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第49話 妖精郷散歩と思わぬ出会い
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みんなは妖精郷というとどんなイメージを持っている?
田舎? 江戸時代みたいな街並み?
まぁ何にしても、古い、田舎というイメージがあるかもしれない。
でも実際はに現代日本と変わらない街並みが広がっている。
まぁ自然が多いという点と一部別のテクノロジーが使われていることを除けば。
でもやっぱり一番大きな違いといえば、人口が少ない点だろうか。
地球人類は八十億人近くの人口があり、プラスアルファで妖種が追加される程度となっている。
対して、妖精郷といえば大きな街程度の人口しかいなかったりする。
人口の八割が妖種であり、一割未満が人間種、そして残りが神族と本当に少数の異世界人となっている。
ちなみに、妖精郷に迷い込んだ異世界人は送り返すか、保護する対象になっている。
ただの異世界人が迷い込むには、妖精郷は危ない場所なのだ。
そんな妖精郷の街をボクは歩く。
妖精郷の電気は再生可能エネルギーとお父様たち高位次元からやってきた存在たちの残したエネルギー生成装置から供給されている。
火力発電等は使われておらず空気はきれいだが、これは何も自然環境に配慮したとか汚染しないためというわけではない。
単純に、妖種や神族が自然から受け取れるエネルギーがあるので多く残しているにすぎない。
まぁそうでなくとも、広い土地のわりに人口が少ないので、たくさん開拓する必要がないだけとも言えるんだけど。
「相変わらず森が多いなー。山もちらほらあるから動物は多いけど見渡しにくいというか……」
その光景は発展した街並みの田舎とでもいうべきだろうか。でも一応東京くらい発展してはいるんだよ?
そんなことを考えながら歩いていると、何かがボクのお尻にぶつかった。
「ん? なんだろ? うひゃぁ」
後ろを振り向こうとした途端、お尻に何かが挟まってもぞもぞと動く。
何が起きてるの!?
「こはくちゃんだー! もふもふー」
「ふぇ? だれ!?」
慌ててお尻のほうを見ると、そこには小さな妖狐の女の子が埋まっていた。
「あっ、この前の幼稚園の子」
「ふふー、おさんぽしててよかったー」
「いやいや、ちっちゃい子が一人で歩いてたら危ないよ? 車も通るし」
「ちっちゃくないよ~」
「あっ、ごめん。おうち近くなの?」
いまだにニコニコしながらくっついている女の子の頭をなでながら、ボクは聞いてみた。
「えっとねー、おうちはあっちー」
「えーっと、あっちっていうと……」
女の子の指さした方向を見ると、大きな鳥居が見える。
あそこには大きめの神社があったはずだ。
「あの鳥居のところ?」
「うん~、おじーちゃんちー」
「へぇ~。お父さんとお母さんのうちは?」
「えっとね~、にんげんのせかい? ってとこにあるんだって~。きょうはおねえちゃんときたのー」
「へぇ~。あれ? でも幼稚園はこっちだよね?」
ボクの記憶違いでなければ、妖種幼稚園で出会っているはず。
「うん~。おじーちゃんにおくってもらってるのー」
「へぇ~」
どうやら行き来しながら通園しているらしい。
「ん~」
ぐりぐりとボクに頭を押し付けてくる妖狐の女の子をじっくり見てみると、金髪であることがわかる。
金髪系の妖狐はそんなに数が多くないのである程度限られてくる。時点で少ないのが銀髪系だ。
黒系茶系白系は比較的数が多く、結構見かけることがある。
ただ、妖狐以外だと白い毛の妖種は数が少ないため、見かけることはあまりない。
特に白い烏天狗はものすっごく貴重だ。
「瑞奈、一人でどこか行っちゃだめだし」
ボクが女の子の頭をなでていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あっ、おねーちゃん」
「おねえちゃん?」
「「あっ」」
女の子が振り向いた方向を見てみると、そこには見知った子が立っていた。
「ゆずはちゃん」
「暮葉ちゃん」
「おねーちゃん、ともだちー?」
「うん、大事な友達だし」
まさかゆずはちゃんの妹とは思わなかった。
「ゆずはちゃんは今日は何してるの?」
近くのベンチに三人で座る。
ボクの隣にはゆずはちゃん、そしてボクの膝の上には瑞奈ちゃんがいる。
「今日は瑞奈と遊んでるし。それにしてもまさかここで暮葉ちゃんに会うなんて思わなかったし」
「それはボクも思うよ。普段ずっとあっちにいると思ってたから」
ゆずはちゃんとあかりちゃんは人間界に住んでいる。
なので大体あっちにいると思っていたから、ここでアウトは予想していなかった。
「今度、こっちにも家を持つことになったし」
「そうなの?」
「ちなみにあかりの家族も一緒だし」
「あ、そうなんだ」
ゆずはちゃんとあかりちゃん、そしてえりなちゃんの三人は非常に仲がいい。
特に、今後すれ違う可能性のあるえりなちゃんは、二人のことをとてもよく理解しているようだった。
「あかりちゃんは今日は?」
「あかりは今日は寝てるし」
あかりちゃんの日常はとても気になる。
「へぇ~。ところでこっちではどこに家を持つの?」
ご近所さんってわけじゃないけど、ちょっと気になるので聞いてみた。
「場所はまだ決まってないって言ってたし。いい場所ない?」
「いい場所かぁ。一応空いてる場所は知ってるけど」
「どこだし」
「稲荷区天狐1-2の区画」
稲荷区天狐というのは、稲荷区の天狐が支配している領域という意味がある。
1-1がうちなので、1-2はお隣ということになる。
でもお隣とはいっても、かなり距離はあるのだが。
「ちょっと聞いてみるし。あ、お父さん? うん、友達から聞いたけど、土地が空いてる場所あるらしいし。そう」
さっそくゆずはちゃんが家族に連絡を取っている。
「暮葉ちゃん、ありがとうだし」
「いいよいいよ。聞きに行くときはボクから聞いたって言ってね」
「わかったし」
一応お母様にも連絡を入れておこう。天狐地区はうちが管理してるから、連絡しておけば問題ないはずだ。
肩掛けカバンからスマホを取り出し、お母様の番号にかける。
お母様は忙しくなければ出てくれるはずだ。
「こはくちゃん、おでんわー?」
「そうだよー? あ、Vtuberの時以外は暮葉でいいよ」
「わかったー」
プルルルル、ガチャ
『暮葉ちゃん、どうしたの?』
ワンコールでお母様が出た。
「あ、お母様? 妖狐の友達が妖精郷で住む土地探してるらしくてですね」
『ふむふむ』
「稲荷区天狐1-2を紹介したんですけど、大丈夫ですよね?」
『うむ、構わぬぞ。1-2から1-5まで賃貸可能じゃ』
「そうなんですね。 ありがとうございます」
『うむ。で、じゃ。いつ頃戻ってくるのじゃ?』
「今友達の女の子と話してるので、終わり次第ですね」
『わかったのじゃ。じゃが、あまり遅くならぬようにの。遅くなると天狗を派遣するからのぅ』
「はーい」
天狐地区の一丁目は直接うちが管理しているので、お母様が了承すれば問題ない。
この辺りは面倒な手続きいらずなのである。
ちなみに伏見区という場所もうちの管理である。
「おでんわおわったー?」
「おわったよー」
「じゃああそぼあそぼー」
「仕方ないなー」
瑞奈ちゃんはボクの胸に頭をぐりぐりと押し付けてくる。とても人懐っこくてかわいい。
「瑞奈がすごく懐いてるし」
「なんかわからないけど気に入られてる?」
「瑞奈がここまでべったりになるのは私くらいだし」
妖種幼稚園ではよく押しつぶされていたので、人見知りというイメージはないけどな。
「人見知りってわけじゃないんでしょ?」
「うん。でも自分から寄っていくことはあまりないし」
「へぇ~。でもいきなりお尻に突撃されたんだけど……」
「あぁ、それはお気に入りの子によくやる親愛の挨拶だし」
「そうなの?」
どうやらボクは、瑞奈ちゃんに気に入られてるようだった。
「もー。おねーちゃんとばっかり話してちゃやーなのー! あたしともはなすのー」
「あ、ごめんね。何話そうか」
「うんとね~、くれはちゃんのことと~、あっ、おうちみてみたーい」
「え? おうち? うんまぁいいけど」
「やったー!!」
「なんかごめんだし。こら瑞奈、あまり無理言っちゃだめだし」
「むりじゃないもん。くれはちゃんやさしーの」
「構わないよ。それじゃあ、みんなでうちに行こうか」
「はーい」
「わかったし」
こうして、ボクたちはボクの家に向かって歩くことになった。
「手、つないでー」
「はいはい」
「しょうがないし」
真ん中に瑞奈ちゃんを挟んで、ボクたちは三人で手を繋いだ。
田舎? 江戸時代みたいな街並み?
まぁ何にしても、古い、田舎というイメージがあるかもしれない。
でも実際はに現代日本と変わらない街並みが広がっている。
まぁ自然が多いという点と一部別のテクノロジーが使われていることを除けば。
でもやっぱり一番大きな違いといえば、人口が少ない点だろうか。
地球人類は八十億人近くの人口があり、プラスアルファで妖種が追加される程度となっている。
対して、妖精郷といえば大きな街程度の人口しかいなかったりする。
人口の八割が妖種であり、一割未満が人間種、そして残りが神族と本当に少数の異世界人となっている。
ちなみに、妖精郷に迷い込んだ異世界人は送り返すか、保護する対象になっている。
ただの異世界人が迷い込むには、妖精郷は危ない場所なのだ。
そんな妖精郷の街をボクは歩く。
妖精郷の電気は再生可能エネルギーとお父様たち高位次元からやってきた存在たちの残したエネルギー生成装置から供給されている。
火力発電等は使われておらず空気はきれいだが、これは何も自然環境に配慮したとか汚染しないためというわけではない。
単純に、妖種や神族が自然から受け取れるエネルギーがあるので多く残しているにすぎない。
まぁそうでなくとも、広い土地のわりに人口が少ないので、たくさん開拓する必要がないだけとも言えるんだけど。
「相変わらず森が多いなー。山もちらほらあるから動物は多いけど見渡しにくいというか……」
その光景は発展した街並みの田舎とでもいうべきだろうか。でも一応東京くらい発展してはいるんだよ?
そんなことを考えながら歩いていると、何かがボクのお尻にぶつかった。
「ん? なんだろ? うひゃぁ」
後ろを振り向こうとした途端、お尻に何かが挟まってもぞもぞと動く。
何が起きてるの!?
「こはくちゃんだー! もふもふー」
「ふぇ? だれ!?」
慌ててお尻のほうを見ると、そこには小さな妖狐の女の子が埋まっていた。
「あっ、この前の幼稚園の子」
「ふふー、おさんぽしててよかったー」
「いやいや、ちっちゃい子が一人で歩いてたら危ないよ? 車も通るし」
「ちっちゃくないよ~」
「あっ、ごめん。おうち近くなの?」
いまだにニコニコしながらくっついている女の子の頭をなでながら、ボクは聞いてみた。
「えっとねー、おうちはあっちー」
「えーっと、あっちっていうと……」
女の子の指さした方向を見ると、大きな鳥居が見える。
あそこには大きめの神社があったはずだ。
「あの鳥居のところ?」
「うん~、おじーちゃんちー」
「へぇ~。お父さんとお母さんのうちは?」
「えっとね~、にんげんのせかい? ってとこにあるんだって~。きょうはおねえちゃんときたのー」
「へぇ~。あれ? でも幼稚園はこっちだよね?」
ボクの記憶違いでなければ、妖種幼稚園で出会っているはず。
「うん~。おじーちゃんにおくってもらってるのー」
「へぇ~」
どうやら行き来しながら通園しているらしい。
「ん~」
ぐりぐりとボクに頭を押し付けてくる妖狐の女の子をじっくり見てみると、金髪であることがわかる。
金髪系の妖狐はそんなに数が多くないのである程度限られてくる。時点で少ないのが銀髪系だ。
黒系茶系白系は比較的数が多く、結構見かけることがある。
ただ、妖狐以外だと白い毛の妖種は数が少ないため、見かけることはあまりない。
特に白い烏天狗はものすっごく貴重だ。
「瑞奈、一人でどこか行っちゃだめだし」
ボクが女の子の頭をなでていると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「あっ、おねーちゃん」
「おねえちゃん?」
「「あっ」」
女の子が振り向いた方向を見てみると、そこには見知った子が立っていた。
「ゆずはちゃん」
「暮葉ちゃん」
「おねーちゃん、ともだちー?」
「うん、大事な友達だし」
まさかゆずはちゃんの妹とは思わなかった。
「ゆずはちゃんは今日は何してるの?」
近くのベンチに三人で座る。
ボクの隣にはゆずはちゃん、そしてボクの膝の上には瑞奈ちゃんがいる。
「今日は瑞奈と遊んでるし。それにしてもまさかここで暮葉ちゃんに会うなんて思わなかったし」
「それはボクも思うよ。普段ずっとあっちにいると思ってたから」
