悪夢症候群

緋色刹那

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クローズドアパート 第三話『悲劇のプリンセス』

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 花城は優一に近づくため、彼には内緒で調べた。
 その結果、花城は一度結婚しており、死別した妻の連れ子と共に二人で暮らしているということが発覚してしまった。二人の幸せいっぱいな生活に、血の繋がりのない連れ子は必要なかった。
「夜宵夢花……この子さえいなければ、優一さんは私の王子様になってくれる……!」
 花城は書類に書かれた「夢花」の文字を憎らしそうに睨み、爪を立てて引っ掻いた。

 翌朝、花城は会社ではなく、優一と連れ子が住んでいる「夢見荘」というアパートの前に来ていた。優一にバレないようレンタカーを借り、サングラスとマスクで顔を隠し、長い黒髪のカツラを被り、ダボっとしたコートで体型を隠した。
 座席の下で果物ナイフを握ったまま、アパートから出てくる人物の顔を一人一人確認していく。夢花が登校するにはまだ時間が早かったが、人がアパートから出てくるたびに、ナイフを握る手に力がこもった。
(早く……早く出て来なさい。私がこの手で、貴方を"消して"あげるから)

 その時、優一がアパートから出て来た。優一は花城がすぐ近くにいるとも気づかず、会社を目指して去っていく。
 花城は声をかけたい気持ちを抑え、優一のたくましい背中を見送った。
(優一さん、なんて凛々しい姿なの……! 私に気づいてくれなかったのはちょっぴり残念だったけど、通勤中の優一さんの姿をじっくり見られるなんて、最高だわ!)
 花城はあまりに興奮し過ぎて、優一の後からアパートの外へ出て来た人物を見逃していた。
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