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序④
入部した理由:音来響の場合(1年前)
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「なぁ、お前。美術部に入らないか?」
音来が職員室から出て来ると、クラスメイトの男子に声をかけられた。
どうやら教師の説教が終わるまで、職員室の前で待っていたらしい。
「俺は忙しいんだ。他を当たってくれ」
音来はクラスメイトを睨んだ。肩にかけていたヘッドホンをつけようと、手をかける。
音来にとって、神☆メイの歌声以外の音は雑音だった。他の生徒の話し声も、説教をしてくる教師の声も、「食事中はヘッドホンを外しなさい」と注意してくる親の声も、勧誘してきた彼の声も……できることなら、鼓膜に入れたくなかった。
一分一秒でも神☆メイの歌声を聴いていなければ、音来は正気を失ってしまうだろう。もはや「病気」だった。
しかしクラスメイトの男子は諦めなかった。
「いてくれるだけでいいんだ。絵を描く必要はない。いつものように音楽を聴いていればいい」
「……本当か?」
音来はピタッと手を止めた。
神☆メイを聴くのに忙しいので、部活には入っていない。聴きながらできそうな部はいくつかあったが、いずれも部活を優先させる方針だったので入らなかった。
「あぁ。俺達も好き放題やってるからな。顧問の先生もほとんど来ないし、気楽だぞ」
「……そういうことならいいだろう。俺も美術部に入ってやる」
「お、マジで?」
クラスメイトの男子は嬉しそうに笑った。
「ありがとな、音来。お前のおかげで、廃部にならずに済みそうだ」
「そうか。で、お前誰だっけ?」
クラスメイトの男子は笑顔のまま、カクッと肩を落とした。
「……成宮創介だ。入学して一ヶ月経つのに、まだ覚えてなかったのか?」
「うるせぇ。神☆メイ以外の人間には興味ないんだよ」
「ふーん、大城と気が合いそうだな」
「そいつも知らん」
こうして、音来は美術部への入部を決めた。
音来が職員室から出て来ると、クラスメイトの男子に声をかけられた。
どうやら教師の説教が終わるまで、職員室の前で待っていたらしい。
「俺は忙しいんだ。他を当たってくれ」
音来はクラスメイトを睨んだ。肩にかけていたヘッドホンをつけようと、手をかける。
音来にとって、神☆メイの歌声以外の音は雑音だった。他の生徒の話し声も、説教をしてくる教師の声も、「食事中はヘッドホンを外しなさい」と注意してくる親の声も、勧誘してきた彼の声も……できることなら、鼓膜に入れたくなかった。
一分一秒でも神☆メイの歌声を聴いていなければ、音来は正気を失ってしまうだろう。もはや「病気」だった。
しかしクラスメイトの男子は諦めなかった。
「いてくれるだけでいいんだ。絵を描く必要はない。いつものように音楽を聴いていればいい」
「……本当か?」
音来はピタッと手を止めた。
神☆メイを聴くのに忙しいので、部活には入っていない。聴きながらできそうな部はいくつかあったが、いずれも部活を優先させる方針だったので入らなかった。
「あぁ。俺達も好き放題やってるからな。顧問の先生もほとんど来ないし、気楽だぞ」
「……そういうことならいいだろう。俺も美術部に入ってやる」
「お、マジで?」
クラスメイトの男子は嬉しそうに笑った。
「ありがとな、音来。お前のおかげで、廃部にならずに済みそうだ」
「そうか。で、お前誰だっけ?」
クラスメイトの男子は笑顔のまま、カクッと肩を落とした。
「……成宮創介だ。入学して一ヶ月経つのに、まだ覚えてなかったのか?」
「うるせぇ。神☆メイ以外の人間には興味ないんだよ」
「ふーん、大城と気が合いそうだな」
「そいつも知らん」
こうして、音来は美術部への入部を決めた。
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