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第11.5話「2022年エイプリルフール企画 五代が作った乙女ゲーム『君と9人のイケメンズ』を、絶賛彼氏募集中の暗梨がプレイしてみた!」
後編
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(前編のあらすじ)
饗呀を吹っ切り、絶賛彼氏募集中の暗梨!
彼女の好みのタイプを調査するため、五代は乙女ゲーム「君と9人のイケメンズ」を製作! 暗梨にプレイしてもらう!
が! 言い寄るイケメンズを、暗梨は次々にフっていく!
身体的、精神的に傷つき、倒れるイケメンズ! 五代がモデルになったキャラクターに至っては、登場すらしない!
やがて五代から告げられた衝撃のひと言!
五代「えー、暗梨氏。ここで重大なお知らせです」
暗梨「何よ?」
五代「現時点で、一日目に起きるイベント……ほぼ終了しました。残ったルートは、あと二つっす」
暗梨「あと二つ?!」
驚く暗梨!
作った甲斐のない五代!
オムライスを部屋まで運んできてくれた、優しい朱羅!
オムライスをかっこむ暗梨と五代!
追加でケチャップとソースをかける暗梨と五代!
おかわりを要求する暗梨と五代!
キリがないので、五代の部屋の台所で調理する朱羅!
匂いにつられて来た陽斗!
作者のお腹も空いてきた! オムライス、めっちゃ食いてぇーッ!
……かくして二人は昼食を終え、実況プレイを再開したのだった。
☆
五代「さーて。腹ごしらえも済んだし、続きやりますかっ!」
暗梨「その前に、説明して。どうしてルートがあと二つしかないの? 『君と9人のイケメンズ』って名前のゲームだったはずよね? なのに、まともに登場したのはたったの五人……ハルトとナリタとソウケンとシュラとシラヌイだけじゃない。どうなってんの?」
五代「残りのメンバーは派生ルートに登場するんすよ。ナリタ氏からトーイ氏、シュラ氏からコクジョー氏、シラヌイ氏からオイラ氏ってね。ちな、ソウケン氏もハルト氏の派生ルートっす。ハルト氏と一緒に登校するを選ぶと、もれなくソウケン氏もついて来るはずだったっす。全員断ったから、イベントが起きなかったっすけど」
暗梨「めんどくさ……直接攻略した方が早くない?」
五代「暗梨氏ぃ、あの四人が簡単に他人を信じると思うんすかぁ? 特にオイラなんて、コミュ症の塊だかんねぇ? 本来、節木荘組全員の知り合いにならないと顔も出さないレアキャラよぉ? これでもだいぶ簡単に攻略できるようにしたつもりなんすけどぉ」
ふと、暗梨は手でルートの数を数え、首を傾げた。
暗梨「……ちょっと待って。ルートはあと二つなのに、終わったルートは八つ? 数合わないじゃない」
五代「ま、ま。今は気にしないで進めておくんさい。後でネタバラシするから」
☆
五代「それじゃ、後編スタート!」
〈ゴダイの家は私の家とは逆方向だった。帰りは電車を使った方が楽かも。でも、ダイエットのために歩かなくちゃなぁ……どうしよう?〉
・歩いて帰る
・電車で帰る
五代「暗梨氏も恋する乙女だし、気持ち分かるっしょ? ここは徒歩一択!」
暗梨「は? 電車に決まってるじゃない。私、歩くの嫌いなの」
暗梨はコントローラーを操作した。
・歩いて帰る
▷電車で帰る
〈は? 電車に決まってるじゃない。私、歩くの嫌いなの〉
五代「全くおんなじセリフー?!」
暗梨「私なんだから、当然でしょ?」
〈駅に着いた。ベンチに座ろうと思ったら、見知らぬ男子が寝転がってる。邪魔だから起こそうかしら?〉
・優しく声をかけて起こす
・厳しく声をかけて起こす
・無言でゆする
・無言で蹴りつける
・諦める
五代「最後のほう、暗梨氏仕様の選択肢じゃん。ほら、暗梨氏。さっさと蹴りつけて頂戴」
暗梨「……」
五代「暗梨氏?」
暗梨は驚いた様子で、寝転がっている男子のキャラクターを見つめていた。
彼はクリスマスに名曽野駅で出会った青年にそっくりだった。
暗梨「……この人も入れてたんだ」
五代「おん。他のメンバーにはないタイプだったからね」
暗梨「……」
暗梨はコントローラーを操作した。
▷優しく声をかけて起こす
・厳しく声をかけて起こす
・無言でゆする
・無言で蹴りつける
・諦める
『ねぇ、起きて。もうすぐ電車が来るよ』
『ん?』
〈見知らぬ男子はおもむろに起き上がり、電光掲示板を見上げた〉
『あ、ほんとだ。君が起こしてくれなかったら、また乗り過ごすところだった。ありがとう』
〈見知らぬ男子は優しく微笑むと、ちょうど来た電車に乗って去っていった〉
『……あ、名前と学校聞くの、忘れてた。ま、いっか。また来れば会えるでしょ』
☆
『体験版はここまでです! 製品版の完成をお待ち下さい!』
画面が暗転し、ポップなテロップが表示される。
途端に暗梨は「ハァッ?!」とブチ切れ、コントローラーを床へ叩きつけた。
「ここで終わり?! 続きは?!」
「ないよ? 暗梨氏のタイプを見極めるためだけに作ったんだから」
「こんな中途半端なとこで?! やっと面白くなってきたのに! つーくーりーなーさーいーッ!」
暗梨は五代の胸ぐらをつかむ。
五代は苦しそうに「首がトルコアイスになっちゃう!」とうめいた。
「作る! 作るんで離してちょ!」
「フンッ」
暗梨はコントローラーと同じように、五代も床へ叩きつける。鈍い音がしたが、五代は人間ではないので平気だった。
「いやー、暗梨氏が駅に行ってくれて良かった! あそこで徒歩を選んでたら、バッドエンドだったっすよー」
「さっき言ってたネタバラシってやつ?」
「そっ。結局暗梨氏は誰も選べないってことで、謎の不審者コンタローに付き纏われて終わるはずだったっす」
「いらないわよ、そんな要素!」
暗梨は悲鳴を上げた。全身に鳥肌が立つ。
一ヶ月前の自分なら、迷わずコンタローを選んでいただろう。
それが今では、世界で一番毛嫌いしている……暗梨は自身の意外な変化に、内心驚いていた。
(いつか、こいつらのことを恨まなくなる日も来るのかしら?)
暗梨は床と同化している五代を見下ろし、まだ見ぬ未来を思った。
(4月2日0時00分にオマケを投稿します)
饗呀を吹っ切り、絶賛彼氏募集中の暗梨!
彼女の好みのタイプを調査するため、五代は乙女ゲーム「君と9人のイケメンズ」を製作! 暗梨にプレイしてもらう!
が! 言い寄るイケメンズを、暗梨は次々にフっていく!
身体的、精神的に傷つき、倒れるイケメンズ! 五代がモデルになったキャラクターに至っては、登場すらしない!
やがて五代から告げられた衝撃のひと言!
五代「えー、暗梨氏。ここで重大なお知らせです」
暗梨「何よ?」
五代「現時点で、一日目に起きるイベント……ほぼ終了しました。残ったルートは、あと二つっす」
暗梨「あと二つ?!」
驚く暗梨!
作った甲斐のない五代!
オムライスを部屋まで運んできてくれた、優しい朱羅!
オムライスをかっこむ暗梨と五代!
追加でケチャップとソースをかける暗梨と五代!
おかわりを要求する暗梨と五代!
キリがないので、五代の部屋の台所で調理する朱羅!
匂いにつられて来た陽斗!
作者のお腹も空いてきた! オムライス、めっちゃ食いてぇーッ!
