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ミッドデイアパート 第四話『不屈の盗撮魔』
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一方、目崎は歩夢と夢花の会話に耳を澄ませていた。
二人の素性や自分が置かれている状況を把握するためではない。夢花がいる場所を探るためだった。
「見つけたよ、お嬢ちゃん! さぁ、僕と一緒においで!」
目崎は聞こえてきた夢花の声を頼りに、真っ直ぐ向かって来た。目が見えない恐怖よりも、夢花を手に入れたいという欲の方が優っていた。
「ぎゃーッ! こっち来ないで!」
これには流石の夢花も青ざめ、悲鳴を上げた。咄嗟に歩夢の背後へ隠れる。
「……目玉を潰しても来るなんて、懲りない人だな」
歩夢は鬱陶しそうに目崎を睨むと、右手の親指と人差し指を立て、銃を撃つポーズを作った。そして向かってくる彼の右足に、人差し指の銃口を向けた。
「バンッ」
「うわっ」
歩夢が唱えた瞬間、目崎の右足は彼の両目同様、風船が割れるように爆ぜた。右足を失ったことで目崎は走れなくなり、夢花の元へたどり着く前に地面へ倒れた。
歩夢は続け様に目崎の両耳も撃ち抜き、視覚に続いて聴覚をも奪った。
「これでもう盗撮なんて出来ないよ」
「き、キモかった……」
その後、歩夢が警察に通報し、目崎は逮捕された。彼は今までにも幾度となく盗撮を繰り返しており、既に何度も刑務所に送られていた。
目崎は悪夢による原因不明の失明と失聴、両足の神経断裂を負ったことにより、警察病院へ移送されることとなった。今後は治療を進めつつ、罪を償うことになるだろう。
しかし……彼はまだ、夢花を諦めてはいなかった。
二人の素性や自分が置かれている状況を把握するためではない。夢花がいる場所を探るためだった。
「見つけたよ、お嬢ちゃん! さぁ、僕と一緒においで!」
目崎は聞こえてきた夢花の声を頼りに、真っ直ぐ向かって来た。目が見えない恐怖よりも、夢花を手に入れたいという欲の方が優っていた。
「ぎゃーッ! こっち来ないで!」
これには流石の夢花も青ざめ、悲鳴を上げた。咄嗟に歩夢の背後へ隠れる。
「……目玉を潰しても来るなんて、懲りない人だな」
歩夢は鬱陶しそうに目崎を睨むと、右手の親指と人差し指を立て、銃を撃つポーズを作った。そして向かってくる彼の右足に、人差し指の銃口を向けた。
「バンッ」
「うわっ」
歩夢が唱えた瞬間、目崎の右足は彼の両目同様、風船が割れるように爆ぜた。右足を失ったことで目崎は走れなくなり、夢花の元へたどり着く前に地面へ倒れた。
歩夢は続け様に目崎の両耳も撃ち抜き、視覚に続いて聴覚をも奪った。
「これでもう盗撮なんて出来ないよ」
「き、キモかった……」
その後、歩夢が警察に通報し、目崎は逮捕された。彼は今までにも幾度となく盗撮を繰り返しており、既に何度も刑務所に送られていた。
目崎は悪夢による原因不明の失明と失聴、両足の神経断裂を負ったことにより、警察病院へ移送されることとなった。今後は治療を進めつつ、罪を償うことになるだろう。
しかし……彼はまだ、夢花を諦めてはいなかった。
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