ゆずはちゃんとあかりちゃんは人間界に住んでいる。
なので大体あっちにいると思っていたから、ここでアウトは予想していなかった。
「今度、こっちにも家を持つことになったし」
「そうなの?」
「ちなみにあかりの家族も一緒だし」
「あ、そうなんだ」
ゆずはちゃんとあかりちゃん、そしてえりなちゃんの三人は非常に仲がいい。
特に、今後すれ違う可能性のあるえりなちゃんは、二人のことをとてもよく理解しているようだった。
「あかりちゃんは今日は?」
「あかりは今日は寝てるし」
あかりちゃんの日常はとても気になる。
「へぇ~。ところでこっちではどこに家を持つの?」
ご近所さんってわけじゃないけど、ちょっと気になるので聞いてみた。
「場所はまだ決まってないって言ってたし。いい場所ない?」
「いい場所かぁ。一応空いてる場所は知ってるけど」
「どこだし」
「稲荷区天狐1-2の区画」
稲荷区天狐というのは、稲荷区の天狐が支配している領域という意味がある。
1-1がうちなので、1-2はお隣ということになる。
でもお隣とはいっても、かなり距離はあるのだが。
「ちょっと聞いてみるし。あ、お父さん? うん、友達から聞いたけど、土地が空いてる場所あるらしいし。そう」
さっそくゆずはちゃんが家族に連絡を取っている。
「暮葉ちゃん、ありがとうだし」
「いいよいいよ。聞きに行くときはボクから聞いたって言ってね」
「わかったし」
一応お母様にも連絡を入れておこう。天狐地区はうちが管理してるから、連絡しておけば問題ないはずだ。
肩掛けカバンからスマホを取り出し、お母様の番号にかける。
お母様は忙しくなければ出てくれるはずだ。
「こはくちゃん、おでんわー?」
「そうだよー? あ、Vtuberの時以外は暮葉でいいよ」
「わかったー」
プルルルル、ガチャ
『暮葉ちゃん、どうしたの?』
ワンコールでお母様が出た。
「あ、お母様? 妖狐の友達が妖精郷で住む土地探してるらしくてですね」
『ふむふむ』
「稲荷区天狐1-2を紹介したんですけど、大丈夫ですよね?」
『うむ、構わぬぞ。1-2から1-5まで賃貸可能じゃ』
「そうなんですね。 ありがとうございます」
『うむ。で、じゃ。いつ頃戻ってくるのじゃ?』
「今友達の女の子と話してるので、終わり次第ですね」
『わかったのじゃ。じゃが、あまり遅くならぬようにの。遅くなると天狗を派遣するからのぅ』
「はーい」
天狐地区の一丁目は直接うちが管理しているので、お母様が了承すれば問題ない。
この辺りは面倒な手続きいらずなのである。
ちなみに伏見区という場所もうちの管理である。
「おでんわおわったー?」
「おわったよー」
「じゃああそぼあそぼー」
「仕方ないなー」
瑞奈ちゃんはボクの胸に頭をぐりぐりと押し付けてくる。とても人懐っこくてかわいい。
「瑞奈がすごく懐いてるし」
「なんかわからないけど気に入られてる?」
「瑞奈がここまでべったりになるのは私くらいだし」
妖種幼稚園ではよく押しつぶされていたので、人見知りというイメージはないけどな。
「人見知りってわけじゃないんでしょ?」
「うん。でも自分から寄っていくことはあまりないし」
「へぇ~。でもいきなりお尻に突撃されたんだけど……」
「あぁ、それはお気に入りの子によくやる親愛の挨拶だし」
「そうなの?」
どうやらボクは、瑞奈ちゃんに気に入られてるようだった。
「もー。おねーちゃんとばっかり話してちゃやーなのー! あたしともはなすのー」
「あ、ごめんね。何話そうか」
「うんとね~、くれはちゃんのことと~、あっ、おうちみてみたーい」
「え? おうち? うんまぁいいけど」
「やったー!!」
「なんかごめんだし。こら瑞奈、あまり無理言っちゃだめだし」
「むりじゃないもん。くれはちゃんやさしーの」
「構わないよ。それじゃあ、みんなでうちに行こうか」
「はーい」
「わかったし」
こうして、ボクたちはボクの家に向かって歩くことになった。
「手、つないでー」
「はいはい」
「しょうがないし」
真ん中に瑞奈ちゃんを挟んで、ボクたちは三人で手を繋いだ。
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