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最終編『蛍火明滅、〈探し人〉のゆく先』
あとがき
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コディアック緋熊あらため、緋色刹那です。
このページはあとがきです。ネタバレはあんまりしてないですが、本編を読まれてからのほうが楽しめると思います。
「心の落とし物」、完結しました!
連載年数、4年3ヶ月。総文字数、約51万字。こんなに続けるとは思っていなかったです。
完結に伴い、備忘録を兼ねて「心の落とし物」に関する思い出や今後についてまとめていこうと思います。
〈書こうと思ったきっかけ〉
元は、ほっこりじんわり大賞用に書き下ろした短編でした。開催時期が夏だったので、LAMPも夏スタートになりました。
放浪ものや探偵ものなど、設定に悩みながらも、流行りの喫茶店ものを選択。別で考えていた喫茶店の話をベースに、〈心の落とし物〉や〈探し人〉などの設定を組み合わせました。この時点では〈未練溜まり〉や〈分け御霊〉は存在していません。
夏編を書き上げた段階で、「他の季節も書こう!」と思いつき、春編まで続けることにしました。春編の次が最終編で、そこで完結にする予定でした。
ところが、春編執筆時に参加したライト文芸大賞で奨励賞をいただいてしまいました。
三年書き続け、何度も賞に参加しては落選したアルファポリスで、初めての評価。嬉しさから、「もう一年やるか!」と二年目に突入します。
話を伸ばすため、昔考えたキャラクター・渡来屋を登場させました。かなり思い入れのあるキャラだったので、ここで使っていいものか悩みましたが、マンネリを防ぐためにもインパクトが欲しいと採用。
その甲斐あってか、翌年のライト文芸大賞でも奨励賞をいただきました。連続かつ、同タイトルで入選というのはなかなか無いのでは? 密かに自慢です。
〈洋燈町の舞台〉
モデルにした場所はあります。最終編ではその場所を走っていた路面電車や商店街の歴史について、ずいぶん調べました。
どこかはナイショですが、先日、その街の大通りで試験的に歩行者天国が始まったそうです。さながら本作に登場した大通り蚤の市のようで、「おっ!」と嬉しく思いました。
〈「心の落とし物」の効果〉
客観的な評価とは別に、「心の落とし物」を書き始めたことで、意外なメリットを得られました。
⑴流行りに興味を持つようになった
以前の私は「流行りなんぞに流されてたまるか(`・ω・´)」というサムライタイプだったのですが、本作を書くにあたって、流行りのものを取り入れていく必要がありました。
それまで興味がなかった流行りの食べ物や文化など、「これは」と思ったものはメモし、詳しく調査。作中に登場させました。
特に大変だったのは金継ぎ。実際に体験できれば良かったのですが、近くにそういう場がなく、想像とネットの情報で補いました。いつか体験してみたいです。
⑵書いているだけで癒された
「心の落とし物」のテーマのひとつが「癒し」でした。読むだけで喫茶店に行ったような癒しを提供できればと。なので、不快や嫌悪のような描写は極力なくし、悪人も登場させませんでした。
そういう描写がほとんどないせいでしょうか、書いていても不快ではなく、むしろ書く前より気分が良かったです。
⑶こういうタイプの話が得意なんだなと気付けた
「心の落とし物」を書くまで、こういう社会人ほのぼの系を書いたことがありませんでしたし、向いているとも思っていませんでした。奨励賞を二度いただいたのもあり、一つ自信につながりました。
〈完結させた理由〉
これだけ思い入れがあるにもかかわらず、今回完結するに至ったのは、いくつか理由があります。いつまでも書いていたいけど、ずっとは無理だなと実感しました。
⑴ネタ切れ
落とし物ネタは無限にあります。キャラクターのネタもたくさんあります。
にもかかわらず、ネタが被ったことがありました。夏編①第三話「タカラモノの人形」と、春編③第二話「世界にひとつもない人形」です。
モチーフを含め、話に類似点が多い。わざと似せたならまだしも、似ていることにすら気付けなかった。それがショックで「そろそろ終わらせないといけないのかも」と考え始めるキッカケになりました。
⑵メンタルの維持が難しい
「心の落とし物」を書くには、メンタルの攻撃力と守備力をゼロにする必要があります。優しい世界を書くのに必要なのです。
