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ミッドデイアパート 第四話『不屈の盗撮魔』
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「いってきまーす!」
「いってらっしゃい、夢花ちゃん」
数日後、夢花はゴミ捨て場の前で歩夢と別れ、学校に向かった。
朝の街は澄んだ空気に満ち、清々しかった……奴が現れるまでは。
夢花が大通りを歩いていると、背後から視線を感じた。
朝は人通りが多く、誰かの視線を感じることは何ら不思議なことではない。しかしその視線は、ゆっくりと夢花の背中に近づいてきているような気がした。
(何だろう……背筋がぞわぞわする)
あまりの気持ち悪さに、夢花はたまらず振り返った。
すると数メートル後方から車椅子に乗った目崎が迫っていた。
「ひっ?!」
「お嬢ちゃん、探したよ……やっと見つけた」
目崎は鼻をひくつかせ、不気味にニヤリと笑う。服は病院から支給された寝巻きのままで、乗っている車椅子にも病院の名前が大きく書かれていた。
「何でここにいるの?! 警察に捕まったはずなのに!」
夢花は恐怖で足がすくみかけながらも、アパートへ引き返そうと横道に駆け込む。
「今度は逃がさないよ、お嬢ちゃん」
目崎も夢花を追って、細い路地に入ってきた。両手で力強く車輪を漕ぎ、成人男性が走る速度と変わらないスピードで追いかけてくる。
「僕と一緒に逃げよう……誰もいない町で、ひっそりと二人っきりで暮らすんだ……!」
「無理ッ! 一人で死ねッ!」
夢花の頭の中は目崎への殺意でいっぱいだったが、昼間の彼女は何の能力も持たない、無力な女子中学生だった。
「いってらっしゃい、夢花ちゃん」
数日後、夢花はゴミ捨て場の前で歩夢と別れ、学校に向かった。
朝の街は澄んだ空気に満ち、清々しかった……奴が現れるまでは。
夢花が大通りを歩いていると、背後から視線を感じた。
朝は人通りが多く、誰かの視線を感じることは何ら不思議なことではない。しかしその視線は、ゆっくりと夢花の背中に近づいてきているような気がした。
(何だろう……背筋がぞわぞわする)
あまりの気持ち悪さに、夢花はたまらず振り返った。
すると数メートル後方から車椅子に乗った目崎が迫っていた。
「ひっ?!」
「お嬢ちゃん、探したよ……やっと見つけた」
目崎は鼻をひくつかせ、不気味にニヤリと笑う。服は病院から支給された寝巻きのままで、乗っている車椅子にも病院の名前が大きく書かれていた。
「何でここにいるの?! 警察に捕まったはずなのに!」
夢花は恐怖で足がすくみかけながらも、アパートへ引き返そうと横道に駆け込む。
「今度は逃がさないよ、お嬢ちゃん」
目崎も夢花を追って、細い路地に入ってきた。両手で力強く車輪を漕ぎ、成人男性が走る速度と変わらないスピードで追いかけてくる。
「僕と一緒に逃げよう……誰もいない町で、ひっそりと二人っきりで暮らすんだ……!」
「無理ッ! 一人で死ねッ!」
夢花の頭の中は目崎への殺意でいっぱいだったが、昼間の彼女は何の能力も持たない、無力な女子中学生だった。
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