なんでしょ? 狐の子ってすごく活発なイメージがあるよ?」
「まぁたしかに野生の狐とかみるとそうかもしれませんね。犬っぽかったり猫っぽかったりといわれますし」
「知り合いの狐の子とかもそんな感じ。気分屋だったりするんだよね~」
「稲葉さんほどではないのでは?」
「あっはっは~。言いますね~」
とまぁそんなことを言われても怒る気にはならないんだけど。
「では、さっそく探しに行きましょう」
「おー!」
そんなこんなで、私たちはカメラを回しながら暮葉ちゃんの捜索を行うのだった。
「いませんでしたね」
かなりの大きさを誇る夕霧家の本館、付近にいた狐耳のメイドさんに暮葉ちゃんの居場所を尋ねてみるがわからないとのこと。数人に尋ねた結果、散歩に出ているということだけはわかった。
「おやおや? あんなところに角の生えた小さい子が? セフィシスちゃん、あの子は誰?」
私が対象の方を指すと、セフィシスちゃんは嬉しそうにその子に近づいて行った。
「こんにちは、スクナさん」
「お? セフィ。どうしたの~? うちになにか用~?」
「セフィシスちゃんセフィシスちゃん、この子はどなた?」
「この子はスクナさんです。少名水樹といいます」
「は~い、スクナで~す。よろしくね~? ウサギのかわいい人~」
「あ、よろしく~」
私が軽くそう挨拶すると、スクナちゃんは別の方向を向いてしまった。
「スクナちゃん、そっちになにかあるの~?」
私がそう尋ねると、スクナちゃんはこっちを向いてこう言った。
「暮葉がコンビニに行ってるから待ってるだけだよ~? あっちのほうにある~」
のんびりした口調でスクナちゃんはそう話す。
ふむふむ、つまりあっちに行くか待ってればいいというわけね。
「ついでなので、街も見ていきますか? あちらとは少々違うとは思いますけど」
ここでセフィシスちゃんがナイスな提案をしてくれる。
「いこーいこー!」
こうして私とセフィシスちゃんは街へと飛び出していったのだった。
夕霧家の敷地を飛び出し、街へと向かう。きれいに舗装された道の先には朱塗りの大きな鳥居が建っていて、その先には少し古い見た目の建物が立ち並んでいた。
「セフィシスちゃん、ここなんなの~?」
私のいる世界では見たことのない建物だと思う。いや、もしかすると知らないだけで別の場所に行くとあるのかもしれないけど。
「ここは仲見世通りですね。この先に大きな稲荷神社があるんですよ。どうやらこの道は街は街でも門前街のほうだったようです」
「へぇ~、ここ以外にもあるんだ~? どんなところなの~?」
「えっと、あちらでもおなじみの普通の都市の街ですよ。こちらもこちらで楽しい場所はあるんですけど、今はこの場所は関係ないので移動しましょう」
「は~い」
こうして私とセフィシスちゃんはその場所を後にした。
なんだかとっても怪しげな雰囲気のする不思議な場所だったので、今度行ってみたいかもしれない。
なんだかいたずら心がうずく!!
場所は変わり、住宅やお店などが立ち並ぶ場所へとやってきた私たち。セフィシスちゃんの言う通り、ここは普通の街って感じがする。
「なんだか見慣れた感じの街だね~。私たちのとこに似てるかも~?」
「はい。基本的には同じような作りになっています。まぁエアロバイクみたいなのはないので、せいぜい電気自動車や電気スクーターといった感じのものがあるだけですが」
「えっ、エアロバイクないの!? おっくれてる~」
セフィシスちゃんの話を聞いてびっくりした。この場所には、あの便利なエアロバイクすらないというのだから。
「はい。この世界の外の世界はまだ文明レベルが低めなんです。中央管理世界の方は私たちの移民船から技術を持ち込んでいるので、こちらより数世紀ほど先を行っている技術を使っています。まぁそれでも移民船の方はもっと技術レベルが上なんですが」
「それは知らなかった!!」
驚きの情報だ。私たちの技術はだいぶ先を行っていると思っていたのに、それ以上先があったなんて思わなかったからだ。
「まぁこの話は誰も知りませんからね。移民船のほうに行ける人もいませんから。おっと、コンビニが見えて来たようです。あ、青銀色の狐耳がぴょこぴょこ揺れてますね。まだいるようです」
セフィシスちゃんがそう言うのでそっちのほうを見てみると、きれいな獣耳が隙間からちらちら見えていた。どうやら何かを探して回っているらしい。
「あれ何してるの~?」
「たぶん何を買うか迷っているんじゃないでしょうか。暮葉様、結構選ぶの苦手なので」
「ま、行ってみようか。私たちの目標だしね~」
「はい。あ、そうだ。この辺りも動画に撮っておきましょうか。今のところ撮れてませんでしたので」
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