しかし、そういうときに限って、メンタルをやられる何かが起きます。そのせいで予定通りに話を進行できず、困ったことが何度かありました。「夏の話は夏、秋の話は秋に上げる」という季節縛りを設けていた分、キツかったです。
また、書き終わった後の燃え尽き症候群もしんどかったです。
⑶他の話も書きたい
「心の落とし物」を書いている間、他の話が書けません。メンタル的にも、時間的にも。ネタ出しを含め、一年の半分は「心の落とし物」にかかりきりです。
他の長編も完結させたいし、公募にも出したい。「心の落とし物」の定期更新を続ける限り、それは不可能でした。
〈最終編について〉
いつもとは違い、一年以上かけて連載しました。その理由は、読んでもらえると分かると思います。ヒント:作中と現実の季節はリンクしている(最終編ラストを除く)。
テーマは死。どの話にもなんらかの死が関わっているはずです。
上記にもあるように、最終編の案じたいはだいぶ前に存在していました。
ただし、決まっていたのは、「暗い洋燈商店街」「由良を阻み、追いかける魔女」「由良を導く蛍の黄緑色の光」「懐虫電燈」という断片的なモチーフのみ。渡来屋も、〈未練溜まり〉も、由良の祖母も出てこない、短編でした。それが長期連載を続けたことで、渡来屋が登場し、〈未練溜まり〉が舞台になり、祖母を探す話になりました。
ナナコさんは最終編とは別の没ネタのキャラで、ネタを消化するために出したつもりでした。まさか、メインメンバーになるとは。いずれ彼女のスピンオフを書きたいですね。
余談ですが、最終編を書き始めてすぐ、うちの縁側の下にベラドンナにそっくりの大きなオスの黒猫が現れました。目も、ベラドンナに近い、薄荷色。
縁側の下にいたのはその日きりでしたが、その後も黒猫は近所に出没しました。黒豹のごとく車道を横切っていったり、神社でくつろいでいたり。
おそらくは野良猫だとは思うのですが、私は心の中で勝手に「ベラちゃん」と呼んでいます。
〈今後について〉
最終編を持ちまして、「心の落とし物」は一旦完結です。
また何か書きたくなったら、番外編という形で投稿しようと思います。由良と紅葉谷、結局くっつけてませんしね。その後は結婚して、子供がLAMPで働くはずです。
では。またお目見えする日まで、ご機嫌よう。
2024年10月記
緋色刹那(コディアック緋熊)
このページはあとがきです。ネタバレはあんまりしてないですが、本編を読まれてからのほうが楽しめると思います。
「心の落とし物」、完結しました!
連載年数、4年3ヶ月。総文字数、約51万字。こんなに続けるとは思っていなかったです。
完結に伴い、備忘録を兼ねて「心の落とし物」に関する思い出や今後についてまとめていこうと思います。
〈書こうと思ったきっかけ〉
元は、ほっこりじんわり大賞用に書き下ろした短編でした。開催時期が夏だったので、LAMPも夏スタートになりました。
放浪ものや探偵ものなど、設定に悩みながらも、流行りの喫茶店ものを選択。別で考えていた喫茶店の話をベースに、〈心の落とし物〉や〈探し人〉などの設定を組み合わせました。この時点では〈未練溜まり〉や〈分け御霊〉は存在していません。
夏編を書き上げた段階で、「他の季節も書こう!」と思いつき、春編まで続けることにしました。春編の次が最終編で、そこで完結にする予定でした。
ところが、春編執筆時に参加したライト文芸大賞で奨励賞をいただいてしまいました。
三年書き続け、何度も賞に参加しては落選したアルファポリスで、初めての評価。嬉しさから、「もう一年やるか!」と二年目に突入します。
話を伸ばすため、昔考えたキャラクター・渡来屋を登場させました。かなり思い入れのあるキャラだったので、ここで使っていいものか悩みましたが、マンネリを防ぐためにもインパクトが欲しいと採用。
その甲斐あってか、翌年のライト文芸大賞でも奨励賞をいただきました。連続かつ、同タイトルで入選というのはなかなか無いのでは? 密かに自慢です。
〈洋燈町の舞台〉
モデルにした場所はあります。最終編ではその場所を走っていた路面電車や商店街の歴史について、ずいぶん調べました。
どこかはナイショですが、先日、その街の大通りで試験的に歩行者天国が始まったそうです。さながら本作に登場した大通り蚤の市のようで、「おっ!」と嬉しく思いました。
〈「心の落とし物」の効果〉
客観的な評価とは別に、「心の落とし物」を書き始めたことで、意外なメリットを得られました。
