133 / 227
悪夢薔薇色 第二話『黒薔薇の棺』
2
しおりを挟む
美匣が死を心待ちにしていると、「ドサッ」と柩の上に何かが腰を下ろした。
屋敷で働く使用人は皆、解雇した。今、屋敷には美匣しかいないはずだった。
「ちょっと、誰! 私の上に座っている無礼者は!」
美匣が中から拳で叩くと、上に載っていた何かがレンガの床へ降り、美匣がいる柩のフタを開いた。
「ちょっと、貴方ねぇ……!」
美匣は起き上がって早々、犯人に文句を言おうとした。
しかし犯人の姿を目にした瞬間、あんぐりと口を開いたまま、硬直した。
柩のフタを手に立っていたのは、人形と見紛うほどの美貌を持つ、真っ赤なドレスの女性だった。感情のない瞳で美匣を見つめてくる。
美匣は恥ずかしくなり、思わず視線をそらした。
「な、何の用?! 泥棒なら、屋敷へどうぞ! 鍵なら開いてるわ!」
「……死にたい?」
女性は小首を傾げ、尋ねた。
「死にたいなら、殺してあげましょうか?」
「……え」
突然の訪問者に尋ねられ、美匣は困惑する。
てっきり彼女は泥棒だとばかり思っていたが、実は猟奇的な殺人鬼だったのかもしれない。
美匣は一瞬、恐ろしくなったが、すぐに「こんな美しい人に殺されるなんて、素敵じゃない?」
と開き直った。
「えぇ、お願いするわ。とびっきり美しくね」
屋敷で働く使用人は皆、解雇した。今、屋敷には美匣しかいないはずだった。
「ちょっと、誰! 私の上に座っている無礼者は!」
美匣が中から拳で叩くと、上に載っていた何かがレンガの床へ降り、美匣がいる柩のフタを開いた。
「ちょっと、貴方ねぇ……!」
美匣は起き上がって早々、犯人に文句を言おうとした。
しかし犯人の姿を目にした瞬間、あんぐりと口を開いたまま、硬直した。
柩のフタを手に立っていたのは、人形と見紛うほどの美貌を持つ、真っ赤なドレスの女性だった。感情のない瞳で美匣を見つめてくる。
美匣は恥ずかしくなり、思わず視線をそらした。
「な、何の用?! 泥棒なら、屋敷へどうぞ! 鍵なら開いてるわ!」
「……死にたい?」
女性は小首を傾げ、尋ねた。
「死にたいなら、殺してあげましょうか?」
「……え」
突然の訪問者に尋ねられ、美匣は困惑する。
てっきり彼女は泥棒だとばかり思っていたが、実は猟奇的な殺人鬼だったのかもしれない。
美匣は一瞬、恐ろしくなったが、すぐに「こんな美しい人に殺されるなんて、素敵じゃない?」
と開き直った。
「えぇ、お願いするわ。とびっきり美しくね」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
続・骸行進(裏怪談)
メカ
ホラー
本作で語る話は、前作「骸行進」の中で
訳あって語るのを先送りにしたり、語られずに終わった話の数々である。
前作に引き続き、私の経験談や知り合い談をお話しましょう・・・。
また、前作では語られなかった「仲間たち」の話も・・・是非お楽しみください。
ノスタルジック;メトリー ①帯付く村
臂りき
ホラー
高校生最後の冬、彼女に思いの丈を打ち明けるはずだった僕は死んだ。
約束の場所に向かう途中に遭遇した未知の存在との接触後、肉体を失った僕は彼女の守護に徹することに決めた。
しかし、元より内に熱いものを秘めた彼女を見守ることは容易ではなかった。
彼女の趣味である小旅行もとい「廃墟・心霊・パワスポ巡り」には何故かいつも不可思議な現象が付きまとう。
やがてそのどれもが僕の「死」と無関係ではないことを二人は知ることになる。
【探索メイン、稀に戦闘有り】
【やるべきことは二つ。 何より彼女のことを見守ること。あわよくば失った肉体を取り戻すこと】
※作中に登場する人物、地名は実在するものとほとんど関係ありません。安心してお読みください。
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
神龍族怪綺譚
ヨルシロ
ホラー
東の果て、日ノ本国には神龍族という竜の頂点に立つ神々がいる。
これはそんな一柱の話。
主な登場人物の紹介はこちら→https://www.pixiv.net/artworks/95458026
【完結】ハッピーエンドのその後は・・・?
夜船 紡
恋愛
婚約者のいるアイザックに惹かれ、秘密の愛を育んでいたクリスティーヌ。
ある日、アイザックはクリスティーヌと生きることを決意し、婚約者であるイザベラに婚約破棄を叩きつけた。
障害がなくなった2人は結婚し、ハッピーエンド。
これは、ハッピーエンドの後の10年後の話。
物語の終わりが本当に幸せなのだという保証は、どこにもない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる