贄原くんと3匹の鬼

第１１話「術者協会の罠」

目白先生の妖怪講座 第１１回

　私だ、目白だ。
　今回は術者協会について話そうと思う。
　いずれ本編でも話す機会はあるだろうが、予習だと思って聴いていってもらいたい。

『術者協会じゅつしゃきょうかい』
　異形退治のエキスパート、術者が所属している組織。所属していると位ごとに仕事を斡旋してもらえたり、式神を共有できたりする。
　位は一年の成果によって決められ、上位十二人には術者協会の運営に関わる術者協会会議への参加を許可される。彼らは安倍晴明の式神、十二神将じゅうにしんしょうをもじった十二人将と呼ばれ、下位の術者達の羨望と嫉妬の的になっている。
　実力主義とはいえ、ここ十年は上位陣の変動がほとんど見られない。今回の森中狩人の不祥事が、久々の人事異動のきっかけとなった。
　現在の会長は安倍晴明の後継者を自称する術者、安倍晴明晴霞あべのせいめいはるかす。明治時代に陰陽師の組織である陰陽寮が解体された後、密かに同様の組織である術者協会を立ち上げた功労者だそうだ。素顔を知るのはひと握りの術者だけで、ほとんどの術者が彼の素性を知らずに所属している。
　協会の本拠地は不明。会議の際は神社の鳥居などの入口から参加する。この入口は毎回違うので、場所を忘れると大変なことになる。私は何度か忘れて、仕方なく会議を休んだことがあるよ。「自分、やる気あるん？」って、し……会長に怒られてからは、必ずメモに書くようにしているけど、そのメモの場所も忘れることがあるんだよなぁ。

　如何だっただろうか。
　なんとか黒縄君は助かったが、まだ術者協会は彼を狙っている。しかもどうやら他の皆にも危険が迫っているようだ。
　私は……一体どちらにつけばいいのだろうか？　黒縄君の魔石は取り戻したし、既に義理は果たしたのだが。
　ではまた次回。