⑴流行りに興味を持つようになった
以前の私は「流行りなんぞに流されてたまるか(`・ω・´)」というサムライタイプだったのですが、本作を書くにあたって、流行りのものを取り入れていく必要がありました。
それまで興味がなかった流行りの食べ物や文化など、「これは」と思ったものはメモし、詳しく調査。作中に登場させました。
特に大変だったのは金継ぎ。実際に体験できれば良かったのですが、近くにそういう場がなく、想像とネットの情報で補いました。いつか体験してみたいです。
⑵書いているだけで癒された
「心の落とし物」のテーマのひとつが「癒し」でした。読むだけで喫茶店に行ったような癒しを提供できればと。なので、不快や嫌悪のような描写は極力なくし、悪人も登場させませんでした。
そういう描写がほとんどないせいでしょうか、書いていても不快ではなく、むしろ書く前より気分が良かったです。
⑶こういうタイプの話が得意なんだなと気付けた
「心の落とし物」を書くまで、こういう社会人ほのぼの系を書いたことがありませんでしたし、向いているとも思っていませんでした。奨励賞を二度いただいたのもあり、一つ自信につながりました。
〈完結させた理由〉
これだけ思い入れがあるにもかかわらず、今回完結するに至ったのは、いくつか理由があります。いつまでも書いていたいけど、ずっとは無理だなと実感しました。
⑴ネタ切れ
落とし物ネタは無限にあります。キャラクターのネタもたくさんあります。
にもかかわらず、ネタが被ったことがありました。夏編①第三話「タカラモノの人形」と、春編③第二話「世界にひとつもない人形」です。
モチーフを含め、話に類似点が多い。わざと似せたならまだしも、似ていることにすら気付けなかった。それがショックで「そろそろ終わらせないといけないのかも」と考え始めるキッカケになりました。
⑵メンタルの維持が難しい
「心の落とし物」を書くには、メンタルの攻撃力と守備力をゼロにする必要があります。優しい世界を書くのに必要なのです。
しかし、そういうときに限って、メンタルをやられる何かが起きます。そのせいで予定通りに話を進行できず、困ったことが何度かありました。「夏の話は夏、秋の話は秋に上げる」という季節縛りを設けていた分、キツかったです。
また、書き終わった後の燃え尽き症候群もしんどかったです。
⑶他の話も書きたい
「心の落とし物」を書いている間、他の話が書けません。メンタル的にも、時間的にも。ネタ出しを含め、一年の半分は「心の落とし物」にかかりきりです。
他の長編も完結させたいし、公募にも出したい。「心の落とし物」の定期更新を続ける限り、それは不可能でした。
〈最終編について〉
いつもとは違い、一年以上かけて連載しました。その理由は、読んでもらえると分かると思います。ヒント:作中と現実の季節はリンクしている(最終編ラストを除く)。
テーマは死。どの話にもなんらかの死が関わっているはずです。
上記にもあるように、最終編の案じたいはだいぶ前に存在していました。
ただし、決まっていたのは、「暗い洋燈商店街」「由良を阻み、追いかける魔女」「由良を導く蛍の黄緑色の光」「懐虫電燈」という断片的なモチーフのみ。渡来屋も、〈未練溜まり〉も、由良の祖母も出てこない、短編でした。それが長期連載を続けたことで、渡来屋が登場し、〈未練溜まり〉が舞台になり、祖母を探す話になりました。
ナナコさんは最終編とは別の没ネタのキャラで、ネタを消化するために出したつもりでした。まさか、メインメンバーになるとは。いずれ彼女のスピンオフを書きたいですね。
余談ですが、最終編を書き始めてすぐ、うちの縁側の下にベラドンナにそっくりの大きなオスの黒猫が現れました。目も、ベラドンナに近い、薄荷色。
縁側の下にいたのはその日きりでしたが、その後も黒猫は近所に出没しました。黒豹のごとく車道を横切っていったり、神社でくつろいでいたり。
おそらくは野良猫だとは思うのですが、私は心の中で勝手に「ベラちゃん」と呼んでいます。
〈今後について〉
最終編を持ちまして、「心の落とし物」は一旦完結です。
また何か書きたくなったら、番外編という形で投稿しようと思います。由良と紅葉谷、結局くっつけてませんしね。その後は結婚して、子供がLAMPで働くはずです。
では。またお目見えする日まで、ご機嫌よう。
2024年10月記
緋色刹那(コディアック緋熊)
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