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ミッドデイアパート 第三話『金喰いレジスター』
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午後のコンビニは閑散としていた。
アルバイトのヨウヘイは客がいないのをいいことに、気の抜けた顔でぼーっとしながらレジに立っている。まるで日向ぼっこをしているブルドックのようだった。
店内を掃除していた女性店員は、彼を見かねて注意した。
「ちょっとヨウヘイ君、暇なら品出ししてくれない?」
「んあー? 何で俺がそんなことしなきゃなんないんですかー? 俺、レジ担当なんですけどー。担当外の仕事を押しつけるんなら、店長とオーナーに言いつけて、辞めさせますよー。もしくは、俺がこの場でアンタを成敗してあげましょうかー?」
ヨウヘイはアゴの下の肉をプルプルさせ、肉に埋もれた瞳で女性店員を睨んだ。蟻の瞳のようにつぶらな瞳だったが、その目は明らかに女性店員に殺意を抱いていた。
店内には、ヨウヘイと彼女の他には誰もいない。もしヨウヘイが激昂し、殴りかかってきたとしても、女性店員には身を守れる手段はなかった。
「……もういいわ。私がやるから」
女性店員はヨウヘイにやらせるのを諦め、モップを動かす手を早めた。
ヨウヘイはその様子をレジから遠巻きに眺めながら、全身の肉を震わせ、愉快そうに笑った。
「すんませんねぇ。俺、こう見えて虚弱体質なんで」
ヨウヘイは女性店員が自分に逆らえないことを分かっていた。
同様に、コンビニの店長とオーナーも自分には逆らえないことを知っていた。もし、彼女が「ヨウヘイから脅された」と店長かオーナーに告げ口したとしても、辞めさせられるわけがない……何故なら、ヨウヘイの父親がこのコンビニのオーナーだからだ。
「コンビニのアルバイトも悪くねぇなぁ」
ヨウヘイはアゴの下の肉をつかみ、自分が強者になった悦びに浸った。
アルバイトのヨウヘイは客がいないのをいいことに、気の抜けた顔でぼーっとしながらレジに立っている。まるで日向ぼっこをしているブルドックのようだった。
店内を掃除していた女性店員は、彼を見かねて注意した。
「ちょっとヨウヘイ君、暇なら品出ししてくれない?」
「んあー? 何で俺がそんなことしなきゃなんないんですかー? 俺、レジ担当なんですけどー。担当外の仕事を押しつけるんなら、店長とオーナーに言いつけて、辞めさせますよー。もしくは、俺がこの場でアンタを成敗してあげましょうかー?」
ヨウヘイはアゴの下の肉をプルプルさせ、肉に埋もれた瞳で女性店員を睨んだ。蟻の瞳のようにつぶらな瞳だったが、その目は明らかに女性店員に殺意を抱いていた。
店内には、ヨウヘイと彼女の他には誰もいない。もしヨウヘイが激昂し、殴りかかってきたとしても、女性店員には身を守れる手段はなかった。
「……もういいわ。私がやるから」
女性店員はヨウヘイにやらせるのを諦め、モップを動かす手を早めた。
ヨウヘイはその様子をレジから遠巻きに眺めながら、全身の肉を震わせ、愉快そうに笑った。
「すんませんねぇ。俺、こう見えて虚弱体質なんで」
ヨウヘイは女性店員が自分に逆らえないことを分かっていた。
同様に、コンビニの店長とオーナーも自分には逆らえないことを知っていた。もし、彼女が「ヨウヘイから脅された」と店長かオーナーに告げ口したとしても、辞めさせられるわけがない……何故なら、ヨウヘイの父親がこのコンビニのオーナーだからだ。
「コンビニのアルバイトも悪くねぇなぁ」
ヨウヘイはアゴの下の肉をつかみ、自分が強者になった悦びに浸った。
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