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悪夢薔薇色 第三話『こだわりの青』
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講義が終わり、帰ろうとした矢先、青海泥の前から真っ赤なドレスをまとった美女が歩いてきた。
「あの人、めっちゃ美人じゃん! モデルか女優?」
美女の美しさに、テンションが上がる。
それだけに、彼女の服が赤一色だったのは残念でならなかった。
「ドレスが青かったら最高だったのになー。全身赤とか、担当したスタイリストダサすぎ」
そのまま美女とすれ違うかと思いきや、美女は真っ直ぐ青海泥のもとへ歩いてきた。
「え? なになに? 俺の魅力に気づいちゃった的な? 俺、見つけられちゃった的な?」
ドキドキしながら美女を待つ。
とうとう美女は青海泥の目の前まで来ると立ち止まり、おもむろに口を開いた。
「コーヒー、好き?」
「へ?」
予想していなかった問いに、青海泥は一瞬ぽかんと口を開く。
しばらくして、その問いが「私と一緒にお茶しませんか?」という誘い文句だと分かった。
「は、はい! もちろん!」
赤面しつつ、頷く。
今まで数え切れぬほどお茶に誘われてきたが、ここまでドキドキしたのは初めてだった。
「じゃあ、これ飲んで」
すると美女はどこからかカップを取り出し、青海泥に差し出した。
澄みきった色合いの青いカップに、毒々しいほど真っ青な液体が溜まっていた。青海泥は恐々と両手で受け取った。
「これ……何?」
「コーヒー」
「コーヒー? これが? こんなに青いのに?」
美女は頷く。
青海泥は疑いつつ。青色の液体の匂いを嗅いでみる。たしかに、液体からはコーヒーらしき香ばしい匂いがした。
「い、いただきます」
半信半疑で飲み干す。
直後、
「うぇぇ」
と吐き出した。
青色のコーヒーは香りこそコーヒーだったが、味は全くしなかった。例えるなら、絵の具を溶かして作った色水のような味だった。
「あの人、めっちゃ美人じゃん! モデルか女優?」
美女の美しさに、テンションが上がる。
それだけに、彼女の服が赤一色だったのは残念でならなかった。
「ドレスが青かったら最高だったのになー。全身赤とか、担当したスタイリストダサすぎ」
そのまま美女とすれ違うかと思いきや、美女は真っ直ぐ青海泥のもとへ歩いてきた。
「え? なになに? 俺の魅力に気づいちゃった的な? 俺、見つけられちゃった的な?」
ドキドキしながら美女を待つ。
とうとう美女は青海泥の目の前まで来ると立ち止まり、おもむろに口を開いた。
「コーヒー、好き?」
「へ?」
予想していなかった問いに、青海泥は一瞬ぽかんと口を開く。
しばらくして、その問いが「私と一緒にお茶しませんか?」という誘い文句だと分かった。
「は、はい! もちろん!」
赤面しつつ、頷く。
今まで数え切れぬほどお茶に誘われてきたが、ここまでドキドキしたのは初めてだった。
「じゃあ、これ飲んで」
すると美女はどこからかカップを取り出し、青海泥に差し出した。
澄みきった色合いの青いカップに、毒々しいほど真っ青な液体が溜まっていた。青海泥は恐々と両手で受け取った。
「これ……何?」
「コーヒー」
「コーヒー? これが? こんなに青いのに?」
美女は頷く。
青海泥は疑いつつ。青色の液体の匂いを嗅いでみる。たしかに、液体からはコーヒーらしき香ばしい匂いがした。
「い、いただきます」
半信半疑で飲み干す。
直後、
「うぇぇ」
と吐き出した。
青色のコーヒーは香りこそコーヒーだったが、味は全くしなかった。例えるなら、絵の具を溶かして作った色水のような味だった。
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