……かくして二人は昼食を終え、実況プレイを再開したのだった。
☆
五代「さーて。腹ごしらえも済んだし、続きやりますかっ!」
暗梨「その前に、説明して。どうしてルートがあと二つしかないの? 『君と9人のイケメンズ』って名前のゲームだったはずよね? なのに、まともに登場したのはたったの五人……ハルトとナリタとソウケンとシュラとシラヌイだけじゃない。どうなってんの?」
五代「残りのメンバーは派生ルートに登場するんすよ。ナリタ氏からトーイ氏、シュラ氏からコクジョー氏、シラヌイ氏からオイラ氏ってね。ちな、ソウケン氏もハルト氏の派生ルートっす。ハルト氏と一緒に登校するを選ぶと、もれなくソウケン氏もついて来るはずだったっす。全員断ったから、イベントが起きなかったっすけど」
暗梨「めんどくさ……直接攻略した方が早くない?」
五代「暗梨氏ぃ、あの四人が簡単に他人を信じると思うんすかぁ? 特にオイラなんて、コミュ症の塊だかんねぇ? 本来、節木荘組全員の知り合いにならないと顔も出さないレアキャラよぉ? これでもだいぶ簡単に攻略できるようにしたつもりなんすけどぉ」
ふと、暗梨は手でルートの数を数え、首を傾げた。
暗梨「……ちょっと待って。ルートはあと二つなのに、終わったルートは八つ? 数合わないじゃない」
五代「ま、ま。今は気にしないで進めておくんさい。後でネタバラシするから」
☆
五代「それじゃ、後編スタート!」
〈ゴダイの家は私の家とは逆方向だった。帰りは電車を使った方が楽かも。でも、ダイエットのために歩かなくちゃなぁ……どうしよう?〉
・歩いて帰る
・電車で帰る
五代「暗梨氏も恋する乙女だし、気持ち分かるっしょ? ここは徒歩一択!」
暗梨「は? 電車に決まってるじゃない。私、歩くの嫌いなの」
暗梨はコントローラーを操作した。
・歩いて帰る
▷電車で帰る
〈は? 電車に決まってるじゃない。私、歩くの嫌いなの〉
五代「全くおんなじセリフー?!」
暗梨「私なんだから、当然でしょ?」
〈駅に着いた。ベンチに座ろうと思ったら、見知らぬ男子が寝転がってる。邪魔だから起こそうかしら?〉
・優しく声をかけて起こす
・厳しく声をかけて起こす
・無言でゆする
・無言で蹴りつける
・諦める
五代「最後のほう、暗梨氏仕様の選択肢じゃん。ほら、暗梨氏。さっさと蹴りつけて頂戴」
暗梨「……」
五代「暗梨氏?」
暗梨は驚いた様子で、寝転がっている男子のキャラクターを見つめていた。
彼はクリスマスに名曽野駅で出会った青年にそっくりだった。
暗梨「……この人も入れてたんだ」
五代「おん。他のメンバーにはないタイプだったからね」
暗梨「……」
暗梨はコントローラーを操作した。
▷優しく声をかけて起こす
・厳しく声をかけて起こす
・無言でゆする
・無言で蹴りつける
・諦める
『ねぇ、起きて。もうすぐ電車が来るよ』
『ん?』
〈見知らぬ男子はおもむろに起き上がり、電光掲示板を見上げた〉
『あ、ほんとだ。君が起こしてくれなかったら、また乗り過ごすところだった。ありがとう』
〈見知らぬ男子は優しく微笑むと、ちょうど来た電車に乗って去っていった〉
『……あ、名前と学校聞くの、忘れてた。ま、いっか。また来れば会えるでしょ』
☆
『体験版はここまでです! 製品版の完成をお待ち下さい!』
画面が暗転し、ポップなテロップが表示される。
途端に暗梨は「ハァッ?!」とブチ切れ、コントローラーを床へ叩きつけた。
「ここで終わり?! 続きは?!」
「ないよ? 暗梨氏のタイプを見極めるためだけに作ったんだから」
「こんな中途半端なとこで?! やっと面白くなってきたのに! つーくーりーなーさーいーッ!」
暗梨は五代の胸ぐらをつかむ。
五代は苦しそうに「首がトルコアイスになっちゃう!」とうめいた。
「作る! 作るんで離してちょ!」
「フンッ」
暗梨はコントローラーと同じように、五代も床へ叩きつける。鈍い音がしたが、五代は人間ではないので平気だった。
「いやー、暗梨氏が駅に行ってくれて良かった! あそこで徒歩を選んでたら、バッドエンドだったっすよー」
「さっき言ってたネタバラシってやつ?」
「そっ。結局暗梨氏は誰も選べないってことで、謎の不審者コンタローに付き纏われて終わるはずだったっす」
「いらないわよ、そんな要素!」
暗梨は悲鳴を上げた。全身に鳥肌が立つ。
一ヶ月前の自分なら、迷わずコンタローを選んでいただろう。
それが今では、世界で一番毛嫌いしている……暗梨は自身の意外な変化に、内心驚いていた。
(いつか、こいつらのことを恨まなくなる日も来るのかしら?)
暗梨は床と同化している五代を見下ろし、まだ見ぬ未来を思った。
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