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悪夢曇天色 第一話『嵐の悪夢』
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学校が終わり、帰宅し、夜になると眠りにつく。
そして気がつくと、またも野々原は曇天が広がる荒野に立っていた。
今日はコンクリート造の雑居ビルが荒野の真ん中にぽつんと建っていたが、野々原はそこへ逃げ込む前に、雷に打たれて死んだ。
即死だったので前夜ほど苦しまずに済んだが、脳天が焼けつくように痛かった。
「っ! はぁっ、はぁっ……」
目を覚ますと、野々原はベッドの上で膝を立てて座り、自ら壁へ頭を打ちつけていた。寝ている相田に体が勝手に動いていたらしい。悪夢から覚めても、打ちつけていた脳天がヒリヒリと痛んだ。
野々原は自分が何をやっていたのか理解すると「ひっ?!」と悲鳴を上げ、壁から離れた。
「……私、何やってるんだろう」
野々原は自分の不甲斐なさに涙がこぼれた。
クラスメイトからいびられるのも、悪夢を見るのも、現実でも変調を来しているのも、全て自分が弱いせいだと、野々原は思い悩んでいた。
(……変わりたい。胸を張って、堂々と前を向けるような人間に)
外はまだ暗く、静まり返っていた。
野々原は明日の授業に備えるため、再び眠りについた。
また悪夢を見るかもしれない、と怯えながら……。
悪夢曇天色 第一話『嵐の悪夢』終わり
そして気がつくと、またも野々原は曇天が広がる荒野に立っていた。
今日はコンクリート造の雑居ビルが荒野の真ん中にぽつんと建っていたが、野々原はそこへ逃げ込む前に、雷に打たれて死んだ。
即死だったので前夜ほど苦しまずに済んだが、脳天が焼けつくように痛かった。
「っ! はぁっ、はぁっ……」
目を覚ますと、野々原はベッドの上で膝を立てて座り、自ら壁へ頭を打ちつけていた。寝ている相田に体が勝手に動いていたらしい。悪夢から覚めても、打ちつけていた脳天がヒリヒリと痛んだ。
野々原は自分が何をやっていたのか理解すると「ひっ?!」と悲鳴を上げ、壁から離れた。
「……私、何やってるんだろう」
野々原は自分の不甲斐なさに涙がこぼれた。
クラスメイトからいびられるのも、悪夢を見るのも、現実でも変調を来しているのも、全て自分が弱いせいだと、野々原は思い悩んでいた。
(……変わりたい。胸を張って、堂々と前を向けるような人間に)
外はまだ暗く、静まり返っていた。
野々原は明日の授業に備えるため、再び眠りについた。
また悪夢を見るかもしれない、と怯えながら……。
悪夢曇天色 第一話『嵐の悪夢』終わり
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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